躁病[ソウビョウ]🔗⭐🔉振
躁病[ソウビョウ]
【英】mania
【独】Manie
【仏】maine
本来は躁うつ病*の躁病相を意味するが,うつ病相を伴わず,躁病相のみ繰り返すタイプもある.躁病という場合はこのように双極性障害の躁病相を意味するが,躁状態は気分*障害(感情障害*)に限らず,器質脳疾患,症状精神病*,精神分裂病*,非定型精神病*などの一症状として使われるより広い概念である.躁病の主症状は, 1)躁性気分(感情)障害, 2)思考障害*, 3)意欲・行動障害, 4)身体症状に分けられる. 1)気分障害の基本は爽(そう)快な気分,高揚した気分である.これに加えて,刺激性や易怒性が高まることもしばしばである. 2)思考障害の特徴は形式面では観念奔逸*であり,話題が次々と飛んだりまとまらなくなったり,一定の目標に向かって話すことができない.内容的には誇大的で,それが妄想に発展することもある(誇大妄想*). 3)意欲・行動面では全体に亢進し,多弁,多動*,行為心迫*(じっとしていられず,たえず動きまわり落ち着かない)を示す.また,乱費傾向や社会的逸脱行為が目立つこともある. 4)身体症状としては,早朝覚醒,食欲・性欲の亢進,体重減少などがみられる.DSM-IVやICD-10*の分類では躁病は双極性障害bipolar disorder,躁病エピソード(ICD-10では双極性感情障害,躁病エピソード)に分類されている.リチウム,カルバマゼピン*などの気分安定薬には抗躁作用だけでなく病相予防作用があり,約70%の躁病は治療および予防が可能であるが,一部は慢性化,遷延化あるいは頻発型に移行し,難治化するものがある.
南山堂医学大辞典 ページ 4504 での【躁病[ソウビョウ]】単語。