台本
『特捜9 第2話「花嫁消失」』のキーワード出現数BEST10
- 真希 34
- ホテル 31
- 武村 27
- 青柳 24
- 部屋 21
- 自殺 19
- 新藤 18
- 矢沢 17
- 斎藤真希 16
- 向笠博子 14
『特捜9 第2話「花嫁消失」』の番組内容&EPG情報の引用(ネタバレ注意!)
♬~
♬~(向笠博子)
「西陽差し込みまどろむ朝」
♬~「あなたの匂い残る
この部屋」
♬~「ゆうべの視線 絡む指先
思い出すけど」
“9係”から『特捜9』へ!!浅輪直樹(井ノ原快彦)率いる特捜班が消えた花嫁の謎に挑む!!謎多き班長(寺尾聰)も捜査に参戦!?ウエディングドレスに秘められた死の真相は!?
詳細情報
◇番組内容
ウエディングドレスを着た女性の遺体が見つかった。遺体の身元はホテルのコンシェルジュの真希と判明。真希は遺体発見当日、同じホテルのフロント係・武村と結婚式を挙げることになっていて、式の前日は、一人で宿泊していたという。
◇出演者
井ノ原快彦、羽田美智子、津田寛治、吹越満、田口浩正、山田裕貴、中越典子、原沙知絵、寺尾聰
◇脚本
深沢正樹
◇監督
吉田啓一郎
◇音楽
吉川清之
◇主題歌
V6『Crazy Rays』(avex trax)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】大川武宏(テレビ朝日)
【プロデューサー】神田エミイ亜希子(テレビ朝日)、金丸哲也(東映)、小髙史織(東映)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/tokusou9/
☆Twitter
https://twitter.com/5drama9tokusou
♬~「ルームサービスは嫌いなの」
♬~「あなたの匂いを
消していくから」
♬~「私の願いと共に」
♬~「ここは私のすみか
あなたの贈り物」
♬~「そうよ愛人ホテル」
(武村茂明)ありがとうございます。
(島沢敏之)あっ… おめでとう。
♬~(博子)「私気ままに」
(島沢 薫)花嫁さん
放っておいていいの?
明日に備えて休んでいますので。
(浅輪倫子)おめでとう!
(浅輪直樹)ああ… ありがとう。
な… なんだっけ?
(倫子)ええ?
主任さんになったお祝いに
決まってるでしょ。
あ~! ハハハハハ…。
あ~! って。
ねえ 引き出し開けてみて。
えっ…?
おお!
(倫子)フフフフッ…!
ああ~!
えっと…
これは こうか… こうかな?
あっ! ネクタイ!
どうかな? ちょっと貸して。
えー!
どう? ほら。 これ。
ちょっと派手だったかな?
いや いや いや…
主任は これぐらいしないと。
だよね~。 さあ 召し上がれ。
いや しかし これ すごいね。
フフフッ。 あっ 感想よろしくね。
10点満点で。
あれ? あれ? ねえ。
何?
これ 試作品でしょ?
違うよ。
さっき お祝いとか言ってたけど
これ 試作品じゃん。
違いますって 違います 違います。
ええ? 試作品だよ これ。
協力してください!
だよね~。
(2人の笑い声)
よし じゃあ いただきます。
はい どうぞ。
これから いっちゃおうかな。
どんなもんだろう?
…で 班長さんとは どうなの?
ああ…。
(猪狩哲治の声)気にしなさんな。
悪い奴じゃない。
気を許していい男…
でもないがね。
ねえ こっちも食べて。
あっ じゃあ もらっちゃおうかな。
♬~
(パトカーのサイレン)
♬~
(新藤 亮)浅輪先輩!
(新藤)あっ いえ…
浅輪主任ですよね。
どっちでもいいけど…。
あっ 君は…!
自分と浅輪先輩の
絶妙な連携プレーでしたね。
いやあ 助かったよ。 ありがとう。
いいえ 当然の事をしたまでです。
ええと 確か 新宿中央署の…。
今日から特捜班に加わりました
新藤亮です。
よろしくお願いします。
えっ! 特捜班の?
(村瀬健吾)ウェディングドレス着た
ご遺体だって?
(小宮山志保)ええ そうみたいね。
事件性の有無も定かじゃないのに
世間の関心ばかり集める
センセーショナルな事案だ。
どうせ 他の係が逃げたせいで
我々 特捜班に
回ってきたんだろう。 フンッ。
特捜班なんて
大仰な事を言ったって
しょせんは 厄介な事案ばかり
押しつけられる部署って事だ。
昔から変わらないでしょ?
光栄な事よ。
ポジティブだね 君は。
(青柳 靖)
成長してない人が一人いるね。
おっ おはよう。
(矢沢英明)おはようございます。
(村瀬)朝から余計なひと言…。
成長しないのは どっちですか?
