複数辞典一括検索+

盲腸[モウチョウ]🔗🔉

盲腸[モウチョウ] 【英】cecum 【独】Blinddarm 【仏】caecum 【ラ】cecum, caecum 大腸の最初の区間であり,右腸骨窩に位置する.盲腸は下方に約5〜6cm延びて行きづまりの嚢をつくり,下端の内側部から細い円柱状の虫垂vermiform appendixを出す.上方は上行結腸に連なり,内側は回腸と連絡し,ここに回盲弁があって大腸の内容物の小腸への逆流を妨げている.盲腸はほぼ完全に腹膜におおわれており,多少の可動性をもつ.哺乳類において,盲腸の発達は肉食動物や食虫動物では貧弱であり,草食動物では良好である.したがって盲腸の発達は食性と関係をもつと考えられている.

盲腸炎[モウチョウエン]🔗🔉

盲腸炎[モウチョウエン] 【英】typhlitis 【独】Typhlitis 【仏】typhlite 【ラ】typhlitis 盲腸に発生した炎症性病変をいうが,盲腸に原発するものはまれで,虫垂炎が盲腸に波及したものが多い.ときに盲腸の憩室炎diverticulitisが原因になることがある.また,魚骨などの刺入により盲腸炎が発生し,炎症性腫瘤が形成されることもある.そのほか盲腸の結核やベーチェット病も盲腸炎の形態をとることがある.症状は虫垂炎に類似しており,鑑別は困難である.〔治療〕 抗生物質投与のみで軽快することもあるが,難治性または急性に増悪するものでは回盲部切除を必要とする.

盲腸固定術[モウチョウコテイジュツ]🔗🔉

盲腸固定術[モウチョウコテイジュツ] 【英】cecopexy, cecofixation, typholopexy 【独】Coecopexie 【仏】coecofixation 盲腸軸捻症移動盲腸で症状がある症例に対して行われる手術法で,盲腸を固定することにより症状の発現を防ぐことを目的としている.手術法としてウィルムスWilmsの盲腸固定術がある.これは後腹膜に縦切開をおき,その上端で内方に向かう横切開を加え,後腹膜を弁状に剥離し,盲腸の外側を腹膜で被うようにこの腹膜弁を盲腸の自由紐に縫合する方法である.また,腹膜弁を作らず単に盲腸の自由紐を後腹膜に縫合するだけの方法もある.しかし本法は問題が多く,現在はほとんど行われなくなった.重篤な壊死を起こし得る軸捻症では,結腸左半切除術が一般的には適応とされる.

南山堂医学大辞典 ページ 7525