胸腺[キョウセン]🔗⭐🔉振
胸腺[キョウセン]
【英】thymus
【独】Thymus
【仏】thymus
【ラ】thymus
胸腺は第一次リンパ性器官の一つであるが,古くから内分泌器官にも入れられている.胸部前方にあり,縦隔前面上部で,心膜の前,胸骨の後に位置する.成人では脂肪を多く含んで退化傾向を示すが,新生児から2, 3歳までは大きく,最大重量は30 gに達する.内部には上皮の変形した細網細胞*ときわめて多くのリンパ球*(胸腺細胞)を含む.胸腺細胞はまわりからリンパ球が胸腺に侵入増殖したもので,胸腺内で主として細胞性免疫*に関するリンパ球として分化し,再び全身に分布する.これをTリンパ球(Tはthymusの略号)という.生後すぐに胸腺を除去するとTリンパ球は出現しない.ヌードマウスは遺伝的に胸腺を欠き,移植に対して拒絶反応が弱いので,ヒト癌の移植など,さまざまな実験に用いられる.発生上は,第三および第四鰓嚢の上皮に由来する鰓性器官の一つで,発生の経過にともなって,胸部に降下する.
南山堂医学大辞典 ページ 1715 での【胸腺[キョウセン]】単語。