あれ? 浅輪が一番乗りじゃん。
(矢沢・村瀬)えっ?
特捜班の主任としての責任感よ。
ああ それ。 特捜班 特捜班って
言うのはいいんだけどさ
全然 定着してねえじゃん。
お疲れさまです。
(新藤)あっ どうも皆さん
おはようございます。
おはようございます…。
(青柳)誰?
ああ… 今回 特捜班のですね…。
新藤亮です。
よろしくお願いします。
新人?
(新藤)はい。
まあ そうみたいですね。
いや お前 そうみたいですねって
それ まずいだろ 主任として。
ああ… 村瀬さん。
(村瀬)えっ?
浅輪先輩が知らないのも
無理はありません。
僕も言われたばかりなんです。
いや まあ
その辺の話は あとにして
ちょっと 皆さん いいですか?
こちらです。
なるほど。
ウェディングドレスね。
身元は?
身元がわかるようなものは
所持しておりませんでした。
目立った外傷はないし
自殺じゃないでしょうか?
ちょ ちょ… 待ってよ。
そうやって
早く決めつけるのは…。
いえいえ でも
これ 見てください。
睡眠薬?
(新藤)はい そうです 矢沢さん。
まだまだ 夜中は寒いですよね。
大量の睡眠薬を飲んで
眠ってしまえば
凍死してしまう可能性が高い事は
わかっていたはずですよね。
つまり
覚悟の自殺じゃないでしょうか。
僕の名前 覚えてくれてるのは
嬉しいんだけど
君 せっかちだよね。
えっ?
なんで
ウェディングドレスなのかしら?
あっ 小宮山さん 特殊な服装は
正常な精神状態でなかった事を
表しています。
自殺してもおかしくない
不安定な状態であったとは
考えられませんか?
あのさ お前
随分 予習してきたみたいだけど
最初から
自殺って決めつけてたら
俺たちが来る意味がないんだよね。
青柳さんな。
青柳さんだ…
青柳さんがいるんだよ ここに。
おい!
事件性があろうがなかろうが
ここで
君と同じぐらいの年齢の女性が
ウェディングドレス姿で
亡くなってるんだよ。
何一つ 見落としちゃならない。
何一つ 聞き逃しちゃならない。
まあ それはわかってますが…。
まずは 身元の確認と
死因の特定だよ。
宗方班長 新藤亮です。
よろしくお願い致します。
宗方班長の人事部時代のご活躍は
柴崎刑事部長に伺っています。
(宗方朔太郎)そう よろしく。
よろしくお願い致します。
あいつ
柴崎刑事部長と知り合いか。
ほう…。
あいつ
柴崎から送り込まれてきたんだ。
そうみたいですね。
ほう…。
はいはい はいはい。
ほうほう言ってないで
これは 普通の人事異動による
仲間入りですからね。
(矢沢・青柳・小宮山)ほ~う…。
(電話)
あっ… 新人なんで。
はい 捜査一課特別捜査班
今日から加わりました新藤亮です。
はあ?
はい。
二子玉川署生活安全課?
私がいたところ。 代わって。
はい。
小宮山です。 あっ どうも。
どうしたの?
ええ うちが扱ってる事件だけど。
えっ? 花嫁の行方不明者届?
♬~
(武村)真希です…。
私の婚約者
斎藤真希に間違いありません。
真希… 真希!
真希!
(矢沢)斎藤真希さんは
ここのコンシェルジュ
だったんですよね?
(中垣 稔)はい。
(斎藤真希)こちらのプランでは
いかがでしょうか?
(矢沢の声)新郎の武村茂明さんは
フロント係。
(中垣の声)早くに両親を亡くし
苦労して育った
同じような境遇の2人なんです。
私は 経営者としてではなく
親代わりとして
2人には幸せになってほしかった。
あの… このホテルで
結婚式も披露宴も
今日 行われる
予定だったんですよね?
はい 午後1時からの予定でした。
刑事さん。
斎藤くんは事故ですか?
それとも 自殺?
今 自殺とおっしゃいましたけど
何か思い当たる事でも?
いえ
そういうわけではありませんが…。
失礼します。
(武村)
社長 なんと言っていいか…。
申し訳ありません!
こういう時こそ 君は
気をしっかりと持つんだ。
いいね?
(武村)はい…。
あっ…。
あの すみません。
ゆうべの事
詳しくお聞かせ頂けますか?
なんで あいつが仕切ってんだよ。
まあ やる気のある事は
いい事じゃないですか。
結婚式を翌日に控えていた…。
で 真希さんは このホテルに
1人で泊まったんですね。
はい。
武村さんは
一緒に泊まらなかったんですか?
