歯髄炎[シズイエン]🔗⭐🔉振
歯髄炎[シズイエン]
【英】pulpitis, endodontitis
【独】Pulpitis, Endodontitis
【仏】pulpite
【ラ】pulpitis, endodontitis
種々の刺激により歯髄に生じた炎症をいう.〔原因・症状〕 う蝕の進行や歯の破折による細菌感染が原因として最も多いが,充填材の化学的刺激,う窩の消毒薬や失活剤の薬物的刺激,温熱による物理的刺激なども原因となる.炎症の進行により急性と慢性があり,炎症の範囲により一部性と全部性があり,さらに単純性,化膿性(以上急性),潰瘍性,増殖性,壊疽性(以上慢性)に分けられる.急性の場合は疼痛発作が主なる症状で,とくに化膿性の場合は激烈である.これらの歯髄炎を放置すると根尖性歯周炎*を継発する.〔治療〕 歯髄炎の前段階である歯髄充血,そして初期の急性単純性歯髄炎には歯髄の鎮静療法を行う.すなわち,病的歯質を除去し,う窩を清掃した後,鎮静消毒薬を貼布する.経過良好な場合には歯髄保護のための覆髄法*を行った後,欠損部を充填修復する.炎症が歯冠部に限局する場合には根管孔の付近で歯髄を切断し,覆髄剤を貼布する断髄法を行う.炎症が歯髄全体に及んでいる歯髄炎の場合には根尖部まで歯髄を除去する.これを抜髄法extirpation of dental pulpという.抜髄後には根管の清掃,消毒(根管治療)を行い,根管充填*を行う.また歯髄の炎症を放置するとより重篤に,深部に進行する.その間,急性歯髄炎とくに化膿性歯髄炎は激烈な持続性の自発痛を生ずる.炎症の進行は,歯の内部から根尖孔外の歯根膜,歯槽骨へと及ぶ.これを防止するため炎症の拡大範囲に応じて断髄法,抜髄法を行う.
南山堂医学大辞典 ページ 3124 での【歯髄炎[シズイエン]】単語。