壊死[エシ]🔗🔉

壊死[エシ] 【英】necrosis 【独】Nekrose 【仏】ncrose 【ラ】necrosis 《同義語》ネクローシス 組織の死,すなわち個々の細胞,細胞の集合あるいは身体の一部が非可逆的に傷害された状態.細胞一個の壊死としてはウイルス性肝炎での肝細胞の壊死(単細胞壊死single cell necrosis)があげられる.細胞集合としての組織の壊死としては心筋梗塞がよい例であり,この場合は心室壁の一定領域で心筋細胞だけでなく,共存する結合組織などを含めて全体が壊死に陥る.下肢の動脈閉塞で片側の足全体に発生したような場合にも,足の壊死という言葉を使う.壊死の原因はさまざまであるが,要するに細胞傷害性の因子によるわけで,血液供給の障害(虚血)により支配領域に生ずる壊死,毒物や放射線の作用,ウイルスや細菌の感染による宿主細胞の壊死などが主なものである.このうち虚血による壊死はとくに梗塞infarctionと称しており,心筋梗塞や脳梗塞など臨床的にも重要な疾患が含まれる.壊死に陥った細胞の組織学的な特徴としては核濃縮・核崩壊・核融解などの核の変化,細胞質の凝固などがあげられるが,これらは細胞が死んだ後,一定時間生体中に置かれた後に生ずる変化である.組織中の細胞の生死を形態学的に直接判断する方法は今のところない.例えば心筋梗塞が壊死という可視的な変化として現れるには虚血発生後6〜12時間を経ることが必要で,発作後短時間で死亡した症例では心筋壊死の特徴的な変化は見出されない.壊死の種類としては凝固壊死液化(融解)壊死が区別されている.前者は壊死部分が無構造の塊としてある期間組織中に残存するものであり,結核結節における乾酪壊死などが代表的である.後者は壊死域が短時日で融解液化する形の壊死で,中枢神経の壊死すなわち脳軟化症が定型的な場合である.その他,壊死域に腐敗が加わった状態は壊疽gangrene(または脱疽),壊死域が乾燥した状態はミイラ化と称せられる.→アポトーシス細胞死

南山堂医学大辞典 ページ 646 での壊死[エシ]単語。