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腸炎エルシニア[チョウエンエルシニア]🔗🔉

腸炎エルシニア[チョウエンエルシニア] 【ラ】Yersinia enterocolitica 腸内細菌科のなかのエルシニア属の一種.至適発育温度が30℃であり,4℃以下でも増殖可能である.30℃以下でのみ周毛性鞭毛をもち運動性を示す.二分裂時間が大腸菌の約2倍(40分)で,集落形成はやや遅く,普通寒天,MacConkey,SS培地などに30℃, 48時間後に,乳糖非分解の径1〜1.5mmの半透明,円形の集落をつくる.ウレアーゼ陽性,硫化水素非産生,25℃前後でのみVoges-Proskauer反応陽性.本菌群には1〜5の生物型(Wauters)と多数の血清型がある.患者から最もしばしば分離される菌株は生物型4,血清型O群3であり,ついでいずれも生物型2のO群8, 9, 5である.自然環境由来株の多くのものは生物型1に属し,血清学的にも上記以外のO群である.本菌の感染は世界的な広がりをみせ,その病像は多彩であり,胃腸炎,虫垂炎,回腸末端炎,腸間膜リンパ節炎などの急性腹症,敗血症,関節炎,結節性紅斑などである.わが国ではこの菌による集団食中毒がしばしば発生している.感染様式としてはヒトへの病原株を高率に保有するイヌやブタから直接に,あるいは汚染された食肉を介して感染するものと考えられている.

南山堂医学大辞典 ページ 4969 での腸炎エルシニア[チョウエンエルシニア]単語。