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大原病[オオハラビョウ]🔗🔉

大原病[オオハラビョウ] 【英】Ohara disease =野兎病

過(大)食症[カショクショウ]🔗🔉

過(大)食症[カショクショウ] 【英】bulimia 【独】Bulimia nervosa 【仏】boulimi 【ラ】hyperorexia 《同義語》多食症,大食症 摂食障害の一つとして知られている〔神経性〕過(大)食症bulimia nervosaにおいては発作的に繰り返される過食と体重のコントロールに過度に没頭することが特徴とされている.通常持続的な摂食への没頭と食物への抗しがたい渇望が存在し,短時間に大量の食物を食べつくす過食のエピソードに陥る.自ら誘発する嘔吐,緩下薬の乱用,利尿薬などの使用がみられやすい.患者は体重増加を防ぐために厳格な食事制限または絶食,または激しい運動を行う.この障害の病理は肥満への病的な恐れから成り立つもので,患者はみずから厳しい体重制限を課し,経過中に神経性食欲不振症anorexia nervosaの病歴がしばしば認められる.精神症状として抑うつ気分,無気力,不安,焦燥感,衝動行為などがみられやすいが,これらのうち抑うつ症状と自己嫌悪は例外なく出現すると考えてよい.その他自傷,不登校,盗癖,性的行動,家庭内暴力,自殺企図,薬物乱用などの問題行動を引き起こすことがある.〔神経性〕過(大)食症の患者の多くは精神症状が亢じた時に「むちゃ食い」を反復する.むちゃ食い時には高カロリーで消化されやすい食物を大量に摂取する特徴がある.本症患者では「肥満恐怖」があり,過食の後には直後の嘔吐や極端な減食を行い実際の体重は著しく変動することになる.類似の現象として夜間摂食症候群night-eating syndrome,気晴らし食い症候群binge-purge syndromeなどが知られている.過(大)食症に際し身体的合併症として知られているものにう蝕〔症〕,唾液腺腫脹,腹痛,胃拡張などがある.過(大)食症の発症年齢は神経性食欲不振症よりもやや高く20〜30歳代後半まで広く分布し,近年増加の傾向がみられる.治療として薬物療法は抗うつ薬が用いられ,近年は選択的セロトニン再取り込み阻害作用を有する抗うつ薬が登場している.

〔神経性〕過(大)食症[シンケイセイカショクショウ]🔗🔉

〔神経性〕過(大)食症[シンケイセイカショクショウ] 【英】bulimia nervosa →過(大)食症 →神経性食欲不振症

〔先天性〕大動脈弓部蛇行症[センテンセイダイドウミャクキュウブダコウショウ]🔗🔉

〔先天性〕大動脈弓部蛇行症[センテンセイダイドウミャクキュウブダコウショウ] 【英】kinking of aortic arch 大動脈弓が通常よりも頭側に偏位し,頚部で触知されるものを頚部大動脈弓cervical aortic archと総称し,大動脈弓の発生異常に基づくものと考えられているが,その一型として左総頚動脈と左鎖骨下動脈の間の大動脈弓部が異常に長いものがある.これを先天性大動脈弓部蛇行症とも呼ぶが,これはこの部が著明に左後上方に延長屈曲するためである. Haughtonの頚部大動脈弓の分類ではD型に相当しており,左大動脈弓および左下行大動脈を有している.下行大動脈の低形成を伴うことが多いことが知られている.確定診断は大動脈撮影によるが,無症状のものは治療の対象にはならない.

大うつ病性障害[ダイウツビョウセイショウガイ]🔗🔉

大うつ病性障害[ダイウツビョウセイショウガイ] 【英】major depressive disorder →うつ病

ダイオウ(大黄)[ダイオウ]🔗🔉

ダイオウ(大黄)[ダイオウ] 【英】rhubarb 【独】Rhabarberwurzel 【仏】rhubarbe 【ラ】rhei rhizoma 《同義語》将軍ショウグン,錦紋キンモン Rheum palmatum Linn, R.tanguticum Maxim., R.officinale Bail., Rcoreanum Nakaiまたはそれらの種間雑種(タデ科)の根茎である.偏卵形,長卵形または円柱形で黄褐色〜淡黄褐色,かめば細かい砂をかむような感じがあり,唾液を黄色に染める.ジアントロン類のsennoside A〜F,アントラキノン類,タンニン類,スチルベン誘導体などを含有する.緩下,健胃薬で,漢方では消炎,瀉下,解毒,駆お血を目標に三黄瀉心湯,大柴胡湯などに配合される.

大横径(児頭の)[ダイオウケイ]🔗🔉

大横径(児頭の)[ダイオウケイ] 【英】biparietal diameter →BPD

大汗腺[ダイカンセン]🔗🔉

大汗腺[ダイカンセン] 【英】apocrine gland →汗腺

大気圧[タイキアツ]🔗🔉

大気圧[タイキアツ] 【英】atmospheric pressure =気圧

大気汚染[タイキオセン]🔗🔉

大気汚染[タイキオセン] 【英】air pollution 【独】Luftverschmutzung 【仏】pollution de l'air 大気汚染とは「戸外の空気に汚染物質が混入し,その量,濃度および持続時間が住民の大多数に不快感を起こしたり,健康上の危害を広範囲に及ぼしたり,人間や動植物の生活を妨害する状態」とWHOでは定義している.わが国の公害対策基本法では,大気汚染の原因を人の活動によるman-madeのものと定め,火山活動のような自然現象に由来するものを含めない.大気汚染は燃料を木炭から石炭に切り替えた時から始まり,石炭暖房に由来する亜硫酸ガスsulfur dioxide(二酸化硫黄)SOと,煤煙を主とするロンドン型大気汚染が今世紀まで世界の大都市,工業都市で問題とされた.この型の大気汚染は1952年のロンドン事件のような多数の死亡者を出す健康障害(他に1930年ミューズ渓谷事件,1948年ドノラ事件)をもたらし,亜硫酸ガスが大気汚染の同義語となるほど有名となった.わが国の大気中SO濃度は発生源対策により1968年以降着実に減少している.一方,今世紀中頃から石油燃焼による大気汚染が登場し,窒素酸化物一酸化炭素,炭化水素を排出し,とくに自動車に由来するロサンゼルス型スモッグは,光化学オキシダントを二次的に生成する新しい大気汚染をもたらした.大気汚染による健康障害はロンドン事件のような急性的影響と慢性的影響がある.慢性的影響は慢性閉塞性肺疾患との関連が最も重視される.このほか,特殊な工鉱業に由来するフッ化物や重金属の大気汚染のように,動植物などへの蓄積汚染を生じて二次的影響が問題となるものがある.→光化学スモッグ降下煤塵スモッグ

大球性貧血[ダイキュウセイヒンケツ]🔗🔉

大球性貧血[ダイキュウセイヒンケツ] 【英】macrocytic anemia 【独】makrozytre Anmie 【仏】anmie macrocytique 【ラ】anaemia macrocytica MCVが正常値より大きい貧血をいう.末梢血塗抹標本上でも赤血球の平均的容積は正常赤血球(直径7 μm)より大きい.一般に,赤血球容積が大きくなると1個あたりの赤血球に含まれるヘモグロビン量は増加するので,典型的な大球性貧血ではMCVの増加とともにMCHの増加がみられ,MCHCは正常である.大球性貧血は巨赤芽球性貧血(ビタミンB12,または葉酸欠乏による貧血)の場合に典型的である(MCV 120〜140 fL).そのほか,溶血性貧血や出血後の回復期で網赤血球の多い時,再生不良性貧血甲状腺機能低下症や肝疾患に伴う貧血に認められる.

大血管転位症[ダイケッカンテンイショウ]🔗🔉

大血管転位症[ダイケッカンテンイショウ] 【英】transposition of the great arteries(TGA) 【独】Transposition der grossen Gefe 【仏】transposition des gros vaisseaux 《同義語》完全大血管転位症complete transposition of great arteries 胎生第4週に心臓原基(心臓管)は右方へ180°屈曲(looping)し大血管は回転する.これは大動脈下部あるいは肺動脈下部のいずれの円錐がより優性に発育するかによって決まる.ついで第5週になると屈曲した先端の心室は右から左方へ回転するが(transposition),大血管回転異常が起きると心室の回転にも異常を伴うことがまれでなく,これらの大血管と心室の回転異常の組み合わせにより,理論的には8種類の型に分類される(Cardell,1956,Nadas,1972).そのうち,心室錯位を伴わず左右心室は正常位置にあり(d-loop),大動脈は形態学的右室で前方から(d-transposition),肺動脈は形態学的左室で後方から起始しているものを大血管転位症という.本症では大循環系と小循環系に短絡がなければ生命を維持できず,卵円孔,動脈管,心房中隔欠損,心室中隔欠損,肺動脈狭窄の有無によりMustardは次の3型に分類した.I型:大きな心室中隔欠損を伴わない.II型:心室中隔欠損を伴う.III型:大きな心室中隔欠損と肺動脈弁下狭窄を伴う右室流出路狭窄型.I型は2/3近くを占め,チアノーゼが強く,うっ血性心不全にて70%は1ヵ月以内に死亡する.II型はI型よりやや軽いが肺高血圧症を呈し6ヵ月以内に大部分は死亡する.III型はチアノーゼは強いがうっ血性心不全は伴わず,予後は比較的よい.治療はballoon atrioseptostomy,ブレロック・トーシック手術Blalock-Taussig operationなどにより延命してからマスタード手術Mustard operation, Senning手術, Jatene手術などの根治手術を行うが,最近は早期の根治手術が提唱されている.→修正大血管転位症

