脳脊髄液[ノウセキズイエキ]🔗⭐🔉振
脳脊髄液[ノウセキズイエキ]
【英】cerebrospinal fluid(CSF)
【独】Zerebrospinalfl
ssigkeit
【仏】liquide c
phalo-rachidien
《同義語》髄液cerebral fluid, spinal fluid
脳脊髄液(髄液)は大部分が側脳室の脈絡叢で生成(0.35 mL/分または500 mL/日)され,マジャンディ孔Magendie's foramen・ルシュカ孔Luschka's foramenより脳室系を出て脳・脊髄のクモ膜下腔を循環した後,クモ膜絨毛から吸収され脳静脈洞に還流する.成人の髄液量は90〜150 mL,髄液圧cerebrospinal pressureは側臥位で測定したとき,70〜180mmH2Oであり,200以上は病的上昇,60以下は病的低下とする.外観は水様無色透明,ごく軽度でも混濁を認めれば異常である.細胞数は通常5個/mm3未満(主にリンパ球)で,5〜9個を増加傾向,10個以上を明らかな病的増加とする.タンパクは腰椎穿刺*のとき30±15(15〜45)mg/dLで血清タンパクの約1/200,糖は45〜80mg/dLで血糖の1/2〜2/3である.化膿性髄膜炎*では著明な混濁,高度の細胞増多とタンパク増加および糖減少を示す.クモ膜下出血*では血性髄液となり,出血量に比例してタンパクも増加,出血が陳旧性になると黄色調(キサントクロミー)を呈する.髄膜脳炎*,脳腫瘍,クモ膜下腔ブロックではタンパクが増加する.多発性硬化症*ではγ-グロブリンの上昇,ギラン・バレー症候群*ではタンパクが増加,細胞は増加しないタンパク細胞解離が特徴である.髄液の糖は細菌性髄膜炎*,結核性髄膜炎*,真菌性髄膜炎*で減少し,ウイルス性髄膜炎では変化しない.


南山堂医学大辞典 ページ 5827。