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小腸移植[ショウチョウイショク]🔗🔉

小腸移植[ショウチョウイショク] 【英】small bowel transplantation 臨床的に施行されている小腸移植として,患者自身の小腸を他の部位に移植する自家移植autotransplantationと他人(donor)の小腸を移植する同種移植allogeneic transplantationの2種類がある.前者の小腸の自家移植は,多くは咽頭・頚部・食道癌の切除後の再建時に施行されている.血管系を温存して行う有茎移植,血管系の吻合を行う遊離移植free graftingがある.遊離移植の血管吻合は,通常はマイクロサージェリーを用いて行われ,よい成績が報告されている.後者の小腸同種移植は,長期間の小腸機能障害(不全)が適応となる.1950年代から欧米で試みられてきた.経静脈栄養(TPN)の進歩により顧みられなくなった時期もあるが,現在では,再び注目をあびてきている.成績は当初は,きわめて不良であった.主な理由は感染,拒絶反応,GVHD(graftversus host disease;→GVH反応)が高率にみられたためで,これには小腸が大量のリンパ組織を有すること,細菌も多数存在することが関連している.しかし最近は,いくつかの工夫が試みられている.一つは新しい免疫抑制剤(FK 506)などの薬剤使用による成績の改善であり,また長期間のTPNに伴う肝不全例に対しての肝臓・小腸同時移植でも,成績向上が報告されている.

南山堂医学大辞典 ページ 3521