細網細胞[サイモウサイボウ]🔗⭐🔉振
細網細胞[サイモウサイボウ]
【英】reticulum cell, reticular cell
【独】Retikulumzelle
【仏】cellule du tissu r
ticul
細網組織*に固有の細胞で,原形質は突起を有し,細胞相互に網状に結合し,網状構造を形成する.この細胞の表面にはレチクリン線維reticulin fiberか,あるいは細網線維(格子〔状〕線維*)という好銀性の特別な線維様構造が密接し,電顕的には膠原線維に類似し,原形質内に抱え込まれている.この種の細網細胞は線維芽細胞性細網細胞fibroblastic reticulum cellと呼ばれ,リンパ節,脾,骨髄などの造血組織における支持組織の役割を果たす一方,造血細胞の発生,分化に不可欠の造血誘導微小環境hematopoietic inductive microenvironment(HIM)を形成する.しかし,細網細胞は臓器組織あるいは同一組織でも差異がみられ,骨髄の細網細胞は線維芽細胞類似の超微形態を示すが,線維との関連は粗である.リンパ節や胚中心内には細長い原形質突起を多数有し,細胞膜にデスモソーム*desmosomeのみられる特異な細網細胞(dendritic reticulum c.)が存在する.この種の細胞は胚中心内のBリンパ球に抗原情報を伝達する役割を演ずる.リンパ節の副皮質(傍皮質)に存在するinterdigitating c. はかつて細網細胞の一種と考えられたが,今日ではTリンパ球に密接な関連を有する特異に分化したマクロファージと考えられている.胸腺実質,ことに髄質に存在する細網細胞は上皮由来で,上皮性細網細胞epithelial reticulum c. と呼ばれ,上述した間葉由来の細網細胞とは別種の細胞である.


南山堂医学大辞典 ページ 2810 での【細網細胞[サイモウサイボウ]】単語。