『37.5℃の涙』(さんじゅうななどごぶのなみだ)は、椎名チカによる日本の漫画作品、およびそれを原作とするテレビドラマ。病気の子供の世話をする病児保育士を主人公にした物語を描いている。
『Cheese!』(小学館)にて2013年12月号から2014年11月号まで連載された。『Cheese!』2015年7月号にて、実写ドラマ化が発表されると同時に連載が再開された[4]。単行本は2017年3月現在既刊9巻。4巻の作者あと書きにて、作中のリトルスノーのモデルは訪問型病児保育を提供するNPO法人フローレンスであることを明かしている。フローレンス代表の駒崎弘樹との対談も行っている。
タイトルは、物語の中で、37.5℃以上の発熱がある場合に登園停止もしくは保護者の呼び出し対象となることに由来する。しかし厚生労働省のガイドラインでは「前日38℃を超える熱がでていない場合は保育可、38℃以上の発熱がある場合に保護者への連絡が望ましい」等とされている。
2017年1月23日、第62回「小学館漫画賞」(少女向け部門)受賞。
あらすじ
訪問型病児保育「リトル・スノー」で働く新人病児保育士・杉崎 桃子が成長していく物語。リトル・スノーの利用者家族との出来事を、基本的には一話完結形式で展開し、シングルマザーやワーキングマザーの子育て、病児保育士らが利用者家族との関わり合いに奮闘する姿を描く。桃子をめぐるリトル・スノー創設者でもある朝比奈、常連利用者の篠原(ともにシングルファーザー)との恋愛、桃子自身が幼少時に受けた虐待、介護問題、家庭問題など、幅広いテーマを扱う。「リトルスノーの病児保育三原則」は〈子どもを注意するな、叱るな、自分の価値観を押しつけるな〉。
登場人物
リトルスノー
- 杉崎 桃子(すぎさき ももこ)
- 主人公兼ヒロイン。24歳。感情表現が下手な女性。それが原因で保育士をやめた。感情表現が下手な原因は、自身の家族(主に実母と実兄)にある。幼い頃、家族から自分だけ旅行に連れて行ってもらえなかったり、病気になっても放置されるなどの児童虐待(ネグレクト)を受けていた。その体験が原因で実家とは自ら縁を断っている。専門学校時代の奨学金返済などのため貧窮しており、普段の生活は弁当が白米と漬物だけなどかなり質素。
- 感情表現は苦手だが、子供に対する愛情はあり素直な性格のため、徐々に指名率も多くなっていく。
- 7巻の祖母の葬儀の際、母親と兄により監禁されてしまうが、姉香織の助けと桃子を助けに来た朝比奈によりなんとか実家から逃げ出すことに成功。その後、今の自分は昔とは違い周りの人々に支えられていることに気づき、同時に自分が何をしてもこれ以上母が変わることは無いと悟り母との決別を決意。母と2人きりで対面し別れを告げた。
- 感情表現は苦手だが、子供に対する愛情はあり素直な性格のため、徐々に指名率も多くなっていく。
- 朝比奈 元春(あさひな もとはる)
- 31歳。リトルスノー本部マネージャー。小学生の愛娘(小春)を男手で育てているシングルファーザー。亡き妻を想い未だに結婚指輪をしている。桃子に弁当を作ってあげたり、車の助手席に乗せてくれたりなど、桃子を親切に接する。
- 桃子の家庭の複雑な事情を知り、桃子が幸せになることを心から願っていたが、共に仕事をしていく内に、桃子に想いを寄せ自分が桃子を幸せにしたいと思う様になる。
- 関 めぐみ(せき めぐみ)
- 桃子の先輩保育士。かなりの巨乳。たまに仕事でタッグを組まされる。
- 以前は仕事に情熱的だったが、ある事件がきっかけで現在は仕事に対して事務的な態度をとるようになってしまった。
- 柳 主税(やなぎ ちから)
- 31歳。朝比奈と同じリトルスノー本部マネージャー。基本的に生真面目な性格だがたまにハメをはずす。
杉崎家
- 桃子の母
- 桃子の実母。専業主婦。優秀な上の子供2人を溺愛する一方、末娘の桃子に児童虐待(ネグレクト)を受けさせた毒母。見た目はおっとり系の美人で、皮肉にも娘達とよく似ている。
