劇症肝炎[ゲキショウカンエン]🔗⭐🔉振
劇症肝炎[ゲキショウカンエン]
【英】fulminant hepatitis(FH)
《同義語》電撃性肝炎,急性肝萎縮症acute liver atrophy,急性黄色肝萎縮症acute yellow liver atrophy
肝炎ウイルスや薬物が原因となって,肝細胞の広範な壊死と脱落をきたす重篤な肝障害で,致命率が高い.第12回犬山シンポジウム(1981年8月)の診断基準では,劇症肝炎とは,肝炎のうち症状発現後約8週間以内に高度の肝機能障害に基づいて肝性昏睡*をきたし,プロトロンビン時間40%以下を示すものとする.そのうちには発病後10日以内に脳症が発現する急性型と,11日以後に発現する亜急性型がある.急性型には,fulminant hepatitis(Lucke & Mallory)が含まれ,亜急性型には亜急性肝炎(日消誌)の一部が含まれる,と規定されている.臨床像では肝炎症状発現後,数日以内に黄疸が高度となり,急速に意識障害を伴ってくる.早期から出血傾向を伴い,肝濁音界*の縮小もみられる.血清総ビリルビン値は10mg/dL以上の場合が多く,血清トランスアミナーゼ値は初期には著しい高値を示すが,数日中に著しく下降する.プロトロンビン値は40%以下と著明な低下を示す.脳浮腫,消化管出血,腎不全,血管内凝固症候群,全身感染症を伴いやすく,これらの合併症が死因となることが多い.予後はきわめて不良で,わが国での生存率は20〜30%である.治療としては,確立された治療法はなく,全身的な管理が必要である.血漿交換(プラスマフェレーシス*),交換輸血,人工肝補助装置,およびインスリン・グルカゴン療法*などが行われている.
南山堂医学大辞典 ページ 2047 での【劇症肝炎[ゲキショウカンエン]】単語。