骨髄移植[コツズイイショク]🔗⭐🔉振
骨髄移植[コツズイイショク]
【英】bone marrow transplantation(BMT)
【独】Knochenmarktransplantation
【仏】transfusion de moelle osseuse
骨髄移植とは受血者の骨髄細胞を死滅させて,そこへ新たな骨髄細胞を輸注することにより造血能を再生させることをいう.他の臓器移植と同様に,骨髄の造血という機能を開始すれば移植骨髄は生着したといい,移植した骨髄細胞も死滅して造血が行われなければ拒絶という.移植には自らの骨髄細胞をあらかじめ採取保存しておいて,後に自身に輸注する自家移植と,一卵性双生児の一方から他方に骨髄を輸注する同系移植および組織適合抗原の一致した同胞や他人から骨髄を採取して輸注する同種移植とがある.自家骨髄移植は主に骨髄に侵襲のない担癌生体に強力な化学療法や放射線療法を行う際に,副作用によって生ずる骨髄抑制をrescueする目的で行われる.同系移植は健康な一卵性双生児の同胞が存在するときにのみ可能である.臨床的に広く応用されているのは同種骨髄移植である.対象疾患は成人では白血病*,再生不良性貧血*,放射線の大量被曝後などであるが,小児ではこれに加えて,先天性免疫不全症(原発性免疫不全症候群*)やゴーシェ病*Gaucher diseaseなどの一部の先天性代謝疾患でも骨髄移植が行われている.方法は受血者recipientに骨髄細胞傷害性の薬剤の大量投与や放射線の全身照射を行って前処置し,これに供血者donorから採取した骨髄細胞を経静脈的に輸注する.合併症としては,いわゆる日和見感染による感染症,移植片対宿主反応(GVH反応*)による症状graft versus host disease(GVHD)や間質性肺炎*interstitial pneumonia(IP)などが知られている.
南山堂医学大辞典 ページ 2602 での【骨髄移植[コツズイイショク]】単語。