大〔後頭〕孔嵌頓[ダイコウトウコウカントン]🔗🔉

大〔後頭〕孔嵌頓[ダイコウトウコウカントン] 【英】foraminal herniation =小脳扁桃嵌頓

大柴胡湯[ダイサイコトウ]🔗🔉

大柴胡湯[ダイサイコトウ] 柴胡6,半夏4,黄・芍薬・大棗各3,枳実2,大黄1,生姜0.5(成人標準1日量)からなる.小柴胡湯と並ぶ柴胡剤の代表的な処方であり,胸脇苦満がいっそう顕著に認められる.がっちりした体格で便秘傾向がある.枳実,芍薬,大黄には鎮痙,消炎の作用があるので腹痛を伴う例によい.胆石症,胆嚢炎肝炎,高血圧症,胃炎,常習性便秘(→慢性便秘),糖尿病気管支喘息不眠症などに多く用いられる.

大細胞癌[ダイサイボウガン]🔗🔉

大細胞癌[ダイサイボウガン] 【英】large cell carcinoma →小細胞癌

大細胞性赤核[ダイサイボウセイセキカク]🔗🔉

大細胞性赤核[ダイサイボウセイセキカク] 【ラ】nucleus ruber magnocellularis →赤核脊髄路

大視症[ダイシショウ]🔗🔉

大視症[ダイシショウ] 【英】macropsia 【独】Makropie,vergrertsehen 【仏】macropsie 【ラ】macropsia 《同義語》巨視 物体の映像が変わって見えることを変視症metamorphopsiaという.変視症の中で大きさが異なって見えることがある.物が実際より大きく見えるのを大視症といい,実際より小さく見えることを小視症という.大視症を起こす要因として調節痙攣や輻湊痙攣の場合がある.副交感神経刺激状態や刺激症状をひき起こす薬物による巨視症も起こる.一過性のことが多く,一般的に予後はよいとされている. 

大字症[ダイジショウ]🔗🔉

大字症[ダイジショウ] 【英】macrographia →小字症

大循環[ダイジュンカン]🔗🔉

大循環[ダイジュンカン] 【英】systemic circulation 【独】grosser Kreislauf 【仏】grande circulation 《同義語》体循環 心臓左心室から大動脈へ駆出された血液は動脈系を通って全身の各組織に至り,組織呼吸を行ったのち,静脈系を通じて,上大静脈および下大静脈から心臓右心房に返る.これを肺循環に対して大循環,または体循環という.

大静脈後尿管[ダイジョウミャクコウニョウカン]🔗🔉

大静脈後尿管[ダイジョウミャクコウニョウカン] 【英】retrocaval ureter 尿管走行の異常による奇形である.正常では尿管は大静脈と平行して走行し膀胱に閉口するが,本奇形の場合には,腎盂より出た尿管は一度大静脈の後方に入り,大静脈壁に沿って弧を描くようにして前方に出,その後は正常の走行をする.大多数は右側尿管に生じる.無症状に経過する場合も多いが,腎部の圧迫感や血尿などで気づかれる.排泄性尿路造影で水腎症が認められる.尿管カテーテル法と大静脈造影を併用することにより診断はより確実となる.尿路感染症腎結石を生じやすい.治療は,尿管を切断して整復後,端々吻合するが,大静脈を切断して尿管を正常位置に戻し,静脈を端々吻合する方法も行われる.

大食球[タイショクキュウ]🔗🔉

大食球[タイショクキュウ] 【英】macrophage =マクロファージ

大食細胞[タイショクサイボウ]🔗🔉

大食細胞[タイショクサイボウ] 【英】macrophage =マクロファージ →塵埃細胞

大食細胞遊走阻止試験[タイショクサイボウユウソウソシシケン]🔗🔉

大食細胞遊走阻止試験[タイショクサイボウユウソウソシシケン] 【英】macrophage migration inhibition(MI) test =マクロファージ遊走阻止試験

大食症[タイショクショウ]🔗🔉

大食症[タイショクショウ] 【ラ】hyperorexia =過(大)食症

大神経痛[ダイシンケイツウ]🔗🔉

大神経痛[ダイシンケイツウ] 【英】major neuralgia →神経痛

大星状神経細胞[ダイセイジョウシンケイサイボウ]🔗🔉

大星状神経細胞[ダイセイジョウシンケイサイボウ] 【英】neuronum stellatum magnum =ゴルジ細胞

大前庭腺[ダイゼンテイセン]🔗🔉

大前庭腺[ダイゼンテイセン] 【英】glandula vestibularis major =バルトリン腺

大泉門[ダイセンモン]🔗🔉

大泉門[ダイセンモン] 【英】anterior fontanelle 【独】Stirnfontanelle 【仏】fontanelle antrieure ou bregmatique 【ラ】fonticulus anterior 《同義語》前泉門 頭蓋冠にある6個の泉門のうちで最大のもの.新生児には前頭縫合があり,前頭骨は左右に分かれている.大泉門は左右の前頭骨と左右の頭頂骨によって囲まれるので菱形を呈する.その前後径は約4cm,横径は約2.5cmであり,菱形の各頂点は前頭縫合・矢状縫合・冠状縫合に続いている.泉門があり,縫合がゆるく結合することにより,頭蓋冠の形は容易に変わり得る.これは出産時に狭い産道を大きな頭蓋が通り抜けるのに便利な構造といえる.大泉門は生後次第に縮小し,生後2年で完全に閉鎖するに至る.もし閉鎖遅延があれば,骨化障害,たとえばくる病などの存在が疑われる.大泉門部を皮膚(頭皮)の上からみると,心臓の鼓動に一致する拍動がある.大泉門の内側には上矢状静脈洞が接している.

大槽穿刺法[ダイソウセンシホウ]🔗🔉

大槽穿刺法[ダイソウセンシホウ] 【英】cisternal puncture 【独】Zisternenpunktion 【仏】ponction cisternale 《同義語》後頭下穿刺法suboccipital puncture,チステルナ穿刺法Zisternenpunktion 脳脊髄液の検査は一般に腰椎穿刺によるが,特殊な場合には大槽を穿刺する場合がある.脊髄・脊椎になんらかの病変(主に腫瘍)があり病変の上限を知るための下行性ミエログラフィ,病変より頭側の髄液の検査を必要とするとき,腰椎穿刺がなんらかの理由で不能のときなどである.穿刺は一般に座位で患者の頚部を屈曲して行い,後頭骨と第一頚椎(環椎)の間で行う.あらかじめ深さを推測しておき5〜6cm以上深く穿刺しないようにする.座位の場合は髄液圧は陰圧となるので注射筒で吸引して針先が大槽内にあることが確かめられる.

大腿脛骨角[ダイタイケイコツカク]🔗🔉

大腿脛骨角[ダイタイケイコツカク] 【英】femorotibial angle(FTA) →外反膝

大腿骨近位骨端線離解[ダイタイコツキンイコッタンセンリカイ]🔗🔉

大腿骨近位骨端線離解[ダイタイコツキンイコッタンセンリカイ] 【ラ】epiphyseolysis capitis femoris =大腿骨頭すべり症

大腿骨骨折[ダイタイコツコッセツ]🔗🔉

大腿骨骨折[ダイタイコツコッセツ] 【英】fracture of the femur 【独】Oberschenkelfraktur 【仏】fracture du fmur 〔I〕大腿骨頚部内側骨折:老人ことに女性に多発する.歩行中,足さきを引っかけて下肢が急激に外旋しただけで骨折し,その結果として転倒することが多い.〔分類〕 Gardenの分類が用いられる. 1)不〔完〕全骨折, 2)くいこみ骨折, 3)転位の少ない骨折, 4)完全転位骨折.〔難治性の理由〕 1)外骨膜を欠く, 2)大腿骨頭栄養動脈が遮断される, 3)骨折部に剪力が働く, 4)老人に多く,骨粗鬆(しょう)症が高度なため仮骨形成不良である.〔診断〕 受傷機転,臨床症状.X線所見(両側2方向撮影)による.〔合併症〕 1)偽関節, 2)大腿骨骨頭壊死, 3)長期臥床による肺炎,尿路感染,褥瘡,老人性痴呆など.〔II〕大腿骨頚部外側骨折:外側骨折は大転子部を打撲して発生することが多い.一般に内側骨折よりも強い外力によって折れる.〔分類〕 転子間骨折intertrochanteric fractureと転子貫通骨折pertrochanteric f.に分けられる.またEvansによる安定型と不安定型との2つに分類される.〔診断〕 1)一般的に高齢者が転倒して生じ,また直接大転子部を打撲しても発生する.機能障害や肢位は内側骨折に似ているが,自発痛や圧痛はやや外側に存在する.大転子部に腫脹や皮下出血が認められる. 2)前後・側面の2方向X線撮影によって確定診断を行う.〔合併症〕 内側骨折よりも骨癒合が得られやすいが,内反股を生じやすい.〔III〕大腿骨骨幹部骨折:〔診断〕 X線撮影には大腿骨二方向のみならず,股関節,膝関節の撮影を行い,上下の骨関節の損傷の有無につき十分に検索することを忘れてはならない.骨片転位は特徴的であり,近位1/3部では近位骨片は外転(中・小殿筋による),屈曲(腸腰筋による),外旋(外旋筋群による)を呈し,遠位骨片は短縮(骨盤下肢筋による),内転(内転筋群による)を呈す.中央1/3の骨片では,近位骨片は軽度屈曲位で,短縮した遠位骨片がその後方に位置する.遠位1/3の骨折では,遠位骨片が腓腹筋の作用により,後方凸の屈曲位を呈す.〔合併症〕 1)血管・神経の損傷:ショック,頭部外傷,内出血(脾臓損傷など).一過性の腓骨神経麻痺が生じることがある. 2)下肢の短縮や回旋変形. 3)膝関節運動障害.

