胆管炎[タンカンエン]🔗⭐🔉振
胆管炎[タンカンエン]
【英】cholangitis
【独】Cholangitis, Angiocholitis
【仏】angiocholite, cholangite
【ラ】cholangitis
《同義語》胆道炎
胆管炎は十二指腸より逆行性に細菌感染が起こることが多い.また多くの伝染病で急性に起こることがある.急性炎症はカタル性,化膿性,壊死性炎症が存在し,その他慢性炎症も存在する.しばしば胆嚢炎*が合併する.頻度としては総胆管末端に胆石が嵌頓して起こることが多い.悪性腫瘍により胆汁の流通障害が誘因となることもある.膵炎や寄生虫感染に続発することもある.胆汁はうっ滞し,胆管は充血,浮腫,多量の分泌物で膿汁様となり細菌を証明し胆道内圧は高くなり,いわゆる感染胆汁で胆道が満たされる.急性閉塞性化膿性胆管炎 acute obstructive suppurative cholangitis(AOSC)では急速に進展して重篤となる.大部分が閉塞性黄疸例であり,低栄養状態,ショック準備状態,重篤な基礎疾患による免疫不全状態,さらに胆管内圧のわずかな上昇でも感染胆汁が容易に静脈内に逆流する感染路が存在する.細菌は大腸菌が最も多く,クレブシエラ,エンテロバクター,プロテウスなどグラム陰性桿菌が発見され細菌性ショック*,エンドトキシンショックが出現する.大部分の症例で多発性肝膿瘍を合併する.症状は突如として発現し,上腹部疼痛,高熱および黄疸はシャルコー三〔主〕徴*Charcot's triadといわれる.さらに意識障害,ショック状態の加わったものがレイノルズ五徴Reynolds' pentadと呼ばれる.このショックは菌血症によって起こる.その本態はエンドトキシンショックと考えられており,はじめ高熱,悪寒戦慄に始まり白血球増多が著明で20,000〜30,000を数える.血圧ははじめ軽度低下,呼吸促迫をみるが次第に血圧低下が著明となり,無尿,アシドーシス*となり昏睡状態となる.黄疸は著明でアルカリホスファターゼ値も高値となる.血小板数は減少しいわゆる播種性血管内凝固症候群*disseminated intravascular coagulation(DIC)を起こし死亡する.感染胆汁を体外に誘導する処置として経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD*)または胆嚢外瘻造設術を緊急に行い,かつ強力な化学療法を行う.胆道内圧を減弱させる処置を行わずに化学療法を行っても効果はほとんど期待できない.
南山堂医学大辞典 ページ 4783 での【胆管炎[タンカンエン]】単語。