脳梁[ノウリョウ]🔗⭐🔉振
脳梁[ノウリョウ]
【英】corpus callosum
【独】Balken
【仏】corps calleux
【ラ】corpus callosum
《同義語》胼胝体 べんちたい
大脳半球の内側面中央部に位置し,「つ」の字状をなし,大脳縦裂の底をなす.哺乳動物以上の高等動物に存在し,ヒトの脳でとくによく発達する.脳梁は脳梁膨大・幹・膝・吻の4部に区別される.脳梁幹は脳梁中の大部分を占め,背側に軽い凸側を向けた脳梁の主部で,その後端のふくれた部分が脳梁膨大となる.脳梁の前部は背側から腹側に曲がり強く凸側を前方に向ける脳梁膝となり,その下端は次第に細くなり脳梁吻となる.脳梁は左右の両半球を連絡する交連線維からなり,その線維は半球中に放散して脳梁放線radiatio corporis callosiを形成する.したがって,その前の方は運動系に,後の方は知覚系に関与した交連線維があることになる.脳梁の表面は痕跡的な大脳皮質である灰白層で覆われ,この中を前後に2対の有髄線維が走る.これらは正中線近くにある内側縦条と帯状回に覆われる外側縦条であり,嗅覚に関係する伝導路をなすといわれている.
脳梁欠損症[ノウリョウケッソンショウ]🔗⭐🔉振
脳梁欠損症[ノウリョウケッソンショウ]
【英】agenesis of the corpus callosum
【独】Agenesie des Corpus callosum
【仏】ag
n
sie du corps calleux
1812年Reilが最初の報告をした.完全欠損と部分欠損があり,完全型では第三脳室は前上方後方にも突出し間脳嚢胞を形成することもある.アーノルド・キアリ奇形*Arnold-Chiari malformation,ダンディ・ウォーカー症候群*Dandy-Walker syndrome,全前脳胞症などに合併する.X線上側脳室の著明な解離,前角の狭小化,モンロー孔の延長,第三脳室の拡大などがあり,血管撮影では前大脳動脈の脳梁に沿った正常のカーブが消失する.CTでは前角が解離し,拡大した第三脳室が背部上方に突出する.


脳梁失行[ノウリョウシッコウ]🔗⭐🔉振
脳梁失行[ノウリョウシッコウ]
【英】callosal apraxia
→失行〔症〕
脳梁症状群[ノウリョウショウジョウグン]🔗⭐🔉振
脳梁症状群[ノウリョウショウジョウグン]
【英】corpus callosum syndrome
【独】Balkensyndrom
【仏】syndrome du corps calleux
脳梁*,すなわち大脳両半球の互いに相当する皮質の間を結ぶ交連線維群の損傷によって生ずる神経心理学的な症候群.損傷の原因となるものには腫瘍,手術などによる外科的侵襲,血管障害,中毒などがある.失行*,失語*,失読*,失調*などのほか前頭葉症状,後頭葉症状などが生ずる.脳梁の前1/3の障害により知的機能低下,失語症,顔面筋や舌の失行が,中1/3の障害により半側失行や意識障害,後1/3の障害により小脳失調,下肢麻痺を起こすといわれる.しかし,手術のため脳梁を切断しても特別の症状が発現しないこともあるといわれている.アルコール中毒によって脳梁に変化をきたし,痴呆*,精神運動興奮,失行などが重篤に現れるものをMarchiafava-Bignami症候群(マルキャファーヴァ・ビニャミ病*)という.脳梁症状群の研究は優位半球や両半球の機能分化の解明に手がかりを与えている.
脳梁放線[ノウリョウホウセン]🔗⭐🔉振
脳梁放線[ノウリョウホウセン]
【ラ】radiatio corporis callosi
→脳梁
南山堂医学大辞典に「脳梁」で始まるの検索結果 1-5。