常在細菌叢[ジョウザイサイキンソウ]🔗⭐🔉振
常在細菌叢[ジョウザイサイキンソウ]
【英】indigenous bacterial flora
→常在微生物叢
常在微生物叢[ジョウザイビセイブツソウ]🔗⭐🔉振
常在微生物叢[ジョウザイビセイブツソウ]
【英】indigenous microbial flora, indigenous microbiota
【独】physiologische Flora, Normalflora
《同義語》正常微生物叢normal microbial flora
正常なヒトや動物の皮膚,粘膜の表面に定着している微生物の集団をいう.細菌のみを問題にする場合には常在細菌叢indigenous bacterial flora(正常細菌叢normal bacterial flora)という.出産時,産道を通過するときから微生物との接触が始まり,生後一両日中に微生物叢の形成が進む.構成菌の種類と数は年齢や個人によりある程度の差はあるが,生体の部位により一般的な特徴がある.皮膚ではStaphylococcus epidermidis, S. aureus, Propionibacterium acnesが主体をなす.口腔には多種の菌が常在するが,Streptococcus salivarius, S. mitis, S. sanguis, S. mutans, Actinomyces, Bacteroides, Fusobacterium, Treponema, Candida albicansが多い.消化管では小腸下部から多くなり,大腸では著しく多数の菌が存在する.大腸の微生物叢は,嫌気性菌が99.9%を占める.Bacteroides,Fusobacterium,Peptococcus, Eubacterium, Bifidobacteriumが主体をなしている.呼吸器ではブドウ球菌,非病原性のCorynebacterium, Haemophilusが常在する.常在微生物叢を構成する微生物は通常は宿主に害を与えることなく共生状態にあり,病原菌の侵入に対する防御機構の一つとしての働きもなしている.しかし,宿主の感染防御能が低下した状態では菌交代症*などの形で内因感染endogenous infectionの原因となる場合がある.また,常在菌が本来存在する場所から何らかの原因で体内の別の場所に侵入すると,病原菌として発症をもたらす場合もある(異所性感染〔症〕heterotopic infection).
南山堂医学大辞典 ページ 3494。