- 自分の理想通りに育っていっている上2人の子供とは違い、手間のかかる赤ん坊だった桃子に手を焼き結果的に愛情をもてなくなり、育児を放棄。以後は前述の様な態度で桃子に接するようになった。香織と優樹には一般的な普通の母親として接しているが、桃子に対しては「産まなければよかった」「みんなが不幸なのは全部桃子のせい」などの暴言を吐く等、桃子に対しては非常に身勝手かつ冷酷な本性を見せる。桃子を心底嫌っているが、今いる場所で幸せになってゆくのが許せない為、8巻で再び自分の元に戻ってくるよう促すが。最終的には、過去を乗り越えた桃子に完全に見限られ決別の言葉と共に去られた。
- 桃子の父
- 桃子の実父。妻(桃子の実母)と同じく桃子に無関心だった。
- 基本的には、根っからの仕事人間で家庭のことは妻に全て任せ家庭を省みない性格。子供にもそれほど関心は無い様子で、葬儀の時に久々に会う桃子の名前も「桃香」と間違えるなど、末娘の存在をよく覚えてはいなかった。
- 杉崎 優樹(すぎさき ゆうき)
- 桃子の実兄で香織の弟。職業は医師。現在は二児の父親。
- 冷酷で底意地の悪い性格をしており、幼少時から妹への虐待を行っていた。外面はよく子供には優しいが、妹への虐待に関する罪悪感は皆無。院長の娘を嫁に貰い、地位も着々と築き上げていた。
- リトルスノーを利用した際に桃子と再会する。桃子を酷使したことが災いし、虐待が発覚後に離婚され、仕事を辞めた。
- 後に別の病院へ就職し、医師に復帰している様子。根本的な性格は変わっておらず、祖母の葬儀の為、実家に帰ってきた桃子に対し暴力をふるったあげく、母親と結託して納戸に監禁する。母親に従順で、母親の行いに疑問を持っていない。
- 冷酷で底意地の悪い性格をしており、幼少時から妹への虐待を行っていた。外面はよく子供には優しいが、妹への虐待に関する罪悪感は皆無。院長の娘を嫁に貰い、地位も着々と築き上げていた。
- 藤堂 香織(とうどう かおり)
- 桃子と優樹の実姉。旧姓は杉崎。幼少時は眼鏡をかけており、母親と同じく桃子に無関心だった。現在は二児の母親。
- 名門の大学を卒業後、藤堂家に嫁ぎ、裕福な生活を送っている。母親と異なり子供に児童虐待(ネグレクト)は行ってはいないが、典型的な教育ママで出来のいい息子ばかり褒めている。
- 娘の櫻子と桃子が偶然出会い、桃子と再会するが、今まで子供達に桃子を反面教師として教えたのが仇となりマンションの住人に敬遠されるようになる。その後、娘の櫻子がインフルエンザから肺炎になってしまったのをきっかけに桃子に論され、最初は反論したが桃子と娘の訴えを聞き、自らの子育てが間違っていたことに気づくことになった。その事がきっかけで、桃子に対する見方も変えて以前よりも普通に接するようになる。祖母の葬儀の後、実家で母親と兄により監禁されていた桃子を逃がしてあげた上、櫻子の件の礼と共に、幼少時の桃子に対し無関心だったことを詫び、二度と実家には戻ってこないように論した。
- 名門の大学を卒業後、藤堂家に嫁ぎ、裕福な生活を送っている。母親と異なり子供に児童虐待(ネグレクト)は行ってはいないが、典型的な教育ママで出来のいい息子ばかり褒めている。
- 藤堂 櫻子(とうどう さくらこ)
- 香織の娘で大和の妹。桃子の姪。幼稚園児。テストで肝心なところでミスをしたりするなど少し要領が悪く、幼い頃の桃子に顔も性格もよく似ている。しかし桃子とは違い、児童虐待(ネグレクト)は受けていない上に兄、大和からも暴力は受けていない。
- 藤堂 大和(とうどう やまと)
- 香織の息子で櫻子の兄。桃子の甥。小学校低学年にして塾では中学年の問題をこなしてる等、成績優秀で要領も良い。顔は母親の香織に似ているが、桃子曰く血が繋がっているせいか叔父の優樹にも少し似ているらしい。
- 子供らしく、素直で大人のいう事も本気で信じてしてしまうところがあり、最初は母親からの情報で叔母の桃子についてもあまり良い印象をもっておらず、冷たい態度で接していた。櫻子を桃子に助けてもらってからは、桃子を見直す様になった。妹の櫻子に対しては、成績などで皮肉をいうことはあるが、基本的には妹思いな一面を見せる。
その他
- 朝比奈 小雪(あさひな こゆき)
- 元春の妻(故人)。3年前に病死。
- 朝比奈 小春(あさひな こはる)
- 元春の娘。容貌は母親に似ている。母親の死後、元春に反抗的な態度を取るが現在は少し改善。
Link
- 37.5℃の涙 (Wiki)