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心筋梗塞〔症〕[シンキンコウソクショウ]🔗🔉

心筋梗塞〔症〕[シンキンコウソクショウ] 【英】myocardial infarction(MI) 【独】Myokardinfarkt 【仏】infarctus du myocarde 心筋梗塞は,冠動脈の閉塞によってもたらされる心筋壊死である.本症はわが国には比較的少ないといわれてきたが,食生活の向上や生活様式の欧米化に伴って急激に増加しつつある.厚生省の人口動態統計では,1935(昭10)年の心疾患の死亡率は全死亡中3.4%であったが,1965年には10.8%, 1982年には17.7%に達している.急性心筋梗塞acute myocardial infarction(AMI)による死亡の60%が発症後1時間以内に集中しており,その死因の90%以上は致命的不整脈である.したがって,いかに速やかに適切な診療施設すなわちCCU(coronary care unit:冠動脈疾患集中治療施設)に搬送し,これに対応するかが患者の予後を決定する.ほとんどすべての心筋梗塞は,冠動脈硬化症に起因する.心筋梗塞の大きさと部位は次の種々の要因によって決定される. 1)冠動脈枝における動脈硬化性狭窄の部位と重症度, 2)冠動脈攣縮(冠攣縮)の存在部位と重症度, 3)狭窄血管により潅流される血管床の大きさ, 4)側副血行路(側副循環)の発達の程度, 5)冠潅流障害部位心筋の酸素需要度などである.心筋梗塞後の生存率は,左室機能の状態と冠動脈血管床の閉塞性病変重症度によって決まる.治療は安静,鎮痛,酸素吸入,抗不整脈治療を行い可及的迅速(発症後3時間以内)に血栓溶解療法の施行が必要である.また血栓溶解の不成功の場合ひきつづいてPTCAPTCR)といった再潅流法が新しい治療法として注目されているが,機能の回復という点からはまだ検討の余地を残す.

南山堂医学大辞典 ページ 3682 での心筋梗塞[シンキンコウソクショウ]単語。