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うつ病[ウツビョウ]🔗🔉

うつ病[ウツビョウ] 【英】depression 【独】Depression 【仏】dpression 《同義語》抑うつ症,メランコリーmelancholia 本来は躁うつ病のうつ病相を意味していたが,うつ状態と同義に用いられることが多い.うつ病の主症状は, 1)気分障害(感情障害), 2)思考障害, 3)意欲・行為障害, 4)身体症状に分けられる. 1)気分障害の基本は抑うつ気分であり,程度が強くなると無感動になる.また,離人感(→離人症)を伴うこともある.不安感や焦燥感が強いと不穏,焦燥,興奮状態を示すこともある. 2)思考障害の特徴は思考形式の面では思考制止(思考抑制)であり,内容の面では罪業,貧困,心気妄想に代表される微小妄想である. 3)うつ病の意欲・行為障害は精神運動制止psychomotor retardationと呼ばれる.しばしば患者はやらなければという気持ちは強いが,億劫(おっくう)でやれないと表現する. 4)身体症状としては睡眠障害,食欲低下・体重減少,性欲減退,自律神経機能の障害,頭痛・頭重,易疲労・倦怠感などの頻度が高い.そのほか抑うつ気分や精神運動制止は午前中に強く,夕方から夜にかけて軽くなる場合が多く,これを日内変動diurnal variationと呼ぶ.今日DSM-IVICD-10の分類ではうつ病は双極性障害bipolar disorderのうつ病エピソードあるいは大うつ病性障害major depressive disorder(ICD-10では双極性感情障害, 現在うつ病エピソードあるいは反復性うつ病性障害に相当)に分類されるが,従来は原因により, 1)内因性うつ病, 2)心因性うつ病, 3)身体因性うつ病と分類されたり,わが国では笠原,木村が病前性格―発病前状況―病像―治療への反応―経過を考慮して, 1)性格(状況)反応型うつ病, 2)循環性うつ病, 3)葛藤反応型うつ病, 4)偽循環性うつ病, 5)悲哀反応, 6)その他のうつ状態,に分類している.抗うつ薬の開発により約70%のうつ病は治療可能となり,双極性うつ病もリチウムlithiumやカルバマゼピンcarbamazepine(CBZ)などの気分安定薬の開発で治療および予防が可能になってきた.しかし,なお20〜30%のうつ病はこれらの薬物療法に反応せず,難治である.

南山堂医学大辞典 ページ 585 でのうつ病[ウツビョウ]単語。