偽膜性腸炎[ギマクセイチョウエン]🔗⭐🔉振
偽膜性腸炎[ギマクセイチョウエン]
【英】pseudomembranous enterocolitis
【独】pseudomembran
se Enterokolitis
【ラ】enterocolitis pseudomembranacea
小腸および大腸を侵す炎症性疾患で,粘膜の表面に滲出物による偽膜を形成するものである.腹部手術後,腸管の虚血性病変,ブドウ球菌による腸炎,抗生物質による腸炎などで惹起される.従来は腹部手術後,抗生物質に抵抗性をもつブドウ球菌によって起こるものが多かった.しかし最近では種々の抗生物質とくにクリンダマイシンclindamycinを投与したとき,その薬剤に抵抗性をもつクロストリジウム・ディフィシレClostridium difficileが産生する腸毒素enterotoxinによって惹起されることが多い.抗生物質投与中または投与終了後発症し,下痢は1日30回にも及び,しばしば粘液や血液を混ずる.その他,腹痛や下痢を伴う.老人または,基礎疾患のある患者では重症に陥ることが多い.抗生物質服用後下痢が起こったとき本症を疑い,内視鏡検査で偽膜を証明するとともに糞便からC. difficileを分離して診断する.治療としてC. difficileに感受性をもつバンコマイシンやメトロニダゾールが用いられる.

南山堂医学大辞典 ページ 1594 での【偽膜性腸炎[ギマクセイチョウエン]】単語。