式に向けて 女性は
何かと いろいろ
準備があるじゃないですか。
それに
私は 仕事がありましたから。
式の前夜にですか?
(武村)このホテルは
私の命なんです。
それに 式は 午後からですし
仮眠も取れますから。
真希さん 何時に部屋に入られたか
わかりますか?
夜の7時過ぎです。
はい。
ありがとう。
♬~
(浅輪の声)真希さんの
その後の行動について
何か わかりますか?
いえ…。 会っていないんです。
フロントの業務もありましたし
ここで 皆さんに
お祝いをしてもらったり
したもので…。
社長 ありがとうございます。
おめでとう。
彼女は そのパーティーには
出席されなかったんですか?
はい。 部屋でゆっくりしたいと
言うので…。
ああ… じゃあ 彼女が
何時に部屋をお出になったのか
おわかりにならないと。
それなんですが…。
一つ 気になる事があるんです。
どんな事ですか?
深夜1時過ぎに
パーティーを終えて…。
(武村の声)フロント業務に
戻ろうとしたんですが…。
あれ?
(桜田光男)ん?
今 あそこに人影が見えた。
(桜田)えっ?
真希だったような気が…。
真希さんが? どこ?
その辺に見えたんですね?
はい。
裏庭 通ったら
正面玄関 使わないで
敷地の外に出れるって事?
うん。
遺体発見の河川敷まで
1キロないですから
女性の足でも
10分から15分ですね。
見間違いかと思ったんですが
一応 部屋にいるかどうか
確認しようと…。
返事がなかったので
部屋で寝ているのだろうと
思ったんですが…。
念のために
調べてもらったんです。
真希が部屋を出たかどうかを。
(桜田の声)事務室にいた私は
電話を受けて
すぐに確認しました。
(桜田)映ってないな。
1時間くらい前からの分を
確認してるけど
誰も出入りした様子はない。
(武村)「そっか。
じゃあ もう眠ってるのかな」
♬~
武村に言われて
さらにチェックしました。
ここから このようにして
さかのぼりました。
ご覧のとおり
午後11時から深夜1時までの間
部屋の出入りはありません。
防犯カメラを
チェックしてもらって
部屋を出た様子がなかったので
自分の見間違いだと思いました。
真希は 式を控えて
熟睡しているだろうから
起こすのもなんだし…。
そのまま
フロントに戻ってしまいました。
もうちょっと前の分
見せてもらえますか?
はい。
(新藤)これは
7時にチェックインした時の
映像ですよね。
午前1時以降のって あります?
午前1時から朝までの分も
調べましたが
一切 出入りはありませんでした。
えっ? じゃあ 彼女
いつ出てったんでしょう?
真希さんの出入りする姿が
映ってないんですよ。
(武村)じゃあ どうやって外に?
(青柳)あっ こうか。
ねえ。 ここからは
外に出られないですもんね。
ちょっといいですか?
あっ ちょっとすいません。
確認させてください。
(操作音)
あっ! わかった!
わかりましたよ!
いつ どうやって
部屋から出たのか。
こちらの防犯カメラ 深夜の1時に
5秒間の空白ができますよね。
タイムコードが飛んでます。
(桜田)システム上
録画の機能の切り替えのために
確かに 5秒ほど…。
つまり その5秒間の間に
斎藤真希さんは
この部屋から出たって事?
そうとしか考えられません。
この部屋から
この非常階段の扉まで
5秒あれば十分です。
そして この奥の…
ここが非常階段です。
深夜1時の防犯カメラの
5秒間の空白
ホテルの従業員なら
知ってますよね?
知ってるはずです。
でも 真希は
どうして わざわざ
そんなタイミングで
外に出たんですか?
それは…。
誰にも気づかれずに
外に
出たかったんじゃないですか?
…死ぬためって事ですか?
(武村)やっぱり あの時見たのは
真希だったんだ。
追って止めるべきだったんだ!
そうすれば自殺なんて…!
武村さん。
真希さんが
自殺するような動機って
何かあったんですか?
そういう事は 特には…。
♬~
(早瀬川真澄)ルーペ。
♬~
(早瀬川)死因は
体温を奪われた事による低体温症。
って事は 凍死ですか?
うん…。
体内から 睡眠薬の成分の
キンセリンが検出された。
矢沢さんの報告によると
斎藤真希さんがホテルを出たのは
恐らく 深夜1時。
その直後に
河川敷で 睡眠薬を飲んで
眠ったとしたら…?
ゆうべの気温や服装を考えたら
亡くなるまで5時間ぐらいかな。
発見されたのが
朝の7時過ぎだから
睡眠薬飲んで 寒い河川敷で
長時間 眠った事による
凍死と見るべきか。
先生 どうしたの?
