ヘモグロビン🔗⭐🔉振
ヘモグロビン
【英】hemoglobin(Hb)
【独】H
moglobin
【仏】h
moglobine
《同義語》血色素
ヒトヘモグロビンの種類は2個のα鎖*と2個の非α鎖(β, γ, δ鎖)からなる四量体で,α2 β2(Hb A), α2 γ2(Hb F)およびα2 δ2(Hb A2)で構成される.分子量は64,400,5.0×5.5×6.4nmの球状の水溶性タンパクである.α鎖,非α鎖を構成するアミノ酸の75%はαヘリックスを形成し,N末端から順にA, B, C…Hと命名されている.これらのαヘリックスは曲がりくねって特異な三次構造をとり,疎水性アミノ酸の大部分は分子内面に埋もれ水を隔離し,親水性アミノ酸は分子外面にあり,溶媒と接している.ヘム*はヘリックスEとFの屈曲部の隙間(ヘムポケット)にあり,第5配位座でFヘリックス8番目のヒスチジンのイミダゾールと結合し,第6配位座で酸素などと結合・解離する.α鎖では19,β鎖*では21個のアミノ酸側鎖とヘム辺縁との間に水素結合しヘム‐グロビン複合体を安定化する.4個のサブユニット*は,α鎖同士の接触,β鎖同士の接触,隣のα鎖とβ鎖の接触(α鎖16個とβ鎖18個のアミノ酸の結合),対角線上のα鎖とβ鎖の接触(酸素型でα鎖10個,β鎖9個;脱酸素型でα鎖11個,β鎖9個のアミノ酸の弱い結合)によりヘモグロビン分子を安定化し,酸素との結合解離の機能を保持し,酸素運搬の機能を果たしている.ヘモグロビンは一部の植物,無脊椎動物,脊椎動物と,広く生物界に分布している.これらはヘモグロビン相同タンパク質共通の祖先から由来し,機能的には酸素の貯蔵から運搬へと進化した.


南山堂医学大辞典 ページ 6911 での【ヘモグロビン】単語。