大腿骨頭壊死[ダイタイコットウエシ]🔗🔉

大腿骨頭壊死[ダイタイコットウエシ] 【英】avascular necrosis of the femoral head =大腿骨頭無腐性壊死

大腿骨頭すべり症[ダイタイコツトウスベリショウ]🔗🔉

大腿骨頭すべり症[ダイタイコツトウスベリショウ] 【英】slipped capital femoral epiphysis 【仏】piphysolyse de la tte fmorale 《同義語》大腿骨近位骨端線離解epiphyseolysis capitis femoris 思春期に大腿骨近位の骨端成長軟骨板にゆるみを生じ,骨頭が頚部に対し後内下方に転位するもので,わが国では比較的まれな疾患である.本症は男子に多く,徐々に変位を生じる慢性型が多く,外傷を契機として急激に起こる急性型は少ない.しばしば両側性に発生し,内分泌異常を思わせる肥満体で性器発育の遅れたものが多い.診断はX線検査によるが,骨頭は主に後下方へ転位するので側面像が重要である.すべった骨頭の徒手整復は骨頭壊死の原因となるので,急性型を除き行ってはならない.すべりが軽度であれば転位したままの状態でpinningを行い,すべり部の癒合をまつ.転位が著明な場合は,骨切り術により矯正する.

大腿骨頭無腐性壊死[ダイタイコツトウムフセイエシ]🔗🔉

大腿骨頭無腐性壊死[ダイタイコツトウムフセイエシ] 【英】aseptic necrosis of the femoral head 【独】aseptische Hftkopfnekrose 【仏】ncrose aseptique de la tte fmorale 《同義語》大腿骨頭壊死avascular necrosis of the femoral head 原因がはっきりしない特発性のものと,外傷(大腿骨頚部骨折femoral neck fractureや股関節脱臼後),減圧症(潜函病・潜水病;→ケイソン病)など原因が比較的明らかなものの2群に大別できる.特発性大腿骨頭壊死は1965(昭和40)年以降になって患者の激増をみ,青・壮年期の男性に多く,過半数が数年以内に両側罹患となる.ステロイド投与,アルコール愛飲,肝障害などと合併することが多く,他科(主に内科,皮膚科)領域の疾患とも関連が深い.〔症状〕 股関節痛のほか大腿部や膝関節の痛みとして発症し,次第に疼痛が増し跛(は)行・股関節可動制限が顕著となり,日常生活が障害されてくる.〔診断〕 X線検査が最も重要であり,通常の股関節二方向撮影に加えて関節造影や断層撮影を行うこともある.補助診断にはCTスキャンが病巣の広がりや変形の程度などを知る上で有用である.〔治療〕 骨頭壊死をできるだけ早期に診断し,その進行防止をはかることが治療の基本である.安静・免荷などの保存的治療はほとんど効果なく,観血的治療が主となる.骨頭壊死部の範囲や骨頭変形の程度,臼蓋側の二次的変化の有無などで,術式の選択を行う.

大腿四頭筋拘縮症[ダイタイシトウキンコウシュクショウ]🔗🔉

大腿四頭筋拘縮症[ダイタイシトウキンコウシュクショウ] 【英】quadriceps contracture 【独】Quadrizepskontraktur 《同義語》大腿四頭筋短縮症quadriceps muscle contracture, quadrizepsmyopathische Kontraktur 大腿四頭筋(大腿直筋,外側広筋,中間広筋,内側広筋の4つで構成)の一部が線維化し,筋肉が伸展性を失って短縮するために起こる疾患である.このため大腿四頭筋短縮症とも呼ばれる.症状は歩容異常がほとんどで分回し跛(は)行が現れ,疾走しづらくなる.立位になると出尻りの状態を示す.病因は大部分が後天性で幼児期に大腿部に注射を受けた既往があり,そのような場合は大腿部に陥凹や筋肉の索状硬結をみることが多い(→グロス三角部).筋変性の部位で直筋型,広筋型,混合型の3型に分類される.

大腿四頭筋短縮症[ダイタイシトウキンタンシュクショウ]🔗🔉

大腿四頭筋短縮症[ダイタイシトウキンタンシュクショウ] 【ラ】quadriceps muscle contracture =大腿四頭筋拘縮症

大腿ヘルニア[ダイタイヘルニア]🔗🔉

大腿ヘルニア[ダイタイヘルニア] 【英】femoral hernia 【独】Schenkelbruch 【仏】hernie fmorale 《同義語》股ヘルニア 主として小腸あるいは大網などの腹部内臓が,大腿管を通じて鼡径靱帯の直下,内側1/3の部に脱出するヘルニアであって,女性に多く,また中年以後に発生し,幼児にはほとんどみられない.鼡径ヘルニアに比べてまれである.ヘルニア腫瘤が小さいことが多いので,しばしば気づかれないことがあるが,ヘルニア門が狭小で,大腿管から比較的強固な皮下大腿輪を通じて脱出するので,嵌頓しやすい.ヘルニア内容となった腸管壁の一部がヘルニア門で強く絞扼されると速やかに壊死に陥る危険が大きい.ときに鼡径ヘルニアinguinal herniaとの鑑別が困難なことがあるが,鼡径靱帯に対するヘルニア腫瘤の位置が異なる.嵌頓の危険が大きいので診断がつけば速やかに根治手術を行うのがよい.

大腿輪[ダイタイリン]🔗🔉

大腿輪[ダイタイリン] 【英】femoral ring 【ラ】anulus femoralis 《同義語》股輪 鼡径靱帯と恥骨上枝との間の間隙は腸恥筋膜弓により筋裂孔と血管裂孔に二分され,血管裂孔の外側部は大腿静脈が通るがそれより内側の部はリンパ管,リンパ節,脂肪組織のある部分で大腿輪という.内側は裂孔靱帯で境され,腹腔側は横筋筋膜の一部(大腿中隔)に被われるだけで腹壁の弱い部分の一つである.この間隙を通るヘルニアが大腿ヘルニアである.

大唾液腺[ダイダエキセン]🔗🔉

大唾液腺[ダイダエキセン] 【英】major salivary gland →唾液腺 →唾液腺炎

大地放射線[ダイチホウシャセン]🔗🔉

大地放射線[ダイチホウシャセン] 【英】terrestrial radiation →自然放射線

大腸[ダイチョウ]🔗🔉

大腸[ダイチョウ] 【英】large intestine 【独】Dickdarm 【仏】gros intestin 【ラ】intestinum crassum 小腸につづいて始まる消化管の最終区間で,約1.5〜1.7 mの長さをもち,小腸よりも太い.大腸は小腸ループを囲み,全体として下方に開いたコの字形のアーチをつくり,盲腸結腸および直腸の3部に区分される.盲腸は大腸の初部で右腸骨窩に位置し,長さは約6cmにすぎない.下端は行きどまりの盲嚢をつくり,その下内側部から細長い虫垂が出ている.結腸は盲腸に続く長い区間であり,腹腔の右側を走る上行結腸,肝下方から十二指腸の前方を横切る横行結腸,脾下方から腹腔の左側を下がる下行結腸,左腸骨窩からループを描いて仙骨前面に至るS状結腸に再区分される.直腸は仙骨前面を下行し,肛門管を経て体外に開く長さ約20cmの部分である.大腸の各部ははじめ間膜をもっていたが,発生の経過中に壁側腹膜に癒合して二次的に間膜を失う区間が生じ,全体として小腸に比べ可動性に乏しい.大腸,とくに結腸を小腸から識別する外観上の特徴は,縦走筋層が3個所に集まってつくる3本の結腸ヒモ,ヒモが結腸壁を短縮させて生じる結腸膨起,ならびに被覆腹膜がところどころで葉状に垂れ下がった脂肪を含む腹膜垂などである.ただし盲腸では腹膜垂を欠き,直腸では3つの特徴はいずれも見られない.大腸の主な役割は水を吸収して糞を形成することであり,粘膜は絨毛を欠き,腸腺は杯細胞に富み,粘液分泌が盛んである.