これがね…。
死斑?
う~ん… この色調
なんか違和感あるのよね。
また何かありましたら
お話 聞かせてください。
…はい。
失礼します。
失礼します。
あの男 自殺の動機に
心当たりあるんですよ きっと。
(金井雅美)武村さん!
真希を追い詰めたのは
あなたじゃないんですか?
私 見たんです 昨日。
あの… ちょっと失礼します。
あの… お話よろしいですか?
金井雅美です。
真希とは
高校時代からの友人でした。
ああ… そうですか。
今日の式に招待されてて
ゆうべ ここにやって来ると…。
(雅美の声)真希に
声をかけられませんでした。
半月ほど前
真希が言っていた言葉を
思い出したんです。
武村さんに関して
とても気になる事がある。
結婚を考え直さなければ
ならないかもしれないって
言ってました。
えっ? つまり 真希さんは
武村さんの女性関係で
悩んでたって事ですか?
恐らく そういう事かと…。
そうなんですか?
真希は 僕と島沢薫さんの関係を
誤解していたんです。
薫さんとは
親しくしていた時期もありますが
今では なんでもないんです。
昨日 お話ししてたのは
その島沢薫さん
という方なんですか?
はい。
(武村の声)仕事で
お世話になっている
観光文化庁の島沢局長のお嬢様で
結婚式にもご招待していました。
本当に 今は なんでもないんです。
でも あなたは
ピンときてたんじゃ
ないんですか?
自殺の動機が その事だと。
(雅美のすすり泣き)
おい。
班長。 何やってるんですかね?
現場は出ないはずでしょ?
(矢沢)ええ。
班長 どうしたんですか?
ああ。
これ もらいに来たんだよ。
え?
はい。
(矢沢)結婚式の
プログラムと席次表…。
これが どうかしたんですか?
ああ。 結婚式の披露宴っていうと
席次表ってやつが
一番気になるんだよ。
あっ。 それは班長が
元人事課だったから
じゃないですか?
ああ そうかもしれないね。
嫌な職業病だ。
なんの話してんだよ。
あっ… おい。
この人 不倫の歌で有名だよね。
(青柳)歌手だ。
「ムコウガサヒロコ」
向笠博子。
向笠…。
『愛人ホテル』って有名だよね。
いやいや… 僕
あんま 演歌とか詳しくないので。
いや 演歌っていうより…。
(宗方・青柳)ムード歌謡。
ムード歌謡も 本当知らない…。
見てみ?
え? なんですか?
なんでもない。
おい。 この人… この彼女
披露宴で歌う事になってるよ。
(青柳)本当だ。
だけど 結婚披露宴で
『愛人ホテル』は
まずいよな。
まずいですよね。
ええっ そうなんですか?
うん。 …あれ?
あれ? このホテル
随分 向笠博子の事
プッシュしてますよね。
♬~
(佐久間 朗)ホテルの非常扉を
調べたんですが
被害者のものと思われる指紋は
見つかりませんでした。
指紋は残ってないと思いますよ。
だって 斎藤真希さん
ウェディンググローブしてたじゃないですか。
サテン生地の繊維は?
(佐久間)見つかりません。
手袋のようなもので
接触した痕跡も
見受けられませんでした。
ご苦労さま 朗くん。
ありがとう。
お疲れさまです。
彼女は 新郎の女性関係で悩み
追い詰められた末
5秒間で あの非常階段を使って
部屋を抜け出し
自殺した事は間違いないでしょう。
ウェディングドレスを
着ていたのは
新郎に対する 当てつけみたいな
ものじゃないですかね。
あのさあ… 結論を急ぐなよ。
(新藤)いや でも…。
しかしさ これ 死ねるかどうか
一か八かの自殺だよね。
そう言われれば そうよね。
体内から検出された睡眠薬
規定量は超えているものの
絶対に眠り続ける量ではない…。
寒さで 目 覚ましたら
死ねないですもんね。
(新藤)現に 斎藤真希さんは
眠り続けて亡くなっています。
(青柳)お前よ…!
新藤くん。
君はさ 自分の推測に
人を誘導する悪い癖があるよね。
えっ… それは 事件を
一刻も早く解決するためで
効率よく進めて
何がいけないんですか?
効率なんて
こっち側の都合に過ぎないんだよ。
事件に
関わってしまった人にとっては
そんな事は関係ないんだよ!
その人たちが知りたいのは
真実だけ。
そして 俺たちが
突き止めなきゃいけないのも
真実だけ! わかる?
(早瀬川)お取り込み中?
あっ 先生。
違和感の正体 わかった。
例の死斑の色調?
