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【老子】ロウシ🔗🔉

【老子】ロウシ 《人名》 戦国時代の思想家。姓名は李耳(リシ゛)、字(アサ゛ナ)は伯陽。人為が仮相であるとし、自我をすて無為自然であることを尊んだ。後世、道家の祖としてあがめられた。代、王朝の姓が同じ李であることから、始祖として尊び、玄元皇帝とも呼んだ。 《書名》二巻。周の老子(本名は李耳(リシ゛))の著作と伝えられる。成立年代不詳。孔子に始まる儒家の思想とほぼ同時代に成立した道家思想の開祖老子の思想をまとめた書。作者とされている老子の歴史的実在についても諸説があるが、『史記』によれば、周代の楚(ソ)の人で、周の王室に仕え、孔子に礼を教えたこともある。周が衰えたので周を立ちのくことにして西方へ向かったが、途中関所の役人に書き残していったのが、上・下篇五〇〇〇余言の『老子』であるという。上篇では主として「道」が説かれ、下篇では「徳」が扱われているので、後世『道徳経』とも呼ばれている。『老子』によれば、天地万物の根本はとらえがたく名づけようもないものだが、無理に名づければ「道」である。これは万物を超えた存在であると同時に、万物とともに常に変転してやまないものである。しかも、自己自身の意志などは持たないものだから、「無為にして自然」の働きをする。そこで、人間として最上の善は、この天道・自然の働きに従ってゆくことで、自己の意志・欲望などはのぞいて「虚無」の立場に立ち、「嬰児(エイシ゛)」のごとくなるべきである。完全に自己を抑制しえたものが「聖人」である。これに対して、儒家のいう「仁義」などは人為にほかならないし、礼法はさらに人為的である。だから、文明的な礼制法令を廃止して、「無為にして化する」ような自然そのままの「小国寡民」の世界こそ理想の世界であるという。『老子』の思想は『荘子』によって完成され一応の定着をみるが、一方では法家思想に影響を与え、君主の支配の術としてとり入れられ、「虚静」の役割が説かれる。また、漢代以後、中国を支配した儒教の体制下で、民間宗教と結びつくことによって道教として発展し、中国における唯一の非正統的民族思想として長く中国文明の一特色をなすものとなった。

学研漢和大字典 ページ 5551 での老子単語。