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腰椎穿刺[ヨウツイセンシ]🔗🔉

腰椎穿刺[ヨウツイセンシ] 【英】lumbar puncture(LP) 【独】Lumbalpunktion 【仏】ponction lombaire 腰椎穿刺による髄液検査の目的は髄膜炎,脳炎,クモ膜下出血,脳腫瘍その他で髄液の性状,病原体,生化学的検査のために実施するほか,髄腔内の薬剤注入,気脳写のため行われる.近時CTの普及により,脳・髄膜の炎症性病変の際の細菌,真菌,ウイルスの検出,抗体価の測定などが主な目的となり,麻酔を除いて薬物注入を行うことはきわめてまれとなってきた.実施実技は所定の消毒を行ったのち,左右の腸骨棘の上端を結ぶヤコビー線Jacoby lineを目標として成人(または小児)用穿刺針を用いる.第3〜4,または第4〜5腰椎間で正中線上前方(やや頭側方向)に6〜7cm(小児では2〜4cm)穿刺すると,硬膜を通過する抵抗が触知される.検査の手順は予想する疾患により多少異なるが,液性状のみを見る場合は排出する1滴で十分のこともあり,検査に必要な量を採取する.小脳腫瘍などでは採液,液圧下降は危険を招くことがあり注意が必要で,液圧測定もできない.穿刺孔からの髄液漏出は30〜50 mLに及び,髄液圧低下症が起こり激しい頭痛,嘔吐が数日続くことがあるために,採液後は腹臥位にして30分間安静として,当日はベッド上臥床させるのがよい.脳・髄膜の炎症が疑われ,細胞数を測定する場合には,その1滴をその場でFuchs-Rosenthal計算盤に入れて計数することが望まれ,その際ノンネ・アペルト反応パンディー反応を同時に行えばギラン・バレー症候群Guillain-Barr syndromeにみる細胞タンパク解離現象の有無も判明する.近時普及したCT検査は髄液検査適応を減じたが,必須時の的確な対応が望まれる.

南山堂医学大辞典 ページ 7691