うん。 この鮮赤色死斑は
酸素ヘモグロビン濃度の
急激な上昇を反映している。
つまり
急激な体温低下があったって事。
急激な?
自然な環境下での低体温症とは
違う可能性が高い。
じゃあ 自然な凍死ではない
って事ですか?
恐らく。
班長。
自殺に見せかけた他殺の線も
視野に入れて
捜査 続行しても
よろしいでしょうか?
任せる。
ありがとうございます。
浅輪。 ああ じゃなくて主任か。
いや いいですよ。
主任なんだよ! お前は。
主任は 俺じゃなくて
お前なんだから。
お前 言ったよな?
武村茂明の女性問題の相手は
観光文化庁の
島沢敏之局長の娘だって。
ああ 島沢薫さん。
島沢局長っていったら
観光業界にもホテル業界にも
顔の利く 相当なやり手だろ。
ああ! この前も
与党大物のホテル誘致疑惑の
証人喚問 受けてましたよね。
だけど 野党の言及
ものともしなかったよな?
結婚式の主賓でもあるね。
そうなんですよ!
島沢局長と
リバーパレスホテルの関係
これ ちょっと気になりませんか?
じゃあ 村瀬さんと小宮山さんは
島沢局長関係をお願いします。
(村瀬・小宮山)了解。
よし。 じゃあ
俺らは ホテル行ってくるわ。
じゃあ お願いします。
新藤 行こうか。
どこに行くんですか?
来ればわかるよ。
はい…。
(早瀬川)あっ… 向笠博子。
先生 お好きなんですか?
『愛人ホテル』 持ち歌です。
へえ…。
他にも いい曲あるんですけどね。
最近 歌詞の感じが
変わっちゃってるんですよ。
ふ~ん…。
失礼します。
宗方班長って謎よね。
やる気があるんだか ないんだか。
(村瀬)5年前まで
人事課にいた事は わかってる。
それ聞いた。 大した実績も
残してなかったって言ってたわね。
(村瀬)実績どころか
記録が全くない。
人事課の連中も
ほとんど会った事はないそうだ。
つまり 幽霊職員ってやつだ。
幽霊職員?
ああ。 人事課に籍だけ置いて
他の任務を行ってたのかもしれん。
他の任務って?
(村瀬)軽々しく口にできない
任務って事だよ。
ホテルじゃなかったんですか?
いいんだよ。
誰と待ち合わせですか?
向笠博子のマネジャー。
向笠博子って
班長が気にしてた演歌の?
ムード歌謡な。
青柳さんも気になってたんですか。
妙子が
よく歌ってくれるんだけどさ
確かに
不倫の歌しかねえんだよな。
『待つ身の女』っていう歌とかさ
『都合のいい女』っていう歌とかさ。
へえ そうなんですか。
それだけで ここに?
いや あと…
これな。
(矢沢)『愛人ホテル』。
これがな 斎藤真希さんがいた
ホテルの部屋に落ちてたのかな。
(矢沢)勝手に 部屋から
持ってきちゃったんですか!?
「勝手に」って… 俺は知らないよ。
いつの間にか
背中に入ってたんだよ。
だって
鑑識に回してるじゃないですか!
誰が鑑識に回したんだよ。
そしたらさ 鑑識がさ
これに 斎藤真希さんの指紋が
ついてますよって
報告してくるからさ…。
指紋って…!
そんな大事な事
みんなに黙ってたんですか?
大事な事かどうか
今の俺には わかんねえよ。
そんな大事だったらさ
お前が盗ったって事にすりゃ
いいじゃねえかよ!
こいつ…
息を吐くように嘘をつく男だ。
(谷山健介)すみません。
お待たせしました。
マネジャーの谷山です。
(矢沢)向笠博子さんが
出席する予定だった
結婚式の花嫁さんが
お亡くなりになったのは
ご存じですか?
知ってます。
自殺と聞いていますが…。
あの… リバーパレスホテル
随分 向笠さんの事を
応援してくれちゃってますよね。
ほら。 それも5年ほど前から
しょっちゅう ディナーショーとか
ミニコンサートやってるでしょ?
(青柳)それと 『愛人ホテル』
向笠さん自身の作詞だそうですが
自分を応援してくれている
愛人に対する
感謝の気持ちを歌っているように
聴こえるんですよ。
聴こえませんよ。
(青柳)聴こえるよな?
ええ。
聴いてみます?
それでは
『愛人ホテル』入りまーす。
あのね こいつの歌には
不思議な力があるんですよ。
こいつの歌を聴くと
隠し事を 自分から進んで
全部しゃべりたくなってしまう
という
不思議な力があるんですよ。
はっ?
