流行性耳下腺炎[リュウコウセイジカセンエン]🔗⭐🔉振
流行性耳下腺炎[リュウコウセイジカセンエン]
【英】epidemic parotitis
【独】Mumps
【仏】parotidite
pid
mique
【ラ】parotitis epidemica
《同義語》おたふくかぜ,ムンプスmumps
ムンプスウイルス*の感染による耳下腺腫脹をいう.おたふくかぜの俗名がある.ムンプスウイルスはRNAウイルスで,パラミクソウイルス群に属する.上気道を介する飛沫感染.好発年齢は乳児・学童である.流行期は冬季であるが,年中散発的発生がある.ムンプスウイルス感染症は全身感染症で,全身の臓器を侵すが,その代表的病像が本症である.潜伏期は2〜3週,両側または片側の耳下腺が腫脹する.このとき数日の発熱を伴うものが多い.耳下腺腫脹は有痛性で,圧痛,自発痛があり,境界不鮮明な柔らかい腫脹が耳朶を中心として起こる.他の唾液腺の腫脹をみることがある.耳下腺開口部の発赤が認められるが,膿汁の排泄はない.反復して起こる耳下腺腫脹はムンプスウイルスによるものではなく,細菌性耳下腺炎のことが多い.ムンプスウイルスによる他の病像には睾丸炎があり,成人男性にみられる.多くは片側性で,両側が侵されることは少ない.後遺症としての男性不妊は非常にまれであるという.卵巣炎が成人女子にみられるが,頻度は低い.膵炎がムンプスの約1%にみられる.発熱,悪心・嘔吐,上腹部痛があり,糖尿病との関係が重視されている.髄膜脳炎*がある.多くは無菌性髄膜炎*の経過をとるものが多い.耳下腺炎以外の臨床像は耳下腺腫脹を伴うときと,これを伴わないときがあり,耳下腺腫脹を伴わないときには,診断は実験室診断(ムンプスウイルス分離,血清抗体値の測定)が必要である.


南山堂医学大辞典 ページ 7874 での【流行性耳下腺炎[リュウコウセイジカセンエン]】単語。