神経症[シンケイショウ]🔗⭐🔉振
神経症[シンケイショウ]
【英】neurosis
【独】Neurose
【仏】n
vrose
《同義語》ノイローゼ
神経症は古典的には心因性に生じる心身の機能障害を示し,治療の主体は精神療法でありさまざまなもの(精神分析*,カウンセリング*,行動療法*,家族療法,芸術療法*,森田療法*など)が知られている.歴史的にはCullen(1777)が包括的概念として用いたのが最初である.その特徴は精神的原因によって起こる心身の不調で,その人の性格と深いかかわりがあり,症状の起こり方や内容はわれわれの生活体験からよく理解でき,原因が除かれると原則として軽快する.新しいICD-10*では神経症に代わって神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害として恐怖症性不安障害,他の不安障害(パニック障害,全般性不安障害など),強迫性障害,重度ストレス反応および適応障害,解離性障害,身体表現性障害(身体化障害,身体表現性自律神経機能不全など),他の神経症性障害(神経衰弱など)に分類され,その他,抑うつ神経症は気分変調症として持続性気分障害のカテゴリーの中に含まれている.またICD-10では心因性という用語も使われていない.神経症では不安を主な特徴として心理的ないし行動的障害を示すが,精神分裂病*とは対照的にひどい現実検討力のゆがみや人格解体*を示すことはない.本症はさまざまな心理的外傷体験で発症するが,それにはパーソナリティーと心的外傷とが相関している(→外傷後ストレス障害).神経症になりやすいパーソナリティーの人は些細なことで発症する.精神症状は不安,強迫,恐怖,抑うつ,離人,焦燥,無気力などがあげられ,身体面の症状としてはいわゆる自律神経失調性の不定愁訴がみられやすい.社会行動面では自己破壊行動,攻撃的行動,過食,浪費,盗み,性的逸脱行動,薬物乱用などがみられることがある.神経療法以外に治療として薬物療法が知られベンゾジアゼピン系抗不安薬を中心に抗うつ薬も使用される.

南山堂医学大辞典 ページ 3707 での【神経症[シンケイショウ]】単語。