それでは 矢沢英明さん
お願い致しまーす。
「私が歌う 美しい歌声。
お聴きください 『愛人ホテル』」
全部しゃべっちゃうよ。
全部しゃべっちゃうから。
(青柳)全部しゃべっちゃうからな。
私のせいで自殺したっていうの?
我々が確認したいのはですね
斎藤真希さんが
あなたと武村さんの関係を
どう思ってたのかな
って事なんですよ。
私と武村さんの関係?
ええ。
そんなの しつこく誘われたから
仕方なく 数回お茶したくらいよ。
そんなのを
どうこう思われても…。
いや 斎藤真希さんは
あなたと武村さんとの
その… そういう関係を
気にかけてたって
聞いてるんですよ。
だから
どういう関係だっていうのよ!
だからですね…。
ちょっと待って。 待って…。
金井雅美さん
そうは言ってなかった。
武村さんに関して
とても気になる事がある。
結婚を考え直さなければ
ならないかもしれないって
言ってました。
あっ! 確かに
女性関係とは言ってなかった。
でも でも でも でも でも…!
斎藤真希さんは
あなたと武村さんの姿を見て
涙ぐんでたんですよ。
どうしてですか…?
私と武村さん? どこで?
リバーパレスホテルの
ラウンジの前で 夜7時頃。
(薫)ああ あの時…
私は ただ居合わせただけ。
武村さんと話をしていたのは
父よ。
島沢局長…?
亡くなった真希さんは
そこから見ていた…。
すみません
ありがとうございます。
でも ここからだと…。
(浅輪の声)
見えない死角があったんだ。
(新藤の声)もう… 武村さんも
それならそうと言ってくれれば
変な誤解しなくて済んだのに。
俺 ちょっと
本人に確認してきます。
ああ ちょっと待って…。
誤解させたかったんだとしたら?
えっ…?
愛人?
(青柳)ああ。 向笠博子は
5年前からリバーパレスの
中垣社長の愛人だったんだよ。
ホテルの金を湯水のごとく使い
バックアップして
部屋まで与えて…。
あっ 彼女… ホテル暮らしだよ。
そのせいもあって
ホテルの業績は悪化。
そこで頼ったのが
観光文化庁の島沢局長。
5年前から悪化していた
リバーパレスホテルの業績が
2年前から好転してる。
そのきっかけは
観光文化庁が推薦した
優良ホテルに
関東で唯一 選出された事。
それを選んだのが…。
島沢局長ですか。
そう。
島沢局長は他にも
何かにつけて
リバーパレスホテルを褒めたたえ
優遇していた。
賄賂でももらってたのかな?
う~ん…。
その疑いがあって 捜査二課が
追いかけていたんだけど
決定的な証拠を
つかめずじまいだった。
班長… 何やってるんですか?
向笠博子の新曲
『秘密のネクタイ』。
早瀬川先生がね
歌詞の感じが変わったって
言うもんだから。
聴いてみる?
えっ… いえ。
♬~「しらない言葉で話す
画面の向こうのあなたは今は」
♬~「一人さみしく微笑むの」
♬~「あなたが
地味なネクタイをして」
♬~「戦うのを私も…」
すいません
止めてもらっていいですか?
(矢沢)ん?
止めてもらっていいですか?
ああ…。
違う ここだよ。
早くしてくださいよ。
ああ ちょっと…。
ねえねえ… 今
「地味なネクタイをして戦う」って
言ってたのが
すごい引っ掛かったんですけど…。
お前は
いいネクタイをしているな。
倫子ちゃんのプレゼントか?
え~ そうなの?
そうそう そうなの。
似合ってるじゃない。
でも 男性にとってネクタイって
大きな意味を持つのよね。
いやいやいや…
違う違う 違う違う。
そうじゃなくて 今まで彼女は
中垣社長に捧げるような
歌ばっかり
歌ってたわけですよね?
(青柳)そうだよ。
でも 中垣社長
派手なネクタイしてたんですよ。
(矢沢)中垣社長に捧げた
歌じゃないって事?
じゃあ 誰に捧げたの…?
思い出した!
これ 聞いた話なんですけど
国会答弁とかで
省庁の局長クラスの人は
ブランド物のネクタイ
しないんですって。
なぜなら
SNSの反応を恐れて…。
ああ。
つまり 島沢局長に捧げた!?
そう!
国会答弁って 戦いの場だもんね。
うん。
向笠博子 中垣社長から島沢局長に
乗り換えたって事?
いや 乗り換えたって言えば
よく聞く話だが
ひょっとしたら
中垣社長が島沢局長に
向笠博子を
献上したのかもしれない。
献上って お前…。
いや だから 紹介しろとかいう
レベルじゃないって事ですよ。
贈収賄の一環として
彼女を差し出したっていう
もう 口にするだけでも嫌なぐらい
ひどい事をしたって事だよ!