大腸アメーバ[ダイチョウアメーバ]🔗🔉

大腸アメーバ[ダイチョウアメーバ] 【ラ】Entamoeba coli ヒトの大腸に寄生する非病原性のアメーバで,赤痢アメーバと形態が類似するので鑑別上問題になる.栄養型と嚢子(シスト)がある.栄養型は20〜30 μm大,赤痢アメーバの栄養型に比して偽足による運動が不活発で,宿主の赤血球を貪食していることはないが,細菌をとり込んでいる.生鮮標本では赤痢アメーバより核が明瞭にみえる.ヘマトキシリン染色標本では核膜が厚く,クロマチン粒が明瞭で,核小体は核の中心からはずれている.嚢子は10〜33 μm大,成熟したものでは8核を有し,それぞれの核には外心性の核小体を有する.嚢子内の類染色質体は裂片状もしくは松葉状を呈する.

大腸炎[ダイチョウエン]🔗🔉

大腸炎[ダイチョウエン] 【英】colitis 【独】Dickdarmentzndung, Kolitis 【仏】colite 【ラ】colitis 漠然と大腸の炎症性疾患を意味する名称で多くの疾患から構成されている. 1)感染性の大腸炎:従来は赤痢菌によるものが多かったが,最近ではカンピロバクターCampylobacterエルシニアYersinia,毒素原性大腸菌などによるものが多い. 2)薬剤性大腸炎:薬剤とくに抗生物質(クリンダマイシン,ペニシリンなど)で起こるもので,病型から偽膜性大腸炎(偽膜性腸炎),出血性大腸炎hemorrhagic colitsに大別される. 3)虚血性大腸炎:大腸の血流障害によって大腸組織がアノキシア(無酸素症)になるため変性壊死に陥り,それに炎症性変化が加味されたもので,血流障害の程度,病期により種々の病像を呈し,壊死型,狭窄型,一過性型に分けられる. 4)放射線照射後大腸炎:子宮癌など骨盤内臓器の悪性腫瘍に対する放射線治療後に起こる. 5)その他:慢性の経過をとり,通常寛解と再燃をくり返す潰瘍性大腸炎もこの中に含まれる.原因により症状は異なるが,通常下痢,腹痛,発熱などがみられる.診断および治療法は原因疾患によりそれぞれ異なる.

大腸過形成性ポリープ[ダイチョウカケイセイセイポリープ]🔗🔉

大腸過形成性ポリープ[ダイチョウカケイセイセイポリープ] 【英】hyperplastic polyp →過形成性ポリープ

大腸癌[ダイチョウガン]🔗🔉

大腸癌[ダイチョウガン] 【英】carcinoma of the colon and rectum 【独】Dickdarmkarzinom 【仏】carcinome du clon et rectum 大腸癌のうち,直腸癌は50〜60%を占め,残りの結腸癌colonic cancerの発生部位はS状結腸,上行結腸の順に多い.加齢と共に増加し60〜70歳代をピークとする.本症の多くは大腸ポリープ(とくに腺腫)およびポリポーシスに由来すると考えられている.組織学的には腺癌が90%を占め,大部分は高分化,中分化型である.肉眼的には胃癌同様ボルマンの分類が利用され,この1〜4型と表在型0型,壁外性進展の特殊型5型の6型に分けられる.転移はリンパ行性,血行性,腹膜播種性があるが,血行性による肝転移が比較的多い.大腸上部に発生した癌では自覚症状が乏しく,腹痛・貧血・腹部腫瘤触知で発見されることが多いが,大腸下部のS状結腸や直腸発生の癌では症状が認められやすく肛門出血を比較的早期に気付く.診断は注腸造影法および大腸内視鏡下の生検biopsyまたはポリペクトミーpolypectomyからの組織診によりなされる.血清CEA(胎児性癌抗原carcinoembryonic antigen)の測定は進行癌の存在,進展度に参考となる.治療は,末期癌を除いては外科的切除が最も成績がよく,近年は肝転移に対しても積極的に切除が行われる.また化学療法や放射線療法,免疫療法の補助的合併療法も行われる.切除不能のものでは,姑息手術として腸吻合術,人工肛門造設術を行う.なお,隆起型の早期癌である腺腫内癌に関しては,粘膜内(m)癌はポリペクトミーで治療が完了し,粘膜下(sm)癌ではリンパ節転移や癌遺残の危険がある症例に対して腸切除が追加される.

大腸菌[ダイチョウキン]🔗🔉

大腸菌[ダイチョウキン] 【英】colibacillus 【独】Kolibakterium 【仏】colibacille 【ラ】Escherichia coli ヒトや動物の腸管に常在する菌として1895年にEscherichによって最初に分離され,学名でEscherichia coliと呼ばれる.腸内細菌としての一般性状を有し,ブドウ糖を発酵し酸とガスを産生する,グラム陰性通性嫌気性桿菌.周毛性鞭毛や線毛を有することが多く,多くは乳糖分解性.O,K,Hの3種の抗原の組み合わせにより,血清型別で細分され,疫学的調査などに利用される.細菌の中で生理,遺伝学などについて最も情報量の多い菌種である.本菌は一般に動物の糞便に含まれるので,糞便汚染の有無の指標細菌indicator organismとしても用いられる.本来は健常人の腸管のフローラ(腸管微生物フローラintestinal microbial flora)の一員であり,病原性はないが,腸管外の臓器に異所性に迷入した場合は病気(尿路系感染症,敗血症など)を起こす.また,大腸菌のうち特殊な病原因子産生能を獲得した一部の菌は,腸管感染症を起こす.これらは腸管病原性大腸菌(あるいは下痢原性大腸菌diarrhogenic Ecoli)あるいは広義の病原性大腸菌と総称され,毒素原性大腸菌enterotoxigenic Ecoli(ETEC),腸管組織侵入性大腸菌enteroinvasive Ecoli(EIEC),腸管出血性大腸菌enterohaemorrhagic Ecoli(EHEC),腸管凝集付着性大腸菌enteroaggregative Ecoli(EAggEC),腸管病原性大腸菌enteropathogenic Ecoli(EPEC)の5つのカテゴリーに分けられる.→大腸菌エンテロトキシン

大腸菌エンテロトキシン[ダイチョウキンエンテロトキシン]🔗🔉

大腸菌エンテロトキシン[ダイチョウキンエンテロトキシン] 【英】Escherichia coli enterotoxin 大腸菌の一部は病原因子の一つとしてエンテロトキシン産生能を獲得し,下痢を引き起こす.代表的な例は毒素原性大腸菌で,2種類のエンテロトキシンを産生する.1つは60℃,15分の加熱で失活する易熱性エンテロトキシンheat-labile enterotoxinで,LTと略称される.もう1つは耐熱性エンテロトキシンheat-stable enterotoxinで100℃,10分間の加熱に耐え,STと略称される.LTはコレラ菌の産生するコレラエンテロトキシンcholera enterotoxin(CT)とアミノ酸一次配列上約80%のホモロジーを示し,毒素1分子は毒性を担うAサブユニット1個と毒素のレセプター(GMガングリオシド)への結合を担う5つのBサブユニットからなる.LTはCTと抗原性のうえでも類似し,またアデニレート・シクラーゼを活性化させてサイクリックAMPを上昇させ,下痢を引き起こすという生化学的機序も似ている.STはアミノ酸19個からなるSThと18個からなるSTpの2種が知られている.これらはST Iと総称される.STはグアニレート・シクラーゼCをレセプターとし,この酵素を活性化させてサイクリックGMPを上昇させ下痢を引き起こす.類似構造をもつペプチド性の毒素を腸管凝集付着性大腸菌も産生する.大腸菌以外の一部の菌(エルシニア・エンテロコリチカやコレラ菌)が類似毒素を産生していることもわかっている.いずれもヒトへの腸管病原性(下痢などを引き起こす)と関係があると考えられている.なおSTにはST IIと呼ばれる48個からなるエンテロトキシンがみつかっているが,ヒト病原性への関与は明らかでない.これらの毒素の産生性はプラスミドに支配されている.

大腸菌性下痢症[ダイチョウキンセイゲリショウ]🔗🔉

大腸菌性下痢症[ダイチョウキンセイゲリショウ] 【英】diarrheal diseases caused by Escherichia coli, diarrheogenic Escherichia coli 【独】Colidiarrhoe 病原性があり,腸管感染を起こす大腸菌は4種類あることが知られている. 1)病原性大腸菌enteropathogenic Ecoli(EPEC), 2)腸管組織侵入性大腸菌enteroinvasive Ecoli(EIEC), 3)毒素原性大腸菌enterotoxigenic Ecoli(ETEC), 4)腸管出血性大腸菌enterohemorrhagic Ecoli(EHEC)がそれである.潜伏期は1〜3日,発熱,悪心,嘔吐,腹痛,水様下痢で,時に血性下痢のこともある.重症なものはEHECで,ベロ毒素verotoxin(VT)を産生し,その毒素によって出血性大腸炎hemorrhagic colitisが起こる.また,血栓性血小板減少性紫斑病を合併したり,溶血性尿毒症症候群を起こして重症化し,死亡する例もある.とくにわが国では,1996年夏にEHECに属するO157:H7の大流行が関西地区を中心に全国的にみられ,厚生省により本症は指定伝染病(平成8年8月)にされた.EHECは,生の牛肉を食することで感染した報告があるので,十分注意をしなければならない.

