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大腿骨骨折[ダイタイコツコッセツ]🔗🔉

大腿骨骨折[ダイタイコツコッセツ] 【英】fracture of the femur 【独】Oberschenkelfraktur 【仏】fracture du fmur 〔I〕大腿骨頚部内側骨折:老人ことに女性に多発する.歩行中,足さきを引っかけて下肢が急激に外旋しただけで骨折し,その結果として転倒することが多い.〔分類〕 Gardenの分類が用いられる. 1)不〔完〕全骨折, 2)くいこみ骨折, 3)転位の少ない骨折, 4)完全転位骨折.〔難治性の理由〕 1)外骨膜を欠く, 2)大腿骨頭栄養動脈が遮断される, 3)骨折部に剪力が働く, 4)老人に多く,骨粗鬆(しょう)症が高度なため仮骨形成不良である.〔診断〕 受傷機転,臨床症状.X線所見(両側2方向撮影)による.〔合併症〕 1)偽関節, 2)大腿骨骨頭壊死, 3)長期臥床による肺炎,尿路感染,褥瘡,老人性痴呆など.〔II〕大腿骨頚部外側骨折:外側骨折は大転子部を打撲して発生することが多い.一般に内側骨折よりも強い外力によって折れる.〔分類〕 転子間骨折intertrochanteric fractureと転子貫通骨折pertrochanteric f.に分けられる.またEvansによる安定型と不安定型との2つに分類される.〔診断〕 1)一般的に高齢者が転倒して生じ,また直接大転子部を打撲しても発生する.機能障害や肢位は内側骨折に似ているが,自発痛や圧痛はやや外側に存在する.大転子部に腫脹や皮下出血が認められる. 2)前後・側面の2方向X線撮影によって確定診断を行う.〔合併症〕 内側骨折よりも骨癒合が得られやすいが,内反股を生じやすい.〔III〕大腿骨骨幹部骨折:〔診断〕 X線撮影には大腿骨二方向のみならず,股関節,膝関節の撮影を行い,上下の骨関節の損傷の有無につき十分に検索することを忘れてはならない.骨片転位は特徴的であり,近位1/3部では近位骨片は外転(中・小殿筋による),屈曲(腸腰筋による),外旋(外旋筋群による)を呈し,遠位骨片は短縮(骨盤下肢筋による),内転(内転筋群による)を呈す.中央1/3の骨片では,近位骨片は軽度屈曲位で,短縮した遠位骨片がその後方に位置する.遠位1/3の骨折では,遠位骨片が腓腹筋の作用により,後方凸の屈曲位を呈す.〔合併症〕 1)血管・神経の損傷:ショック,頭部外傷,内出血(脾臓損傷など).一過性の腓骨神経麻痺が生じることがある. 2)下肢の短縮や回旋変形. 3)膝関節運動障害.

南山堂医学大辞典 ページ 4635 での大腿骨骨折[ダイタイコツコッセツ]単語。