はいはい…。
斎藤真希さんは
そういった
全ての事を知ってしまって
思い悩んでたのかもしれませんね。
えっ? えっ? それで
自殺したっていう事ですか?
何も 結婚式前に…。
だから 結婚相手が
そういった事に絡んでたら
どうなんだって事だよ。
(雅美の声)武村さんに関して
とても気になる事がある。
結婚を考え直さなければ
ならないかもしれないって
言ってました。
(新藤)だからって自殺する事は…。
あのさ… お前一人ずれてるって
まだわかんねえの?
おお やっとお前と目合ったよ。
今度は お前がそらすなよ。
いいか? これは自殺じゃないの。
自殺に見せかけた他殺なの。
自分の身がかわいい
っていうだけの連中に
斎藤真希さんは殺されたんだよ!
急激に体を冷やされて
凍死したのよ。
しかし これ 他殺だとしたら
どこで殺されたんだ?
なあ?
はい。
「急激に体を冷やされて」…。
あのホテル 冷凍庫ありますかね?
そりゃ あるだろう
ホテルだもん。
あっ… あった!
地下1階 冷凍庫。
地下1階の
この場所にあるという事は
8階の彼女の部屋…。
僕らは 最初 この非常階段から
外に出たと思ってましたよね?
でも…。
この業務用エレベーターで
地下1階まで下りたとしたら…。
すぐ近くに この冷凍室があって
この非常口から出たならば
誰にも見られずに外に出られる。
つまり
この業務用エレベーターを使って
斎藤真希さんを
地下1階の冷凍室に入れて
ここで凍死させてから
運び出して
河川敷まで運んだって事か?
そういう事です。
誰が運んだっていうんですか?
大体 この部屋からエレベーターまで
どんなに急いだって
監視カメラの切り替わる
5秒の間じゃ無理ですよ。
だから
5秒以上ありゃ 可能なんだろ?
監視カメラ…。
あっ そうか!
なるほど!
ああ 監視カメラ。
(青柳)監視カメラだな。
意図的に作られた死角ですよ。
えっ えっ えっ えっ…?
ああ もう…
あとで説明してやるよ。
この冷凍室を調べれば
彼女を運び込んだ
なんらかの痕跡が
見つかるかもしれないな。
その可能性ありますね。
よし 浅輪…
ああ 悪い 主任。
調べに行くか。
はい。
駄目だ!
あれですよ… 令状がないと
調べられないじゃないですか。
推測だけじゃ令状は取れない。
じゃあ どうするんだよ?
(村瀬)どうしようもできない。
(青柳)うーん…。
うちの内部捜査って事で
どうかな?
内部捜査?
♬~
警視庁警務部の者です。
内部捜査を行っています。
覚せい剤の密輸に関与していると
思われる 二子玉川署の警察官が
当ホテルの冷凍室を
隠し場所に使っているという
情報がありました。
直ちに確認させてもらいます。
よろしいですね?
始めてくれ。
…はい。
♬~
うう 寒い… 服装 間違えた…。
警務部には
警察内部を隠密で捜査する
裏部隊っていうのが存在する。
彼らが使う手が まさにこれだ。
じゃあ
宗方班長は その裏部隊?
かもしれんな…。
小宮山くん。
えっ?
これ…。
白い繊維…。
(村瀬)うん。
ドレス?
調べれば すぐわかる。
どこ行くんですか?
少しでも
罪の意識があるんだったら
悪あがきはやめましょう。
ううっ! あっ…。
(新藤)はい 確保。
どちらへお出かけですか?
(矢沢)ご同行願います。
(武村)「島沢局長に
毎月 賄賂を渡すのが
私の仕事でした」
♬~
来月も よろしくお願い致します。
失礼致します。
(武村の声)真希は 私の様子が
おかしい事に気づいて
探っていたんです。
島沢局長の事も向笠博子の事も
何もかも知っていました。
あなた 自分が何をやってるのか
わかってるの?
(真希の声)ホテルぐるみで
不正してるのよ。
社長に頼まれたんだ。
父親のような社長に
逆らえるのか?
ホテルで働くのが
小さい頃からの夢だった。
あなたも そうだったんでしょ?
それが これ?
ねえ… これでいいの?
真希 落ち着けよ!
今 騒ぎを起こしたら
どうなるんだ?
幸せになるためには
おとなしく
言う事を聞くしかないんだ。
いいな?
