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神経因性膀胱[シンケイインセイボウコウ]🔗🔉

神経因性膀胱[シンケイインセイボウコウ] 【英】neurogenic bladder 【独】neurogene Harnblase 【仏】vessie neurogne 【ラ】vesica neurogena 膀胱は神経支配の非常に強い臓器であり,神経間の微妙な調節によって蓄尿および排尿の機能を営んでいる.この膀胱支配神経に何らかの原因により器質的障害が生じて,蓄尿および排尿の機能に異常が起こった状態を神経因性膀胱と呼ぶ.したがって神経の機能的障害によって起こる膀胱神経症とは,まったく異なる疾患である.膀胱を直接支配している神経中枢は仙髄にあり(下位中枢),そこから発する骨盤神経ならびに陰部神経を介して膀胱機能を調節している.蓄尿および排尿はそれらの回路によって反射的に行われるが,さらにその反射を脳内にある高位中枢が調節しており,その経路は脊髄内を通っている.ゆえに神経因性膀胱はこれらの神経経路のどこに障害が生じても起こるものであり,具体的には,脳出血(高血圧性脳内出血),脊髄損傷(労働災害,交通事故など),子宮癌および直腸癌の手術,骨盤骨折などに際して,程度の差はあれ必発する.そのほか糖尿病や向神経薬の投与などによっても発生する.〔症状〕神経障害の起こった部位によって異なるが,主として各種の排尿障害で,しばしば難治性の膀胱炎や腎機能不全を合併する.診断は各種の神経学的検査,膀胱内圧測定〔法〕などによって行う.〔治療〕原因疾患の治療による神経機能の回復が最も望ましいが,損傷神経の再生は起こり得ないので,実際には薬物療法や種々の排尿訓練などの姑息的な手段にたよらざるを得ず,必ずしも容易ではない.

南山堂医学大辞典 ページ 3691 での神経因性膀胱[シンケイインセイボウコウ]単語。