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赤痢アメーバ[セキリアメーバ]🔗🔉

赤痢アメーバ[セキリアメーバ] 【英】amoeba dysenteriae 【独】Amoeba(Entamoeba) histolytica 【仏】amibe dysentrique 【ラ】Entamoeba histolytica アメーバ赤痢amebic dysenteryの病原体.熱帯,亜熱帯を中心に世界に広く分布し,世界の感染者は5億人にも及ぶと推定されている.栄養型嚢子(シスト)があり,栄養型は大きさ20〜40 μmの不定形を呈し,急性期患者の粘血便や移転性の膿瘍穿刺液などから,嚢子は無症状感染者や回復期患者などの有形便から検出される.通常,嚢子に汚染された飲食物から経口感染するが,多くは無症状感染者になる.侵入した嚢子は小腸で脱嚢,分裂して8個の小栄養型となり大腸に移行し,粘膜組織内に侵入増殖して特有の壺形の潰瘍を形成する.軽症例では軟便,便通不整,腹痛などをきたすにすぎないが,重症例では1日十数回以上のイチゴ(苺)ゼリー状の粘血便を排出し,しぶり腹や回盲部圧痛を伴い,この場合は法定伝染病として扱われる.なお,腸管腔の栄養型は下降しながら糞便の脱水有形化とともに縮小して嚢子となり体外に排出され感染源になる.腸外アメーバ症は腸病変からの移転によるもので右葉に好発する肝膿瘍(→アメーバ性肝膿瘍)が重要で,発熱,肝腫大,悪心,右季肋部痛,白血球増加などをきたす.放置すれば腹膜炎や横隔膜を穿孔して肺膿瘍に進展する危険がある.まれに脳,脾,皮膚などの転移例もある.治療には病型を問わずメトロニダゾールやチニダゾールの経口投与が有効であるが,重症例にはデヒドロエメチンを筋注.最近,わが国では欧米先進国と同様,男性同性愛者間の伝播が増加傾向にあり,性感染症の様相を呈している.

南山堂医学大辞典 ページ 4226 での赤痢アメーバ[セキリアメーバ]単語。