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アメーバ赤痢[アメーバセキリ]🔗🔉

アメーバ赤痢[アメーバセキリ] 【英】amebic dysentery, amebiasis 【独】Ambenruhr, Ambendysenterie 【仏】dysenterie amibienne 《同義語》アメーバ性大腸炎amebic colitis 赤痢アメーバEntamoeba histolyticaの感染によって起こる疾患をアメーバ症amebiasisと総称する.大腸の粘膜に特有な潰瘍を形成し,粘血便(しばしばイチゴゼリー様)や腹痛・しぶり腹tenesmusなどの急性症状を呈し,糞便からこの原虫の栄養型trophozoiteが検出されてアメーバ赤痢と診断されれば,細菌性赤痢とともに法定伝染病として届出・隔離が義務づけられている.回復後あるいは軽症に経過した後にしばしば抵抗性の強い嚢子cyst保有状態が長く続き,数年あるいは十数年後まで再発をくり返し,潰瘍性大腸炎などと誤られることもある.全く無症状のcyst保有者も少なくない.慢性の感染で腸管以外の臓器(肝・肺・脳)に膿瘍を形成し,重篤となることがある.ヒトからヒトへの感染力がない栄養型が排泄される大腸炎の病型を呈するものだけがアメーバ赤痢として届出が義務づけられ,感染力の強いcystを排泄する保有者や肝膿瘍の病型では届出が義務づけられず,単にアメーバ症として診療されることが多いのは現行予防法のなかでの一つの矛盾であろう.本症は本来熱帯地方に広く分布する疾患で,今までわが国ではまれな疾患と考えられていたが,海外旅行の普及とともに国外感染例の増加がにわかに目立つようになった.また,国内においても男性同性愛愛好者homosexual間での性感染症sexually transmitted diseases(STD)として注目されつつある.診断は糞便の直接鏡検による原虫検出によるが,血清診断,内視鏡・生検組織検査も有力である.治療には主としてメトロニダゾールmetronidazoleが用いられる.

南山堂医学大辞典 ページ 170 でのアメーバ赤痢[アメーバセキリ]単語。