大腸菌DNAポリメラーゼ I[ダイチョウキンディーエヌエーポリメラーゼ1]🔗🔉

大腸菌DNAポリメラーゼ I[ダイチョウキンディーエヌエーポリメラーゼ1] →コーンバーグの酵素

大腸クローン病[ダイチョウクローンビョウ]🔗🔉

大腸クローン病[ダイチョウクローンビョウ] 【英】Crohn's disease of the colon =肉芽腫性大腸炎

大腸憩室〔症〕[ダイチョウケイシツショウ]🔗🔉

大腸憩室〔症〕[ダイチョウケイシツショウ] 【英】diverticular disease of the colon 【独】divertikulre Erkrankung des Dickdarmes 【仏】colopathies diverticulaires 《同義語》大腸憩室疾患,大腸憩室病 大腸に生じる憩室には,腸管壁の全層が嚢胞状に突出する真性憩室と,憩室壁に筋層がない仮性憩室pseudodiverticulumがあるが,大部分は仮性憩室である.本症の発見頻度は加齢と共に上昇する.若年者では右側大腸のみの発生が多いが,高齢者では左右大腸に同様に分布し,多発例が増加する.本症の成因には内圧の亢進と腸管壁の抵抗性の減弱が関与している.合併症としては憩室炎diverticulitisと憩室出血があり,いずれも左側大腸の憩室に起こりやすい.

大腸腺腫[ダイチョウセンシュ]🔗🔉

大腸腺腫[ダイチョウセンシュ] 【英】colonic adenoma →腺腫性ポリープ

大腸チフス[ダイチョウチフス]🔗🔉

大腸チフス[ダイチョウチフス] 【英】colotyphoid 【独】Colotyphus 【仏】colotyphode 腸チフスの際の腸の病変は通常回腸下部に著明であるが,大腸にもしばしば始部に軽度の病変が及ぶ.古い記載によれば,まれに病変が大腸に強いか,または大腸のみに存在することがあり,大腸チフスと呼ばれた.大腸では盲腸部の病変の頻度が高く,上行結腸まで侵されるものがこれに次ぎ,まれにはその全長にわたって直腸下端まで侵されるという.クロラムフェニコール治療が確立されてからは本症の死亡例はほとんど皆無となり,近年はこのような腸管の病理解剖学的変化に関する報告はないし,また,臨床的にもとくに大腸の病変を示唆する所見は得られていない.

大腸内視鏡[ダイチョウナイシキョウ]🔗🔉

大腸内視鏡[ダイチョウナイシキョウ] 【英】colonoscope 【独】Kolonoskopie 《同義語》下部消化管内視鏡  大腸の器質的疾患の診断および治療を目的として製作された内視鏡で,1965年グラスファイバーを束ねた柔軟性のある大腸ファイバースコープが開発され全結腸が観察できるようになった.肛門から逆行性に挿入していくもので,S状結腸までを観察する長さ120cmのS状結腸鏡と,全結腸観察用の有効長180cmのスコープがある.1983年,先端に固体撮像素子CCDを装着し,そこで得られた画像をモニターテレビで観察する電子内視鏡(電子スコープ)ができてからは,拡大率がよいことと,操作性が優れていることから次第にこの機器に代わってきた.潰瘍性大腸炎クローン病などの炎症性疾患や,癌などあらゆる腸疾患が検査対象になるが,ポリープなどの胃隆起性病変に対しては積極的にポリペクトミーpolypectomyが行われている.

大腸バランチジウム[ダイチョウバランチジウム]🔗🔉

大腸バランチジウム[ダイチョウバランチジウム] 【ラ】Balantidium coli 繊毛虫類Ciliataに属する原虫で,大腸バランチジウム症balantidiasis,balantidosisの病原体.感染は世界各地のブタにみられるが非病原性である.しかし,ヒトに感染して大腸粘膜に潰瘍を形成すれば,粘血便や体重減少を起こす.本虫の栄養型は長径50〜100 μm,幅40〜60μmで体表が線(繊)毛におおわれ,活発に運動する.体には細胞口,食胞,収縮胞,大核,小核などを有し下痢便中に,嚢子は径45〜60 μmの大きさで有形便中に排出される.治療にはメトロニダゾールが有効である.

大腸ファイバースコープ[ダイチョウファイバースコープ]🔗🔉

大腸ファイバースコープ[ダイチョウファイバースコープ] 【英】fiberoptic colonoscope →S状結腸鏡検査法

大腸ポリープ[ダイチョウポリープ]🔗🔉

大腸ポリープ[ダイチョウポリープ] 【英】polyp of the colon 【独】Kolonpolyp, Dickdarmpolyp 【仏】polype du clon, polype colique 大腸ポリープはわが国において増加する傾向がみられており,男女比は2:1,年齢別分布は大腸癌と同様に加齢とともに出現頻度が増す.部位別分布は臨床例では直腸,S状結腸に多いが,剖検例では大腸のほぼ全域に分布している.肉眼形態では多くは有茎ないし亜有茎である.病理組織学的には,腺腫性(腺腫,家族性大腸ポリポーシス),過誤腫性(若年性ポリープ,ポイツ・イェガー症候群Peutz-Jeghers syndrome),炎症性ポリープ,その他に大別される.大腸ポリープの大部分を占める腺腫ではしばしば癌の存在がみられる.多くは無症状であり,大腸X線検査および大腸ファイバースコープで診断される.〔治療〕主に内視鏡的ポリペクトミーが行われるが,ポリペクトミーが困難な症例や生検後断端に癌を認めるもの,粘膜下浸潤のあるものに対しては腸管切除,リンパ節郭清を行う必要がある.ポリポーシスpolyposisに対しては,大腸全摘,亜全摘などが行われる.

大動脈[ダイドウミャク]🔗🔉

大動脈[ダイドウミャク] 【英】aorta(Ao) 【独】Aortasu 【仏】aorte 【ラ】aorta(Ao) 体循環(大循環)の動脈系の主幹. 1)左心室の大動脈口から上行する上行大動脈ascending aorta, a.ascendens(pars ascendens〔aortae〕), 2)続く上方凸の弧を描いて左後方に進む大動脈弓arch of a., arcus aortae, 3)続いて第4胸椎の左前から脊柱に沿って下行する下行大動脈descending a.a.descendens(pars descendens〔aortae〕)に,さらに3)は横隔膜より上の胸大動脈thoracic a., a.thoracica(pars thoracicus〔aortae〕)と下の腹大動脈abdominal a.,a.abdominalis(pars abdominalis〔aortae〕)に,それぞれ区分される. 1)から冠状動脈, 2)から腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈を, 3)からも側枝を出したのち第4腰椎の前で左右の総腸骨動脈に分岐して終わる. →図

大動脈右位[ダイドウミャクウイ]🔗🔉

大動脈右位[ダイドウミャクウイ] 【英】dextroposition of aorta 【独】Dextroposition der Aorta 【仏】dextroposition de l'aorte 《同義語》大動脈右偏位d-malposition of aorta 大血管の空間的位置は,大動脈が肺動脈の右後に位置するものを正位正常位,左後に位置するものを逆位正常位といい,それ以外のものは異常位malposition(心室大血管不一致のある場合には転位transposition)と呼ばれる.この異常位のうち大動脈が肺動脈の右に位置するものを右位d-positionと呼び,典型的なものは両大血管右室起始症や完全大血管転位症でみられる.

大動脈右偏位[ダイドウミャクウヘンイ]🔗🔉

大動脈右偏位[ダイドウミャクウヘンイ] 【英】d-malposition of aorta =大動脈右位

大動脈炎[ダイドウミャクエン]🔗🔉

大動脈炎[ダイドウミャクエン] 【英】aortitis 【独】Aortitis 【仏】aortite 大動脈の炎症性病変であり,原因には種々のものがある.細菌感染によるもの,中膜や内膜および壁を構成する結合組織や筋組織の特異的および非特異的炎症などによる.細菌感染では周囲組織から炎症が及んだ場合と,血流からの感染,とくに細菌性心内膜炎(感染性心内膜炎)から既存の動脈瘤への感染が多い.梅毒性大動脈炎,高安病(大動脈炎症候群),非特異性大動脈炎(強皮症,リウマチ様関節炎,リウマチ熱ホジキン病など),その他がある.

