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高山病[コウザンビョウ]🔗🔉

高山病[コウザンビョウ] 【英】mountain sickness 【独】Bergkrankheit 【仏】mal des montagnes 《同義語》山岳病,山酔いhypobaropathy 高度が増すと,大気の気圧は低下し,気温・湿度も低下する.一方,風速は増加し,紫外線も増加する.高山や山岳の気象はこれらの点で平地とは大きく異なっている.とくに気圧の低下は肺胞での酸素分圧の低下をまねき低酸素症anoxia,hypoxiaをきたす.ある高度限界内では,生体は恒常性維持機能homeostasis systemによって,適応・順化する能力をもつが,この限界を越えると生体の内部環境が乱されて疾病状態に陥る.高山におけるこのような疾病状態を高山病ないしは山岳病あるいは山酔いと呼んでいる.高山病の主な病態は前述の低酸素症によるものであり,頭痛・めまい・疲労感・不眠・不安・注意力低下・嗜眠などの精神神経症状,呼吸の促迫・心悸亢進などの肺循環系の症状が現れる.重症になると肺うっ血,肺水腫,心不全を起こして死ぬこともある.高山ではこのほかに,寒冷,紫外線,低湿,さらに登山による疲労などが負荷されるので,皮膚・粘膜の障害,上気道の炎症などにも気をつける必要がある.高山病は一般には4,000 m以上の高所で発生するといわれているが,登高条件が悪く,適応・順化の能力が劣る場合には2,000〜3,000 mの高地でも発生することがある.高山病を予防するためには,高所に対する適応・順化の現象を利用するのが効果的である.すなわち,一気に高地(頂上)を目指すことなく,中間高度で,ある期間滞在することをくり返しながら登ればよい.高山病にかかったときは,安静を保つとともに,酸素を吸入させる.症状が改善しない場合には下山させる必要がある.

南山堂医学大辞典 ページ 2391 での高山病[コウザンビョウ]単語。