象徴[ショウチョウ]
【英】symbol
【独】Symbol
【仏】symbole
あるものが別のものの意味を表していること.一般的な象徴の例としては,具体的な事実関係がある場合(桜‐日本),比喩的な場合(炎‐熱烈さ),社会心理的な場合(四葉のクローバー‐幸福),個人的思い出による場合(パリ‐青春)などがある.簡単に直接に象徴の意味を意識し難い場合でも,象徴に隠された無意識的な意味を何らかの方法で解読できれば,患者が語る生活史や病歴,主観的症状(疼痛,不安,強迫観念など)や客観的徴候(手足の麻痺,痙攣,強迫行為など)のもつ意味を把握して患者の環境調整や精神療法に役立て得る.心身症の症状選択や器官選択にも象徴的意味を見いだせることがある.S. Freudは夢や失策行為や種々の症状がもつ個人的な意味を精神分析で解読し,C.G. Jungは神話やお伽話のもつ人類に普遍的・集団的な象徴の意味を重視した.M. KleinやW.R. Bionは対人関係論から象徴形成の心的機能を論じ,J. Lacanは言語を支える象徴的なもの(象徴界the symbolic)を独自の精神分析理論から述べた.
南山堂医学大辞典 ページ 3520 での【象徴[ショウチョウ]】単語。