大動脈炎症候群[ダイドウミャクエンショウコウグン]🔗🔉

大動脈炎症候群[ダイドウミャクエンショウコウグン] 【英】aortitis syndrome 【独】Aortitissyndrom 【仏】syndrome aortite 《同義語》脈なし病pulseless disease,高安病Takayasu's arteritis 大動脈・基幹動脈・肺動脈などの大型動脈に生じる原因不明の非特異的な炎症病態である.1908年,わが国の眼科医・高安右人(1860-1938)により,特異な眼底所見と橈骨動脈の脈拍欠損のある症例として初めて報告された.高安病,高安動脈炎,脈なし病,大動脈弓症候群aortic arch syndromeなど,多くの名称で呼ばれているが,現在は大動脈炎症候群が最も広く用いられている.比較的若年の女性に圧倒的に多く発症し,またわが国や東洋地域に多発する特徴がある.原因は今のところ不明であるが,自己免疫異常,若年女性に好発するところから内分泌異常,発症に際しての遺伝的素因の関与もいわれている.病変としては栄養血管を伴う大型の動脈の血管外膜層の線維性肥厚,中膜壊死およびこれに伴う血管の拡張,内膜肥厚とこれらにより生じる血管の狭窄・閉塞などがみられる.このため,狭窄・閉塞部以下の組織の血流・血圧低下や脈拍欠損,大動脈縮窄様病態(上体幹部の高血圧,下肢の血圧低下)のほかに,大動脈基部の拡張・変形による大動脈弁閉鎖不全症,腎動脈やその入口部狭窄による高血圧などもみられる.また,炎症に伴う微熱・赤沈亢進・貧血などの症状もみられる.臨床症状としては,脈拍欠損,乳頭周囲の動静脈吻合を示す特異な眼底所見,頚動脈洞反射亢進を三大特徴とする.その他,大動脈弁閉鎖不全症による心不全症状,高血圧などもみられることがある.〔予後〕比較的良好で慢性に経過するが,死因は心不全,脳血管障害などである.

大動脈騎乗[ダイドウミャクキジョウ]🔗🔉

大動脈騎乗[ダイドウミャクキジョウ] 【英】aortic overriding 【独】reitende Aorta 《同義語》騎乗大動脈overriding of aorta, reitende Aorta 心室中隔欠損が存在し,大動脈弁口が右方偏位している場合には,大動脈弁口は左心室と右心室にまたがっていることとなる.このような状態では,大動脈が心室中隔に騎乗しているともいえるので,大動脈騎乗と呼ぶ.大動脈弁口の50%以上が右心室に騎乗している場合には,両大血管右室起始症と呼ばれ,またこの大動脈騎乗は,ファロー四徴症にみられることが多い.

大動脈弓欠損症[ダイドウミャクキュウケッソンショウ]🔗🔉

大動脈弓欠損症[ダイドウミャクキュウケッソンショウ] 【英】absence of aortic arch =大動脈弓離断症

大動脈弓部動脈瘤[ダイドウミャクキュウブドウミャクリュウ]🔗🔉

大動脈弓部動脈瘤[ダイドウミャクキュウブドウミャクリュウ] 【英】aortic arch aneurysm 【独】Aortenbogenaneurysm 《同義語》弓部大動脈瘤 大動脈弓部の動脈瘤は,病因としては動脈硬化性のものが最も多く,梅毒性のものは近年減少している.動脈硬化性のものは,左鎖骨下動脈起始部の遠位大動脈弓から下行大動脈にかけての大動脈瘤が多く,梅毒性のものは上行大動脈から弓部に連続した大動脈瘤であることが多い.大動脈弓は頭頚部への3分枝で固定されており,縦隔内を横切っているため,他の部位の胸部大動脈瘤に比べ圧迫症状を呈しやすい.気管,食道,反回神経,上大静脈,肺動脈などの圧迫症状が認められることが少なくない.この弓部大動脈瘤の手術は,他の部位の大動脈瘤の手術に比べはるかに困難である.これは瘤切除,代用血管移植に際し,頭頚部の3分枝の遮断を必要とするからである.遠位弓部大動脈瘤では左鎖骨下動脈のみが問題となるので,手術は比較的容易である.この場合には下肢の動静脈間の部分体外循環で下半身の潅流を行ってやるだけでよい.これに対し近位弓部大動脈瘤では,完全体外循環に加えて分離体外循環あるいは超低体温法を応用することが必要となる.

大動脈弓離断症[ダイドウミャクキュウリダンショウ]🔗🔉

大動脈弓離断症[ダイドウミャクキュウリダンショウ] 【英】interrupted aortic arch(IAA) 【独】Interruptiondes Aortenbogens 《同義語》大動脈弓欠損症absence of aortic arch まれな心奇形で,多くは新生児期に死亡する.大動脈弓の一部で,その連続性を欠如している奇形であり,離断部位によって3型に分類されている.すなわちA型は左鎖骨下動脈より遠位部の離断であり,B型は左総頚動脈と左鎖骨下動脈の間の離断であり,C型は左総頚動脈より近位部の離断である.大動脈離断が単独奇形であることはまれで,大多数は動脈管開存と心室中隔欠損を合併している.このため下行大動脈の血流は動脈管の血流に依存しており,動脈管が閉鎖しはじめると,下半身の潅流障害によって,腎不全や代謝性アシドーシスをきたす.また動脈管の収縮と生後の肺血管抵抗の低下に伴って,肺血流量が著しく増加することになり,両心不全をきたす.内科的治療としては,心不全の治療のほか,動脈管の開存性を保つためにプロスタグランジンEの投与が行われるが,早期に外科的治療を行わなければ予後は不良である.外科的治療の目標は,大動脈の連続性を再建するとともに,体循環と肺循環を分離することにある.手術は一期的に行われることもあるが,二期的に行われることも少なくない.二期的に行う場合の初回手術は,大動脈弓再建,動脈管結紮,肺動脈バンディング(肺動脈絞扼術)であり,心室中隔欠損閉鎖とデバンディングを第2回手術として行うものである.

大動脈屈曲症[ダイドウミャククッキョクショウ]🔗🔉

大動脈屈曲症[ダイドウミャククッキョクショウ] 【英】tortuous aorta 《同義語》大動脈蛇行症 先天性の大動脈蛇行症はまれなものであり,多くは動脈硬化症によって大動脈が長軸方向に伸展し,その結果,屈曲するものである.後者は動脈硬化によって大動脈中膜の弾性線維の断裂が起こるためと考えられている.大動脈屈曲によって臨床症状を呈することはほとんどないが,胸部X線像で異常陰影を呈するため,大動脈瘤との鑑別が問題となることが多い.確定診断には大動脈撮影が必要である.

大動脈縮窄症[ダイドウミャクシュクサクショウ]🔗🔉

大動脈縮窄症[ダイドウミャクシュクサクショウ] 【英】coarctation of aorta(COA) 【独】Isthmusstenose der Aorta 【仏】coarctation de l'aorte 大動脈弓あるいはそれより末梢の大動脈の狭窄を大動脈縮窄と呼ぶ.先天性大動脈縮窄の多くは動脈管あるいは動脈靱帯の周囲にみられる峡部縮窄であるが,まれには大動脈弓縮窄もある.後天性大動脈縮窄は大動脈炎などによって起こるが,この場合には胸部下行大動脈や腹部大動脈にみられることが多く,異型大動脈縮窄症atypical coarctation of aortaと呼ばれる.先天性大動脈縮窄症は,乳児型と成人型に大別される.乳児型は縮窄部が動脈管より中枢にあることが多く,下半身の血流は動脈管からの血流に依存している.この場合心内短絡が合併していなければ,下半身のみにチアノーゼが認められることになる.これを分離性チアノーゼdifferential cyanosisという.しかし実際には乳児型大動脈縮窄症では動脈管開存のほかに,心内の左→右短絡疾患を伴うことが多く,この場合には大動脈縮窄症候群と呼ばれている.乳児型では早期に外科的治療を行わなければ,予後は不良である.成人型では,縮窄部は動脈靱帯より遠位であることが多く,上半身の高血圧を主徴とする.外科的治療は縮窄切除術coarctectomyであるが,乳児では鎖骨下動脈フラップ形成術,成人では代用血管移植が行われることが多い.乳児の大動脈縮窄症候群では,一期的手術も行われているが,縮窄切除と心内短絡閉鎖を時間的にずらして行う二期的手術を行うことも少なくない.この場合初回手術としては縮窄切除のほかに,肺動脈バンディングpulmonary artery banding(肺動脈絞扼術)を行うこともある.

大動脈蛇行症[ダイドウミャクダコウショウ]🔗🔉

大動脈蛇行症[ダイドウミャクダコウショウ] =大動脈屈曲症

大動脈中隔欠損症[ダイドウミャクチュウカクケッソンショウ]🔗🔉

大動脈中隔欠損症[ダイドウミャクチュウカクケッソンショウ] 【英】aortic septal defect 【独】aortopulmonale Fistel 《同義語》大動脈肺動脈窓aortopulmonary(AP) window 胎生第5〜8週に総動脈幹が左右のconotruncal ridgeによって,上行大動脈と肺動脈に分離されるが,この分離が不完全であると上行大動脈と肺動脈の間に異常交連が残ることになる.これを大動脈中隔欠損または大動脈肺動脈窓という.血行動態的には大きな動脈管開存症に類似しており,大血管レベルでの左→右短絡のため,心不全と肺高血圧症を主徴としている.肺血管の閉塞性病変が早期に進行するため,外科的治療を早期に行う必要がある.手術は体外循環下に経大動脈性に欠損口のパッチ閉鎖を行う.

