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腎摘出術[ジンテキシュツジュツ]🔗🔉

腎摘出術[ジンテキシュツジュツ] 【英】nephrectomy 【独】Nephrektomie 【仏】nphrectomie 経腹膜腎摘出術transperitoneal nephrectomy,経胸経腹腎摘出術thoracoabdominal n.と経腰的腎摘出術translumbar n.の3つの到達経路ならびに術式がある.根治的腎摘出術radical n.では腎の所属リンパ節の郭清術を同時に施行する.経腹膜腎摘出術は通常,上腹部正中切開で行われる.腸管を排除し,腹腔内から後腹膜腔に到達し,腎静脈露出後に腎動脈を剥離・結紮・切断した後に腎静脈を結紮・切断する.腎癌・腎芽細胞腫(Wilms腫瘍)では腎茎部の血管処理を先に行い,ジェロタ筋膜Gerota's fasciaを含めて摘出する.腫瘍が巨大になると経胸経腹法が用いられる.膿腎症では通常,経腰的腎摘出術が施行されるが,腹膜・腰背筋との癒着が強固な場合には腎被膜を残して腎摘出する.これを被膜下腎摘出術intracapsular n.という.腎機能回復が望めない症例に施行される.経腰的腎摘出術ではBergman-Israel切開法(ベルグマン・イスラエル皮膚切開線)またはその変法が用いられる.第12肋骨下,または第11 ・ 12肋骨間から傍腹直筋線に至る皮切線を加え,必要により延長する.摘出すべき腎が巨大な場合には,第11または第12肋骨は切除する.外・内腹斜筋,広背筋を切開し,腹横筋を切離すると後腹膜腔に到達できる.Gerota筋膜を切開すると腎が露出する.経腰的腎摘出術では腎を剥離・脱転した後に,腎動静脈を一括結紮・切断する.腎移植術では腎動静脈を別々に処置する.前弯症例に対してはGilvernet切開などを用いる.なお,腎癌のときの腎摘出術は,腎周囲脂肪組織などのすべてを,Gerota筋膜を含めて摘出するので,根治的腎摘出術と称されるが,腎結核膿腎症萎縮腎などにおける腎の摘出は,単純腎摘出術simple n.(単に腎摘出術と呼ばれることが多い)と称される.さらに,尿管の閉塞などに起因した腎機能の廃絶が長期にわたると,腎は萎縮して,無機能腎となる.このような場合を自己(家)摘除腎autonephrectomized kidneyといい,腎結核に原因したものが多い.

南山堂医学大辞典 ページ 3873 での腎摘出術[ジンテキシュツジュツ]単語。