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胎児心電図[タイジシンデンズ]🔗🔉

胎児心電図[タイジシンデンズ] 【英】fetal electrocardiogram(FECG) 【独】fetales Elektrokardiogramm 【仏】lectrocardiogramme du foetus 胎児の心電信号は電圧や周波数成分が成人と異なるため,電気安全の問題を含めて特別な仕様の心電計により心電図が記録される.電極の装着方法により,直接・間接誘導に分けられる.直接誘導とは,胎児の先進部など児体に直接に電極装着を行う場合をさし,間接誘導では母体腹壁上に電極をおいて誘導する.波形分析により不整脈の診断や心機能異常の診断を行うが,誘導法により波形が異なる.ことに腹壁誘導では特別に処理しないと,母体心電信号や腹壁の筋電信号が混入する.かつては,胎児生存の早期診断の目的で腹壁誘導胎児心電図が用いられたが,超音波検査の出現によりその意義を減じた.1960年代には,胎児心電気軸など生理学的検討や骨盤位多胎妊娠などへの診断応用が熱心に行われたが,今日では,心電図としてではなく,胎児心拍測定に必要な原信号として胎児心電信号の検出を行うのが主となっている.しかし,一方で見直しも始められている.

胎児心拍自動解析法[タイジシンパクジドウカイセキホウ]🔗🔉

胎児心拍自動解析法[タイジシンパクジドウカイセキホウ] 胎児心拍陣痛図fetal cardiotocogramにみられるさまざまな変動は子宮収縮や胎動などを参照して,あるいは参照事項を設けることなく,適当な評価基準の設定により胎児診断に役立っている.ことに,分娩中の胎児仮死fetal distress(酸素欠乏症hypoxia)の診断に有用である.ところで,全分娩例の全経過にルーチンのモニターとして応用し,高精度を保つ目的に対しては時間的にも空間的にも膨大な量の情報を処理し記録する必要があり,ときとしてヒトの能力の限界を越える.このような視点から開発されたのが,コンピュータを利用しての胎児心拍自動解析法である.それは,心拍変動のデジタル処理と胎児仮死診断における診断アルゴリズムの開発とに支えられている.これにより,情報の圧縮,保管,再生が容易になり,あるいは安定した診断精度が得られるようになったが,わが国はこの分野で他をリードしており,今日では,単に解析に止まらず,診断を導くに至っている.→分娩監視装置

南山堂医学大辞典 ページ 4599