このまま結婚しても
幸せになんかなれない。
真希は
言う事を聞いてくれなかった。
告発すると言い出した。
だから…
中垣社長に相談したんです。
私はね このホテルを守るために
愛する女を
他の男に差し出したんだよ。
君も そのくらいの代償は払え。
社長は 暗に
真希を殺せと言ってきたんです。
でも いくらなんでも
そんな事はできません。
苦悩する私に
つけ込んできたのが
向笠博子でした。
彼女と結婚しても
あなた 不幸になるだけよ。
ううん 彼女が生きていたら
あなたは おしまい。
だって そうでしょ?
不正が公になったら
このホテルも 島沢も中垣も
私もあなたも みんな…
おしまいなんだから。
私は みんなに
追い詰められたんです。
島沢局長や中垣社長 向笠博子…。
みんなが私を追い詰めた。
もちろん 彼らにも
罪を償ってもらいます。
島沢局長。
伺いたい事があります。
ご同行頂けますか?
あんたたち 私が島沢や中垣に
利用されたと思ってるんでしょ?
違うわよ。 私が男たちを
利用してやったのよ!
はいはい。
なんでもいいですけどね
行きますよ。 はい。
こんな暮らし 今日限りですね。
はい どうぞ。
私 カムバックする。
また戻ってみせるわ。
はい。
私には歌がある。
そして あなたは
真希さんをだました。
式を終えたら けじめをつける。
不正を告発し 自分も罰を受け
一からやり直すと
彼女に言いました。
彼女は その言葉を信じて
結婚式を挙げるつもりでいた。
はい。
寝かせるために
強い睡眠薬を
精神安定剤だと言って
飲ませました。
そして 午前1時過ぎ
眠っている真希さんを
部屋から運び出すために
まずは 同僚に嘘ついたんだよね?
今 あそこに人影が見えた。
真希だったような気が…。
(桜田)真希さんが?
(浅輪の声)
いるはずのない真希さんを
見たと嘘ついて 部屋へ向かった。
(ノック)
悪い 武村だけど
ちょっと確認してほしいんだ。
(浅輪の声)事務室にいた同僚は
電話を受けて
確認のためにモニターを再生した。
この時 死角ができたんだよ。
「防犯カメラの型番 調べました」
「かなり古い機材なので
再生してる間は録画されない」
「そこに あなたは
死角がある事に気づいた」
死角がある間に電話をしながら
部屋に入り込んで
眠っている真希さんを運び出した。
(桜田)「映ってないな」
「1時間くらい前からの分を
確認してるけど
誰も出入りした様子はない」
じゃあ もう眠ってるのかな。
念のため もう1時間前
11時頃からの分も
チェックしてくれ。
(浅輪の声)
チェックされてる間に
真希さんをエレベーターで
地下の冷凍室に運んだ。
♬~
そして 明け方
仮眠室を抜け出して
凍死した真希さんを
冷凍室から河川敷へ運んだ。
どうかしていたんです。
自分でも
何も覚えてないほどなんです。
みんなに殺せと命じられて
追い詰められていたとはいえ
どうしちゃったんでしょうか
僕は…!
悪あがきは… やめろ。
君は 冷静に計画的に
斎藤真希さんを殺害した。
保身のために
一番大切に
しなければならない人を殺した。
それだけが動かぬ事実だ。
♬~
ここには ここのやり方ってもんが
あるんだから
効率 効率 言ってんじゃねえぞ。
まあ これからですから ねえ?
…はい。
でも 人間って
なかなか成長しないものよねえ…。
かもしれんな。
誰見て言ってんだよ!
(新藤)フフフ…。
(青柳)笑ってんじゃねえよ。
(矢沢)いや 笑っていいよ。
(新藤)ハハハ… ハハ…。
(青柳)笑ってんじゃねえよ。
(矢沢)笑って もっと もっと。
(新藤)ハハハハ…。
(青柳)笑ってんじゃないよ。
(新藤)はい すいません。
じゃあ お先に。
あっ…。
(青柳)ああ お疲れさまでした。
あれ?
(ため息)
おい 浅輪。
班長。
ん?
ちょっとお話してもいいですか?
ああ なんだ?
班長 5年前
どうして警察辞めたんですか?
フッ…。
それは 今 君が知る必要はない。
いずれ わかる時が来るよ。
どういう意味ですか?
君たちが
1年前に解散させられた
本当の理由
知りたいんじゃないか?
関係してるんですか?
君みたいな優秀な刑事なら
わかるだろ?
これ以上 問い詰めても
私は何もしゃべらない。
いずれ 全てがわかる。
♬~
(新藤)
何か特別な案件なんですかね?
(矢沢)身元不明の指紋が
検出されました。
第三者?
(青柳)犯人を
かばってるのかもしれませんよ。
(倫子)自分の人生を守るために
夫を守らなきゃっていう事も
あるでしょ。
班長
あなたの言ったとおりでした。