大動脈痛[ダイドウミャクツウ]🔗🔉

大動脈痛[ダイドウミャクツウ] 【英】aortalgia 【独】Aortalgie 【仏】aortalgie 大動脈炎に伴う疼痛で,梅毒性大動脈炎にみられやすいとされるが,大動脈炎症候群などでもみられる.これは大動脈炎に起因する痛みであり,冠動脈口の狭窄の結果,心筋虚血からもたらされる痛みとは別のものである.多くは一側性で,夜間の鈍痛として出現,姿勢によりその程度が影響され,運動により増強する傾向がある.梅毒の治療でこの痛みがおさまれば,梅毒性と判定される.

大動脈洞動脈瘤破裂[ダイドウミャクドウドウミャクリュウハレツ]🔗🔉

大動脈洞動脈瘤破裂[ダイドウミャクドウドウミャクリュウハレツ] 【英】ruptured sinus of Valsalva aneurysm =ヴァルサルヴァ洞動脈瘤破裂

大動脈内バルーンパンピング[ダイドウミャクナイバルーンパンピング]🔗🔉

大動脈内バルーンパンピング[ダイドウミャクナイバルーンパンピング] 【英】intra-aortic balloon pumping(IABP) 急性心筋梗塞,不安定狭心症あるいは心原性ショックをきたすほどの重篤な心不全状態で,冠循環の改善と心臓のポンプ機能に対する補助効果を期待して用いる観血的治療法である.先端にバルーンを有するカテーテルと,バルーンへの気体(HeないしCO)注入を制御する装置とからなっている.カテーテルを大腿動脈から挿入し,先端が下行大動脈左鎖骨下動脈分岐部直下に位置するよう固定する.バルーンは心電図あるいは動脈圧波形に同期させて,拡張期に膨張,収縮期に脱気する.そのため拡張期動脈圧が上昇して,拡張期に血流量の大半を依存する冠動脈血流量の増加を期待できる.さらに,収縮期にはバルーン容積(30〜40 mL)に相当する血液量を心臓から吸引するがごとくに作用して駆出抵抗を減じることから収縮期血圧を低下させ,心仕事量,心筋酸素消費量を低下させる.禁忌としては,大動脈弁閉鎖不全症,大動脈の高度な硬化性病変の合併があげられる.

大動脈肺動脈窓[ダイドウミャクハイドウミャクソウ]🔗🔉

大動脈肺動脈窓[ダイドウミャクハイドウミャクソウ] 【英】aortopulmonary(AP) window =大動脈中隔欠損症

大動脈肺動脈中隔欠損[ダイドウミャクハイドウミャクチュウカクケッソン]🔗🔉

大動脈肺動脈中隔欠損[ダイドウミャクハイドウミャクチュウカクケッソン] 【英】aortopulmonary septal defect →総動脈幹〔症〕

大動脈分岐部慢性閉塞症[ダイドウミャクブンキブマンセイヘイソクショウ]🔗🔉

大動脈分岐部慢性閉塞症[ダイドウミャクブンキブマンセイヘイソクショウ] 【英】chronic occlusion of the terminal abdominal aorta =ルリッシュ症候群

大動脈弁[ダイドウミャクベン]🔗🔉

大動脈弁[ダイドウミャクベン] 【英】aortic valve(AV) 【独】Aortenklappen 【仏】valvule aortique 【ラ】valva aortae 左心室と大動脈の移行部の大動脈口にある半月弁semilunar valveの名称である.弁が閉鎖した時にできるポケットを大動脈洞またはヴァルサルヴァ洞というが,冠動脈の起始により左冠洞,右冠洞,無冠洞といい,これらに対応する半月弁を左冠尖,右冠尖,無冠尖という.先天性または後天性に大動脈弁狭窄症大動脈弁閉鎖不全症を起こすことがある.

大動脈弁狭窄症[ダイドウミャクベンキョウサクショウ]🔗🔉

大動脈弁狭窄症[ダイドウミャクベンキョウサクショウ] 【英】aortic stenosis(AS) 【独】Aortenstenose 【仏】rtrcissement aortique 大動脈弁の収縮期開口が種々の原因により不十分となるものをいう.原因はリウマチ性心内膜炎が減少し,老人では石灰化大動脈弁狭窄calcified aortic stenosisが多い.先天性大動脈二尖弁bicuspid aortic valveを基盤に石灰化の加わるものもある.〔病理〕 リウマチ性は交連部癒合を生じ,石灰化ではヴァルサルヴァ洞底部から弁尖に石灰化を生ずる.本症では左室から大動脈への駆出が妨げられるので左室圧は上昇し,左室肥大を生じ,一方左室筋のエネルギー需要・酸素消費の増大に伴い相対的冠不全を生ずる.〔症状〕 代償不全に陥ると狭心症,めまい,失神,呼吸困難などを生じ,時に急死する.心尖拍動は抬起性で,第2肋間胸骨右縁で粗い駆出性収縮期雑音を聴き,頚動脈方向に放散する.II音大動脈成分は消失するか,微弱となり肺動脈成分より遅れて奇異性分裂paradoxical splittingを生ずる.脈拍は細小で,定型的な遅脈pulsus tardusを呈する.〔診断〕 頚動脈に放散する駆出性収縮期雑音と遅脈による.心電図は左室肥大,胸部X線像は左第4弓の膨隆,心音図でII音の変化を確認する.心エコー図では狭窄した弁口,石灰化の部位を証明しうる.頚動脈波はピークの遅れを認める.〔予後〕代償期は長いが,心不全,狭心症,失神発作を生ずると平均3〜5年で死亡する.治療は原因にかかわらず,安静,強心利尿薬を用い,時に硝酸薬を併用するが,内科的治療に抵抗し,上記3症状が出現すれば人工弁置換術が必要となる.

大動脈弁閉鎖不全症[ダイドウミャクベンヘイサフゼンショウ]🔗🔉

大動脈弁閉鎖不全症[ダイドウミャクベンヘイサフゼンショウ] 【英】aortic regurgitation(AR) 【独】Aorteninsuffizienz 【仏】insuffisance aortique 大動脈弁が拡張期に閉鎖が不十分のため,大動脈から左心室へ血液の逆流を生ずる疾患で,原因として,リウマチ性心内膜炎梅毒感染性心内膜炎などの炎症性のものが減少し,弁膜結合組織の老化・変性による変性型(または孤立性)大動脈弁閉鎖不全が増加した.その他解離性大動脈瘤,大動脈輪拡張症annuloaortic ectasia,大動脈炎症候群,先天性など病因は多彩である.リウマチ性の場合は大動脈弁狭窄症や僧帽弁膜症を伴うことが多く,交連部が癒合して弁口中央部から逆流を生じ感染性のものは弁の破壊を伴うことが多い.梅毒では大動脈炎が上行大動脈から交連部に及び,交連部の離開ないし大動脈輪拡張により逆流を生ずる.〔病態〕 本症では収縮期に大動脈に駆出された血液の一部が拡張期に左心室内に逆流を生ずる.したがって十分な心拍出量を得るためには左心室は通常以上の血液を収容しかつ駆出せねばならない.この余分な仕事を遂行するためには左室は代償的に拡張・肥大を起こす.〔症状〕 本症は長期にわたり代償しうるが,いったん心不全を生ずると回復は困難で予後は不良である.大動脈弁口および第3肋間胸骨左縁で拡張期潅水様雑音を聴取し,心尖部ではフリント(前収縮期性)雑音を聴くことがある.しばしば大腿動脈でトラウベ重複音デュロジェー重複雑音を聴き,また頚動脈拍動が強く,ミュッセ徴候Musset signをみる.最高血圧は上昇し最低血圧は下降し,脈拍は速脈pulsus celerで,爪床で毛細管拍動をみる.胸部X線像では左第1, 4弓が膨隆し,心電図は左室肥大を呈する.心エコー図では大動脈弁の形態(石灰化,疣贅,大動脈輪の拡張など)を知り,また,僧帽弁前尖のflutteringは逆流の影響で生ずる.またパルスドップラー法では逆流の有無,程度(左室内腔のどこまで逆流を検出するかにより)を診断することができる.〔治療〕 一般の心不全に対する原則により,代償不全の生ずる頃には遅くとも人工弁置換術を行う必要がある.

大動脈傍体[ダイドウミャクボウタイ]🔗🔉

大動脈傍体[ダイドウミャクボウタイ] 【英】paraaortic bodies 【独】Zuckerkandl-Organ 【仏】organe de Zuckerkandl 【ラ】corpora paraaortica, paraganglion aorticum 《同義語》傍神経節,ツッケルカンドル器官Zuckerkandl's body 大動脈傍体は,頚動脈小体などとともに,パラガングリオンparaganglionの一つで,大動脈の下腸間膜動脈分岐部に存在する.クロム親和性細胞を含んだ小体である.多くのパラガングリオン同様,胎児では比較的大きく著明であるが成長とともに目立たなくなって退化する.Zuckerkandl(1901)がはじめて記載した.パラガングリオンには,クロム親和性と非親和性のものがあるが,ツッケルカンドル器官はクロム親和性で,内部には主細胞と支持細胞を含み,主細胞は副腎髄質と似て,交感神経性の節前線維を受けるアドレナリンおよび主としてノルアドレナリン分泌細胞を含んでいる.これが血中に内分泌されるか,あるいは交感神経系の伝達抑制に働くのか,などの機能的意義は,はっきりしていない.支持細胞はシュワン細胞に類似する(Emil Zuckerkandlはオーストリアの解剖学者,1849-1910).

