インフルエンザ菌[インフルエンザキン]🔗⭐🔉振
インフルエンザ菌[インフルエンザキン]
【ラ】Haemophilus influenzae
《同義語》パイフェル桿菌Pfeiffer bacillus
グラム陰性通性嫌気性桿菌であるヘモフィルス*Haemophilus属の細菌の基準種である.大きさは0.2〜0.5×0.5〜3.0 μmの球桿菌または小桿菌である.増殖には血液中のX因子Xfactor(ヘミンhemin)とV因子 V factor(NADおよびNADP)とを要求するので,分離培養にはチョコレート寒天を使用する.V因子を産生する黄色ブドウ球菌*の集落の周囲では本菌の集落が大きくなる(これを衛星現象*satellite phenomenonという).莢膜多糖体の抗原性によってa〜fの6血清型に分類する.また,生化学的性状によって,I〜VIIIおよびbiovar aegyptiusの9生物型に分ける.DNAのGCの含量は39モル%である.1892年にPfeifferによりインフルエンザの患者から分離され,当時はインフルエンザの原因菌と考えられた(インフルエンザはウイルス感染症である).ヒトの鼻咽腔に常在している.血清型b型の莢膜をもった生物型I型の菌株は,小児の髄膜炎の原因菌であり,時に急性喉頭蓋炎(閉塞性喉頭炎)を起こす.莢膜保有菌は成人の肺炎の原因となる.莢膜をもたない生物型IIまたはIII型の菌株は,慢性気管支炎,副鼻腔炎,中耳炎,結膜炎の原因となる.治療には第一選択として重症感染のときはcefotaxime,ceftriaxone,cefutoxime,重症でないときは,amoxicillin-clavulanate,cefaclor,cefixime,ST合剤,第二選択としてimipenem-cilastatin,ciprofloxacinを用いる.biovar aegyptius(Koch-Weeks bacillus,H. aegyptius)は急性結膜炎の起炎菌であり,rifampicinで治療する.
南山堂医学大辞典 ページ 511 での【インフルエンザ菌[インフルエンザキン]】単語。