腸間膜[チョウカンマク]🔗⭐🔉振
腸間膜[チョウカンマク]
【英】mesentery
【独】Gekr
se, Mesenterium
【仏】m
sent
re
【ラ】mesenterium
腹部内臓が腹壁から遊離した位置をとる場合には,壁側腹膜がその部の腹壁を離れて内臓の表面に達し,これを包んだのち再び腹壁にかえる.この往復2葉の腹膜が合して生ずる膜構造物を腸間膜(広義)という.発生的には,消化管を前腹壁に結ぶ腹側腸間膜ventral mesenteryならびに後腹壁に結ぶ背側腸間膜dorsal mesenteryとに区分するが,前者は胃十二指腸の高さだけに残り,肝鎌状間膜と小網を形成する.後者はほぼ全長にわたり残存するが,骨盤*に接する直腸*の大半ではこれを欠く.発生途上に消化管が著しく伸長し諸器官の大きさも増大してくると,腹膜腔内は非常にこみあってくるため,腸間膜の一部は壁側腹膜と密着し,互いに癒合してしまう.十二指腸,上行結腸,下行結腸などの各間膜がその例であり,これらの腸管は腹壁に固定された状態となり,移動性が著しく低下する.その他の消化管,たとえば胃,空腸,回腸,横行結腸,S状結腸などは間膜を保有し,移動性に富む.後胃間膜の大半は大弯からたれ下がり大網を形成する.空・回腸の間膜は小腸間膜mesentery properあるいは単に腸間膜(狭義)と呼ばれ,その根部(腸間膜根)は第2腰椎体の左方から右腸骨窩に延び,約15cmの長さをもつ.腸間膜は,消化管に出入する脈管神経の通路として重要である.



南山堂医学大辞典 ページ 4984 での【腸間膜[チョウカンマク]】単語。