肺炎[ハイエン]🔗⭐🔉振
肺炎[ハイエン]
【英】pneumonia
【独】Pneumonie
【仏】pneumonie
肺炎は肺に起こる炎症性変化の総称であり,形態上は肺胞性肺炎と間質性肺炎*およびそれらの混合型が含まれる.肺胞性肺炎は真性肺炎とも呼べるが,単に肺炎の名称が慣用されている.急性と慢性に分けられるが,多くは急性で,慢性のものには間質性肺炎から器質化肺炎あるいは肺線維症*に進むものが多い.肺炎の成因になるものには,ウイルス,細菌,真菌その他の微生物,化学物質(薬物も含む),ガス,放射線など物理エネルギーおよび免疫異常(アレルギー*や膠原病*を含む)などがある.この中で早期から血流やリンパ流に入るものは間質性肺炎に進みやすい.炎症巣で組織壊死が強く起こったり,局所血栓形成による血流途絶を生ずると肺膿瘍*となる.最も普通にみられる細菌性肺炎*の中で肺炎球菌性肺炎pneumococcal pneumoniaは基準的な経過をとって治癒に向かう.感染の成立とともに炎症反応が始まり,血管反応が主体をなす充血期,次いで線維素と白血球の滲出が生ずる肝変期に入る.肝変期には赤血球濾出の多い赤色肝変期,白血球と線維素の多い灰色肝変期,白血球が脂肪変性に陥って黄色肝変期,融解酵素の放出が多くなる融解期へと移っていく.肺炎球菌性肺炎では8日前後で分利性解熱とともに融解期にはいる.抗生物質の使用でこれは短縮されている.感染する細菌の菌毒性によってこれら各期の病像は異なっており,弱毒性の感染には肺間質の反応が関わるものが多い.結核でみられる乾酪性肺炎*や気道閉塞*に由来するリポイド肺炎*などは特殊型である.その発生条件を注目して沈下性肺炎(就下性肺炎*),嚥下性肺炎(吸引性肺炎*),閉塞性肺炎obstructive p.,尿毒症性肺炎uremic p.などが分類されるが,感染を合併していることが多い.間質性肺炎は原因不明なものおよび原因の明らかなものに分類され,後者には多数の物質,細菌が知られており,医原性のものは大部分この群に属する.しかし同一の病因が多くの患者に同様に作用するとは限らず,発病の機序には個人的条件の関わりがかなり大きいものとみられる.
南山堂医学大辞典 ページ 5869 での【肺炎[ハイエン]】単語。