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肺水腫[ハイスイシュ]🔗🔉

肺水腫[ハイスイシュ] 【英】pulmonary edema 【独】Lungendem 【仏】oedme pulmonaire 【ラ】oedema pulmonum 肺うっ血の強い左心不全,毛細管壁の透過性の異常に亢進した腎不全,強力な刺激物の吸入の時などに起きる.血清が血管外に漏出し,組織間液が増加し,さらに肺胞内へと漏出した状態である.左心不全left-side heart failureで説明すると,左心不全の初期は,夜床につくと空咳が出,さらに呼吸困難が加わってくるが,しばらくすると楽になり寝つける.さらにつよくなると,呼吸困難が強く,患者は寝ていられず起きあがる.これを起坐呼吸というが,肺水腫状態ではほとんど起坐呼吸となっている.小水泡音(湿性ラッセル音)が広範に聴かれる.胸部X線写真で,中等度の左心不全だと肺うっ血像のみであるが,肺水腫まで進むと,肺門陰影が不規則に拡大し,蝶状に見える.肺水腫を起こした原因により治療は異なる.左心不全の時は,半座位とし,酸素を吸入する.利尿薬で利尿をつけるが,カテコールアミン,血管拡張薬も用いられる.肺水腫が強く,動脈血酸素濃度が酸素吸入で上昇しない例では,人工呼吸器が用いられる.腎不全,尿毒症の時に生じた肺水腫は,半座位,酸素吸入と同時に,血液透析などを行い,水分の除去を行う.

南山堂医学大辞典 ページ 5915 での肺水腫[ハイスイシュ]単語。