気管支喘息[キカンシゼンソク]🔗⭐🔉振
気管支喘息[キカンシゼンソク]
【英】bronchial asthma(BA)
【独】Asthma bronchiale
【仏】asthme bronchique
【ラ】asthma bronchiale
気管支喘息(喘息*)の定義としてはアメリカ胸部疾患学会によるものが知られている.それによれば,喘息とは種々の刺激に対して気管,気管支の反応性が亢進していることを特徴とし,広範な気道狭窄により症状を現すが,その強さが自然にあるいは治療により変化する疾患である.ただし,特定の心肺疾患によるものは除外される.近年,喘息を気道の慢性炎症性疾患とする考え方が普及し,1992年に発表された国際喘息委員会報告の中での喘息の定義では,喘息の特徴を慢性の気道炎症ととらえている.このように気管支喘息は慢性気道炎症,気道反応性の亢進,可逆性の気道狭窄の3つを特徴とする疾患である.臨床症状は喘鳴,呼吸困難,せき,喀痰などである.検査所見では末梢血,喀痰中の好酸球増多が特徴である.気管支喘息はアトピー型(外因型)と感染型(内因型),両者の混合した混合型に分類される.アトピー型喘息atopic asthmaは室内塵(ハウスダスト),ダニ,花粉などのアレルゲンが原因で起こる喘息である.このタイプの喘息ではアレルゲンに対するIgE抗体が存在しており,マスト細胞(肥満細胞*)や好塩基球に結合したIgE抗体とアレルゲンが反応するとこれらの細胞が活性化され,ヒスタミン*,ロイコトリエン*などの種々のケミカルメディエーターを遊離する.これらのメディエーターは組織に作用し,気道収縮,粘膜浮腫,粘液分泌亢進など喘息に特徴的な病態を惹起する.一方,非アトピー型喘息non-atopic asthma(感染型喘息infectious asthma)ではアレルゲンが証明されない.また,アトピー型と異なり中年以降の発症が多い.その他,アスピリン喘息*,運動誘発喘息exercise-induced asthma(EIA)などの特別なタイプの喘息も存在する.気管支喘息の治療としては,β刺激薬,テオフィリン系薬,抗コリン薬,抗アレルギー薬,ステロイドなどによる薬物療法,減感作療法*,金療法などが行われる.
南山堂医学大辞典 ページ 1514 での【気管支喘息[キカンシゼンソク]】単語。