浸軟[シンナン]🔗🔉

浸軟[シンナン] 【英】maceration 【独】Mazeration 【仏】macration 【ラ】maceratio 母体内で死亡した胎児は,直ちに娩出されることはまれであり,数日間ときには100日以上も子宮内に停留する.妊娠2ヵ月以前の死胎児は羊水中に融解吸収されて消失するが,妊娠3ヵ月以後では完全に吸収されることは困難であり,体組織は羊水や血液によって浸軟作用を受け,浸軟児として娩出される.浸軟は無菌状態での自家融解autolysis(自己融解)であって腐敗ではない.死胎児の受ける浸軟作用は死亡24時間以内に娩出された場合,外見上に特別な異常を認めないが,母体内に停留する期間が長くなるほど,浸軟現象maceration phenomenon(浸漬現象)が出現する.浸軟初期の変化は外表のみに限局し,表皮は灰褐色で剥離しやすく,大小の水疱を形成する程度であるが,徐々に表皮が剥離して赤褐色の真皮を露呈する(血漿性胎児foetus sanguinolentus).浸軟が進めば,全身は軟化弛緩し,諸関節が屈伸自在となり,頭蓋も縫合離開し可動性に富み,血液浸潤で全身は淡赤色となる.臍帯は赤褐色で水腫様に腫大し,胎盤も水腫状に柔軟となる.一方,死胎児が乾燥してミイラ化する場合もあり,それに石灰沈着を伴うと石胎Steinkindになる.

南山堂医学大辞典 ページ 3888 での浸軟[シンナン]単語。