腸内細菌[チョウナイサイキン]
【ラ】Enterobacteriaceae
腸内細菌科Enterobacteriaceaeに属する細菌のことをさす.グラム陰性の中等大,無芽胞桿菌で,周毛性鞭毛をもって運動性の菌と,鞭毛をもたず非運動性の菌とがある.通性嫌気性で通常の培地およびMacConkey培地によく発育し,ブドウ糖を分解して酸およびガスまたは酸のみを形成する.オキシダーゼ陰性,カタラーゼは赤痢菌の1型(Shigella dysenteriae 1)を除いて陽性,好塩性はなく,ErwiniaおよびYersiniaの一部を除いてNO3−を還元してNO2−にする.DNAのGC含量は36〜60mol%の間にあり,代表属はEscherichiaである.腸内細菌という名称は,以上のような性状をもつ菌をさし,消化管に常在ないし病原性を有する菌でも,この性状からはずれるもの(例えばVibrio cholerae,Clostridium perfringensなど)は一般に腸内菌または腸管内細菌(intestinal bacteria,enteric bacteria)と呼んで区別し,逆にこの性状を備える菌は,消化管と関係なくとも腸内細菌という(Yersinia pestis,Erwinia spp.など).Escherichia,Shigella,Edwardsiella,Citrobacter,Salmonella,Klebsiella,Enterobacter,Hafnia,Serratia,Proteus,Providencia,Morganella,Yersiniaなど20の属genusが本科に所属するが,医学的には上にあげたものが主として問題となっている.
南山堂医学大辞典 ページ 5014 での【腸内細菌[チョウナイサイキン]】単語。