アスベスト🔗⭐🔉振
アスベスト
【英】asbestos
【独】Asbest
【仏】asbeste
《同義語》石綿
天然の繊維状ケイ酸塩鉱物中,商業的に採掘されているものの総称名である.大別すると,カールするセルペンチン系(クリソタイル‐白石綿)と,直線状のアンフィボール系(クロシドライト‐青石綿,アモサイト‐茶石綿など)とがある.その物理・化学的特性(断熱,耐摩耗,安定)が産業革命中に注目され,第二次世界大戦中に飛躍的に消費量が増加した.石綿繊維の直径は毛髪の数千分の一であり,長さにより工業的用途(石綿セメント,パッキング,フィルター,ライニングなど)が異なるが,いずれも肺に吸入される.石綿には職業的に,準職業的(工員の妻ら)に,非職業的(一般市民)に,暴露し,あるいは暴露の可能性がある.石綿による人体影響は多彩であり,石綿肺(アスベスト肺*),胸膜肥厚,肺癌*,多臓器癌,中皮腫(悪性中皮腫*)などの多発が確認されている.現在石綿暴露に関する規制は,世界的に強力に行われている.
アスベスト肺[アスベストハイ]🔗⭐🔉振
アスベスト肺[アスベストハイ]
【英】lung asbestosis
【独】Lungenasbestose
【仏】asbestose pulmonaire
【ラ】asbestosis pulmonum
《同義語》石綿肺
十分量のアスベスト*吸入により肺に間質性線維化および臓側胸膜に,線維性肥厚が生じたものをいう.他の塵肺症*と異なり,胸部X線写真に異常影が出現する前に,聴診上両側肺底部に細かい断続性ラ音を聴取でき早期診断できる.この時期にアスベスト暴露を中断しなければ進行性に経過し,呼吸不全あるいは肺炎などを好発し死亡する.もし緩徐な進行であれば,肺癌*を好発する.十分な健康管理を要する疾患である.
南山堂医学大辞典 ページ 83。