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胆汁酸[タンジュウサン]🔗🔉

胆汁酸[タンジュウサン] 【英】bile acid 【仏】acides biliaires 化学構造の中核がシクロペンタノペルヒドロフェナントレンcyclopentanoperhydrophenanthrene環で,その17位に炭素数5個でカルボキシル基を末端にもつ側鎖のある化合物.ヒトではコール酸cholic acidおよびケノデオキシコール酸chenodeoxycholic acidが一次胆汁酸primary bile acidで,コレステロールから7α-ヒドロキシラーゼ 7α-hydroxylaseによって異化される.ヒトではさらにデオキシコール酸deoxycholic acidとリトコール酸lithocholic acidを加えた4種類が単離されている.後者は二次胆汁酸secondary bile acidで,腸内細菌によって合成される.これらの胆汁酸は肝でグリシンやシステイン由来のタウリンとアミド結合(抱合)し,できたグリココール酸glycocholic acid,タウロコール酸taurocholic acidなどは弱アルカリ性の胆汁中ではナトリウム塩またはカリウム塩として胆汁酸塩をつくる.回腸より効率よく吸収され,門脈を経て肝に戻り,再び胆汁中に排泄される(腸肝循環enterohepatic circulation).この時,腸内細菌は二次胆汁酸を合成したり,グリシンやタウリンの抱合をはずす働きがある.胆汁酸にはいくつかの重要な働きがあり,まず,脂肪を乳化し,膵リパーゼによる脂肪の水解を助け,脂肪酸‐モノグリセリド‐胆汁酸塩の複合ミセルmicelleを形成し,小腸での脂肪の消化・吸収を促進させる.また,胆汁酸はコレステロール代謝の終末産物であることから,コレステロールを体内から糞便中に排泄する主経路となっている.肝におけるコレステロール生合成および体内コレステロールプールサイズcholesterol pool sizeは食事中のコレステロールだけでなく,腸肝循環の胆汁酸によってもフィードバック制御feedback regulationを受け,実際,高コレステロール血症は胆汁酸の腸での再吸収を阻止することで治療される.

南山堂医学大辞典 ページ 4801 での胆汁酸[タンジュウサン]単語。