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窒素酸化物[チッソサンカブツ]🔗🔉

窒素酸化物[チッソサンカブツ] 【英】nitrogen oxide(NOx) 【独】Stickstoffoxyd 【仏】oxyde d'azote 窒素と酸素の化合によって安定した化合物がいくつか生成されるが,大気中では一酸化窒素NOと二酸化窒素NOとが汚染物質として重要である.化石燃料を空気と混合して高温燃焼させると,はじめNOが生成され,のちに大気中でNOに変わる.両者は光化学スモッグ中で互いに変換性を有するので,あわせてNOxと表示されて最重要の大気汚染物質である.主要発生源は自動車と火力発電所とで,そのほか工業用の燃焼により,また一部の工業過程での漏れがある.NOは水に比較的難溶性のため,吸入すると気道深部に達するが刺激性は少ない.SOほど気道抵抗も上昇しないが,肺胞表面物質を変化させて透過性を障害し,重症化して肺水腫になる.臨床的には気管支炎細気管支炎肺炎などの病像を呈する.光化学反応photochemical reactionによりOを生成する主要な汚染物質である.わが国の大気中NO濃度は,唯一減少傾向を示さぬ汚染物質で,大気環境基準は1時間値の1日平均値が0.04〜0.06 ppmの範囲内か,または以下である.→大気汚染

南山堂医学大辞典 ページ 4900