大動脈瘤[ダイドウミャクリュウ]🔗🔉

大動脈瘤[ダイドウミャクリュウ] 【英】aortic aneurysm, aneurysm of the aorta 【独】Aortenaneurysma 【仏】anvrisme aortique, anvrisme de l'aorte 大動脈に発生する動脈瘤である.胸部大動脈瘤(上行大動脈瘤,弓部大動脈瘤,下行大動脈瘤),胸腹部大動脈瘤,腹部大動脈瘤abdominal aortic aneurysmに大別される.瘤の壁構築から真性大動脈瘤,仮性大動脈瘤,解離性大動脈瘤に分類され,形態から嚢状大動脈瘤,紡錘状大動脈瘤に分けられる.〔病因〕 動脈硬化症,梅毒,炎症(大動脈炎,細菌感染),特発性嚢状中膜壊死,外傷,先天性が原因となる.〔症状・診断〕 初期は無症状で拍動性腫瘤(腹部大動脈瘤),胸写における異常陰影(胸部大動脈瘤)として発見される.瘤が増大すると周囲臓器の圧迫症状が起こり,嗄声(反回神経),ホルネル症候群(胸部交感神経),呼吸障害(気管,気管支),胃膨満感(胃,十二指腸)などがみられる.瘤増大に伴う疼痛(背部痛,腰痛,腹痛)は瘤破裂の前兆あるいは破裂の徴候であることが多い.確定診断には,胸写,CT,大動脈造影が有用である.〔治療〕 瘤横径が6cm以下のものでは経過を観察してもよい.横径7cm以上のもの,臓器圧迫症状を呈するものは,手術の適応となる.疼痛を伴うものは緊急手術の対象である.手術は大動脈瘤切除ならびに人工血管移植術が原則である.大動脈遮断の補助手段としては,人工心肺装置による体外循環(上行,弓部大動脈瘤),左心バイパスあるいは大腿静脈‐大腿動脈バイパス(下行大動脈瘤),一時的体外バイパス(下行大動脈瘤)が用いられる.解離性大動脈瘤に対してはthromboexclusion methodも試みられる.→動脈瘤

大脳[ダイノウ]🔗🔉

大脳[ダイノウ] 【英】cerebrum 【独】Grosshirn 【仏】cerveau 【ラ】cerebrum 広義の大脳は,終脳end-brain(telencephalon)・間脳中脳を含むが,通常,終脳すなわち大脳半球cerebral hemisphereを指す.大脳半球は高次神経活動の座である.ヒトの大脳半球は左右相称で,溝・回に富んだ灰白質(大脳皮質)に表面を覆われる.その深部には白質(大脳髄質)と大脳基底核が存する.左右大脳半球は正中裂で分かたれるが,中心部では脳梁が両半球を結んでいる.各半球は恒常的に観察し得る溝により5部に分かたれ,それぞれを前頭葉,側頭葉,頭頂葉,後頭葉,島と呼ぶ.島は外側溝の深部に埋もれて外面からは観察できない.また,これに加え,半球の内面で脳幹の上部を覆う前頭葉,側頭葉,頭頂葉,後頭葉の各葉の一部分をもって構成する辺縁葉を区別することもある.ヒトの大脳半球には100億以上の細胞があるとされ,これらは部位・機能により異なる細胞構築をもって皮質に配列する.細胞体からの線維は白質を形成し他部位に達するが,同一半球内で各部位を連絡するものを連合神経路,脳梁を主として対側の半球と連絡するものを交連神経路,内包を介して大脳半球以外の部位と連絡するものを投射神経路として区別している.ヒトの大脳核は尾状核,レンズ核(被殻と淡蒼球),前障,扁桃体を区別する.脳室は両半球にそれぞれはいり込み側脳室を形成する.ヒトでは両半球は機能的には同等でなく,言語などの高次機能が優位半球に局在するなどの差異がある.優位半球は通常利き手の対側の半球であり,左半球であることが多い. →図1 →図2

大脳黄斑変性症[ダイノウオウハンヘンセイショウ]🔗🔉

大脳黄斑変性症[ダイノウオウハンヘンセイショウ] 【英】cerebromacular degeneration =家族性黒内障白痴

大脳核[ダイノウカク]🔗🔉

大脳核[ダイノウカク] 【ラ】nuclei cerebri =大脳基底核 →レンズ核

大脳基底核[ダイノウキテイカク]🔗🔉

大脳基底核[ダイノウキテイカク] 【英】basal ganglion 【独】Basalganglien 《同義語》大脳核nuclei cerebri 大脳半球白質にある終脳由来の神経核nerve nucleus.尾状核,被殻,淡蒼球,扁桃体,前障からなる.被殻と淡蒼球を合してレンズ核ともいうが,両者は構造,機能とも異なる.むしろ,尾状核と被殻が同一の構造機能を示し,新線条体と呼ばれ,これに対して淡蒼球は旧線条体として区別される.これらの線条体はいずれも重要な錐体外路系の中枢で,骨格筋の運動および緊張を無意識に支配する.

大脳脚[ダイノウキャク]🔗🔉

大脳脚[ダイノウキャク] 【ラ】pedunculus cerebri →中脳

大脳脚櫛系[ダイノウキャクシツケイ]🔗🔉

大脳脚櫛系[ダイノウキャクシツケイ] 【独】Kammsystem des Fusses →線条体

大脳脚症候群[ダイノウキャクショウコウグン]🔗🔉

大脳脚症候群[ダイノウキャクショウコウグン] 【独】pedunkulres Syndrom 【仏】syndrome msocphalique 《同義語》中脳症候群mesencephalic syndrome 狭義には中脳底部にある大脳脚の病変によって現れる症候群を総称する.したがって一側の動眼神経麻痺と反対側の片麻痺を呈するウェーバー症候群が代表的な症候群といえる.一方,より広義に中脳の病変によって起こる症候群の総称,つまり中脳症候群と同義に使うことがある.この場合には中脳背側の視蓋前域病変で起こり随意性上方注視障害を主徴とするパリノー症候群Parinaud syndrome,後退眼振,輻湊眼振を主徴とし,これに垂直眼振,上方注視障害などを伴うことのある中脳水道症候群,動眼神経麻痺に反対側の振戦,不随意運動を示すベネディクト症候群Benedikt's syndrome(赤核),あるいはこれと近縁のクロード症候群Claude syndrome(下部赤核),入眠時幻覚と似た幻視を主徴とする脳幹幻覚症その他の症候群がすべて含まれることになる.

大脳空気造影法[ダイノウクウキゾウエイホウ]🔗🔉

大脳空気造影法[ダイノウクウキゾウエイホウ] 【英】pneumoencephalography(PEG) =脳造(撮)影法

大脳溝[ダイノウコウ]🔗🔉

大脳溝[ダイノウコウ] 【英】sulci of cerebrum →ローランド溝

大脳〔髄〕症[ダイノウズイショウ]🔗🔉

大脳〔髄〕症[ダイノウズイショウ] 【英】macroencephaly 【独】Makroenzephalie 【仏】macroencphalie 【ラ】macroencephalia 《同義語》巨〔大〕脳症megalencephaly 脳の発育異常によって,大脳のサイズが巨大となるものをいう.脳重量が1,800 g以上もあり,2,900 gとなった例も報告されている.脳の外形はサイズが大きく脳回がそれに応じて複雑に見える以外には目立つ異常はない.脳圧の亢進はみられない.したがって水頭症のような頭蓋の変形はない.頭全体が大きくなる.大脳の組織では神経膠細胞の増加がみられる.知能は一般に障害されており,てんかん様発作を伴うことも多い.

大脳水道[ダイノウスイドウ]🔗🔉

大脳水道[ダイノウスイドウ] →中脳水道

大脳動脈輪[ダイノウドウミャクリン]🔗🔉

大脳動脈輪[ダイノウドウミャクリン] 【英】arterial circle of the cerebrum =ウイリス大脳動脈輪

大脳半球[ダイノウハンキュウ]🔗🔉

大脳半球[ダイノウハンキュウ] 【英】cerebral hemisphere →大脳

大脳鎌下ヘルニア[ダイノウレンカヘルニア]🔗🔉

大脳鎌下ヘルニア[ダイノウレンカヘルニア] 【英】subfalcian herniation →脳ヘルニア

〔大〕腰筋膿瘍[ダイヨウキンノウヨウ]🔗🔉

〔大〕腰筋膿瘍[ダイヨウキンノウヨウ] 【英】psoas abscess =腰筋膿瘍

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