エリザベート -愛と死の輪舞-/台本

エリザベート -愛と死の輪舞-/台本

完全版台本(劇中歌含め)

エリザベート -愛と死の輪舞- 台本

【エリザベート 内野聖陽ヴァージョン】

エリザベート:一路 真輝
トート:内野 聖陽
フランツ・ヨーゼフ:鈴木 綜馬
ルイジ・ルキーニ:髙嶋 政宏
     
マックス:村井 国夫
ゾフィー:初風 諄
ルドルフ:浦井 健治
ルドヴィカ:春風 ひとみ
マダム ヴォルフ:伊東 弘美

エルマー:藤本 隆宏
グリュンネ伯爵:治田 敦
シュヴァルツェンベルク侯爵:塚田 三喜夫
リヒテンシュタイン伯爵夫人:小笠原 みち子
少年ルドルフ:塩野 魁土

01. 我ら息絶えし者ども

裁判官:「一体何故だ、ルイジ・ルキーニ。
      何故、エリザベート皇后を殺したのだ」

ルキーニ:「      」

裁判官:「  は止めろ!」

ルキーニ:「何故・・・何故・・・毎晩同じ質問ばかり100年間も。
       俺はとっくに死んだんだ!」

裁判官:「オーストリア皇后、暗殺の動機を」

ルキーニ:「ケツでも掘ってやろうか、裁判官殿」

裁判官:「背後関係を述べよ」

ルキーニ:「皇后本人が望んだんだ」

裁判官:「ふざけるな!」

ルキーニ:「立派な証人だっているぜ」

裁判官「証人?」

ルキーニ:「皇后の時代を生きた連中だ。
       ハプスブルクの落日を見つめながら、
       安らかに眠ることも出来ず、語り続けているあの女の事を
       ・・・そう、エリザベート!」

『世界は終わった
 光は消え去り
 命は潰えて
 魂が踊るよ
 悩み 哀しみ 妬み 苦しみ
 夢と 欲望が 人を狂わせる』

ゾフィー『エリザベートの為にした事よ
      全て彼女の為にした事
      私達に罪は無い 無実よ
      求めていたものが あまりにも多い

フランツ『我が妻 エリザベート 気難しい
      いつも旅に出たまま 帰ってはこない 』

少年ルド『ママ・・・何処に?
      帰って・・・』

『はにかみやだった』
『人嫌いで』
『扇でいつも顔を隠していた』

ルドルフ『ママと僕は似ている (自由が好きで)
      分かり合える筈だった・・・』

少年ルド『ひとりぼっち』

 一人で彷徨って 何を求めてた

『誰も知らない真実 エリザベート
 誰も知らないその愛 エリザベート
 誰も知らない真実 エリザベート
 誰も知らないその愛 エリザベート』

ルキーニ:「注目!黄泉の帝王トート閣下!
       またの名を・・・“死”」

02. 私を燃やす愛

トート:『天使の唄は喜び
     悪魔の唄は苦しみ
     人が歌うその唄は 私を燃やす愛

     人の命を奪って弄ぶのさ冷たく
     ただひとつの過ちは 皇后への愛だ』

裁判官:「話を逸らすなルキーニ!
      愛だ死だの、夢物語は止せ!」

ルキーニ:「真実だ!皇后は死を愛し、死も彼女を愛した」

裁判官:「最後のチャンスだ。黒幕は誰だ!」

ルキーニ:「死だ!トート閣下1人!」

裁判官:「動機は?ルキーニ!」

ルキーニ:「愛だ!アン・グランド・アモーレ!!」

男女:『エリザベート・・・エリザベート』

03. パパみたいに 家庭教師

マックス:「シシィ」

シシィ:「・・・パパ!」

シシィ:『お昼には親戚が集まる
     ママは言う事あるらしい
     堅苦しい場所から逃げてみたいわ
     家庭教師の目を盗み

     パパ 一緒に連れて行ってよ (駄目だよ)
     パパのすること全部好き (今度は無理だ)
     夢を詩に書きとめ 馬術の競争
     パパみたいになりたい』

