薬剤性大腸炎[ヤクザイセイダイチョウエン]🔗⭐🔉振
薬剤性大腸炎[ヤクザイセイダイチョウエン]
【英】drug-induced colitis
《同義語》抗生物質起因性大腸炎antibiotic-associated colitis
薬剤のうち,抗生物質によって起こる大腸炎*がほとんどで,ほぼ同意語的に抗生物質起因性大腸炎とも呼ばれる.抗生物質起因性大腸炎は出血性大腸炎hemorrhagic colitisと偽膜性大腸炎pseudomembranous colitisの2つに大別される.出血性大腸炎は主に合成ペニシリンとくにアンピシリン*で起こるものでわが国に多い型である.青壮年に好発し女性に多い傾向がみられる.病変部位は下行結腸より口側のことが多い.成因は不明であるが糞便から好気性菌Klebsiella oxytocaが培養されることが多い.治療は対症療法である.一方,偽膜性大腸炎は主にクリンダマイシン*,リンコマイシン*で起こるもので欧米に多い.中高年層に好発する.発症は緩徐で,下痢,腹痛,裏急後重(しぶり*)などの症状が7日〜数週間持続する.病変部はS状結腸や直腸で,黄色調の偽膜がみられる.糞便からClostridium difficileが検出されることが多く,その毒素が成因と考えられている.治療にはC.difficileに感受性をもつバンコマイシンやステロイドが用いられる.
南山堂医学大辞典 ページ 7581 での【薬剤性大腸炎[ヤクザイセイダイチョウエン]】単語。