心室中隔欠損症[シンシツチュウカクケッソンショウ]🔗⭐🔉振
心室中隔欠損症[シンシツチュウカクケッソンショウ]
【英】〔inter〕 ventricular septal defect(VSD)
【独】Ventrikelseptumdefekt
【仏】communication interventriculaire
心室中隔の欠損で,先天性心奇形のうち最も発生頻度が高く,しばしば他の奇形を合併し,複雑心奇形においても,基本的解剖学的病変をなす.欠損は心室中隔のあらゆる部位に生じ得るが,膜性部に単一の欠損が存在する場合が一番多い.欠損の大きさは非常に小さな穴から,ほとんど中隔を欠如するに至るまで種々に異なる.室上稜下にある膜性部欠損では,His束が欠損部の後下部に隣接しており,右脚中枢部が下端近くにある.室上稜上欠損は肺動脈下に位置し,刺激伝導系からは離れている.筋性部欠損は単独で存在する場合には,多く中隔後部に位置するが,複数存在することも多い.心室中隔の欠損による機能障害は,その存在する位置よりも,大きさと肺動脈血管床の状態(左右心室間の圧較差)によって決まる.左室に対する駆出抵抗も左室圧の変化を介して短絡量に影響を及ぼす.短絡量が多い場合には左心負荷,肺動脈圧の亢進とともに右心負荷をきたす.肺血流量の増加は肺動脈の拡張,閉塞性病変をもたらす.欠損が大きい場合には,2つの心室が血行動態的には2つの出口を持った単一のポンプとして機能し,体循環と肺循環における血圧を等しくする.このような患者では,左右シャントの程度は肺血管抵抗と逆相関する.心室中隔欠損症の自然歴は,自然閉鎖から小児期に早くから心不全症状を呈し,死亡する例まで多岐にわたり,経過中,しばしば肺血管閉塞,右室流出路狭窄,大動脈弁閉鎖不全症*,感染性心内膜炎*などを合併することがある.
南山堂医学大辞典 ページ 3788 での【心室中隔欠損症[シンシツチュウカクケッソンショウ]】単語。