マックス:「シシィ、人生はあまりにも短くて、退屈している暇など無い
       それにパパは、親戚付き合いがペストみたいに嫌いなんだ」

シシィ:「あたしだって!」

シシィ:『今日は木登りは禁止なの (シシィ お前はお転婆すぎるよ)
     綱渡りの練習も (姉さんは花嫁修業)
     弟達とはサーカスごっこができる (気を付けろよ)
     家庭教師の目を盗み (後は知らないよ)

     どうして連れて行ってくれないの? (明日の午後には帰るよ)
     外国に旅するのね (もう行くよ)
     自由に生きたいジプシーのように
     気まぐれに (いい子だ) 望むまま (アデュー、シシィ)
     パパみたいに生きたい』

家庭教師:「   」

シシィ:「マダム!」

家庭教師:「・・・フランス語のレッスンは」

シシィ:「フランス語なんて大嫌い!
     プリンセスなんて呼ばないで!」

家庭教師:「ねえ、プランセス・・・」

シシィ:「私がプリンセスで無かったら、サーカスに入って曲回しになるのに!
      綱渡りや、空中ブランコも。お見せしましょうか?マダム・シルブプレ!」

04. ようこそみなさま

ルドヴィカ:「シシィ、お父様を見なかった?」
シシィ:「いいえ」

ルドヴィカ:「貴女は!?」
家庭教師:「ノン」

ルドヴィカ:「ヘレネ!」
ヘレネ:「はい!」

大叔父:「ルドヴィカ」
ルドヴィカ:「まあ皆様、もうお着きに?」

ルドヴィカ:『ようこそ皆様、ご機嫌よう。
        重大発表ありますのよ』

       『勿体つけて』
       『気取りまくって』

ルドヴィカ:『我が家のトピックス』

       『何だろう?』

ルドヴィカ:『娘のヘレネ 美人でしょう
        花嫁修業 完璧です』

       『家の娘』
       『もっと綺麗』

ルドヴィカ:『ヘレネを連れて バート・イシュルに』

       「バート・イシュル?」

ルドヴィカ:「ええ」

       「皇帝の別荘がある」
       「勝手にいらっしゃれば?」

ルドヴィカ:『そこで逢うのは 姉のゾフィーよ
        姪のヘレネに 用事があるの』

       『姉のゾフィーは』
       『皇太后様』

ルドヴィカ:『ヘレネはそこで お見合いなの』

ルドヴィカ:「私の娘ヘレネは、
        オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世の妃になりますの!」

       「何だと!?」

       「ヘレネが、オーストリア皇后に・・・!」

       「ブラボー!」
       「偉くなりすぎるわ!」
       「まだ見合いをした訳じゃない!」

ルドヴィカ:「姉が断る筈御座いません」

       「でも、皇太后様はマックス公爵が大嫌いよ。キ印だって!」

       「そういえばマックスは何処だ?」
       「父親がいないなんて!」

ルドヴィカ:「さあ、何処かその辺でしょう」

       「一体、何処へ行ったんです?」

ルドヴィカ:「・・・シシィ!」

05. 愛のテーマ~愛と死の輪舞

トート: 『エリザベート
      今こそ黄泉の世界へ迎えよう

      その瞳は胸を焦がし 眼差しが突き刺さる
      息さえも俺を捕らえ 凍った心溶かす
      ただの少女の筈なのに 俺の総てが崩れる
      たった1人の人間なのに 俺を震えさせる
      お前の命奪う代わりに 生きたお前に愛されたいんだ
      禁じられた愛のタブーに 俺は今踏み出す

      心に芽生えたこの思い 身体に刻まれて
      青い血を流す傷口は お前だけが癒せる
      返してやろうその命を その時お前は俺を忘れ去る
      お前の愛を勝ち得るまで 追いかけよう

      何処までも追いかけてゆこう
      愛と死の輪舞』

06. 皇帝の義務

時は、1853年。
ウィーンでは、若き皇帝フランツ・ヨーゼフが帝国を治めている。

彼を支えるのは、
起立している兵士たち。
腰かけている役人たち。
跪く聖職者たち。
忍び足の密告者たち。
更に、宮廷でただ1人の男だと言われている、皇太后ゾフィー。
彼女の助言は、絶対だ!

