再生不良性貧血[サイセイフリョウセイヒンケツ]🔗⭐🔉振
再生不良性貧血[サイセイフリョウセイヒンケツ]
【英】aplastic anemia
【独】aplastische An
mie
【ラ】anemia aplastica
末梢血中の汎血球減少〔症〕*(赤血球,白血球,血小板数のいずれもが減少)と,骨髄の低形成を特徴とする疾患である.先天性のファンコニー貧血Fanconi's anemiaと後天性の例に分けられる.先天性の例は皮膚色素沈着,腎や四肢の奇形,骨成長障害などを合併する.後天性の例は原因不明の特発性再生不良性貧血と,特定の薬剤または薬物に接したあとあるいは放射線照射後などに起こる二次性再生不良性貧血がある.二次性に再生不良性貧血を起こす薬剤は抗腫瘍剤のように投与量に並行して発症する場合と,クロラムフェニコール*などのように患者の薬剤過敏性が関与する場合の2通りがある.その他,肝炎後に発症する例もある.症状は特発性と二次性とで差はない.貧血の症状,血小板減少による出血傾向,感染による発熱などである.末梢血では汎血球減少を呈し,網赤血球の減少,相対的リンパ球増加などを呈する.骨髄は脂肪髄で,造血細胞が減少していることが多い.塗抹標本ではリンパ球,形質細胞,細網細胞が増加している.症例によっては骨髄が過形成で,赤芽球*が増加していることがある.しかし,いずれの場合も巨核球*は減少している.診断は除外診断で,汎血球減少を起こす他の疾患を除外して初めて診断される.治療として二次性再生不良性貧血の場合には原因の除去がまずあげられる.病状によって,軽症,中等症,重症に分けられる.軽症と中等症の場合は男性ホルモンやタンパク同化ホルモン*などで治療され,約60%が6ヵ月で寛解になる.重症例ではタンパク同化ホルモンは無効で,若年でHLA(組織適合抗原*)の合った同胞がいる場合は骨髄移植*で治療し,骨髄提供者がいない場合は免疫抑制療法を行う.免疫抑制療法としてはメチルプレドニゾロン*の大量療法,抗リンパ球グロブリンあるいは抗胸腺細胞グロブリン投与,シクロスポリンA投与が行われている.Fanconi症候群は副腎皮質ホルモンと男性ホルモンの併用療法によく反応するため,成人の本症に比べて予後が良好である.→ファンコニー貧血

南山堂医学大辞典 ページ 2755。