ゾフィー:『強く! 厳しく! 冷静に! 冷酷に!』

一同:『皇帝陛下は、神の御加護で臣民全てに義務を果たす!』

グリュンネ:「ウィーン大司教、ラウシャー殿」

ラウシャー:『教会を襲う過激派を、弾圧・粛清して下さい』

ゾフィー:「何と恐ろしい!」

フランツ:「許可する」

一同:『皇帝陛下は、神の御加護で臣民全てに義務を果たす!』

ルキーニ:「もう1人の母親!」

女:「陛下・・・陛下!」

女:『息子は自由と叫んだだけ』

ゾフィー:「結構ね!」

女:『御慈悲を、陛下・・・死刑はやめて』

ゾフィー:『強く! 厳しく! 冷静に! 冷酷に!』
フランツ:『もし得られるのなら、寛容で善意の名君と呼ばれたい』

ゾフィー:「冷静に! 冷酷に!」

フランツ:「却下」

女:「陛下!・・・嫌、嫌よ!」

ゾフィー:「まだ何か、グリュンネ伯爵」

グリュンネ:「クリミア戦争の情勢について、シュヴァルツェンベルク侯爵が」

シュヴァルツ:『我が国はロシアに付くべきです
          ロシアは革命に応えてくれる
          借りを返すチャンス
          そのついでにトルコの一部を我が領土に』

フランツ:「どう思う、グリュンネ伯爵」

グリュンネ:『イギリスが黙って見過ごす筈は無い
        同盟は難しい・・・』

シュヴァルツ:「御決断を!」

ゾフィー:「オーストリア皇帝は、何も決める必要はありません」

一同:『皇帝陛下は、神の御加護で臣民全てに義務を果たす!』

侍従:「陛下、バート・イシュル行きの馬車がお待ち致しております」

ゾフィー:「皆様、謁見を終わります」

シュヴァルツ:「しかし、ロシア大使には何と・・・」

ゾフィー:「戦争は他の国に任せておけば良い!
       幸運なオーストリアは、結婚で絆を結ぶのです」

一同:『皇帝陛下に神の御加護を』

07. あなたが側にいれば

シシィ:『幸せになりましょう
     二人で馬に乗り 世界中旅する
     何者にも妨げられず
     自由に 生きてゆくのよ』

フランツ:「シシィ、いや、エリザベート。
      最初に一つ言わなくてはならない」

エリザベート:「なあに?」

フランツ:『皇帝に自由など無いのだ
       皇后も等しく義務を負う』

エリザベート:『妨げるものなど無いわ』

フランツ:『険しい道だ』
エリザベート:『あなたがいる』

二人『二人寄り添えれば 全てに耐えることが出来る
    勇気を失い 挫けた時でも あなたが側にいれば』

フランツ:『義務の重さに夢さえ消える』
エリザベート:『夢は其処に』

フランツ:『ささやかな幸せも掴めない』
エリザベート:『私が掴める』

二人:『いつか私の眼で見てくれたなら 分かり合える日が来るでしょう』

フランツ:『これを君に 愛の証なんだ』
エリザベート:『勿体ない』

フランツ:『着けてご覧』
エリザベート:『とても重い』

二人:『勇気を失い 挫けた時でも あなたが側にいれば
     好きよ あなたが必要よ』

08. 不幸の始まり

ルキーニ:「1854年4月24日、午後6時半。
       ウィーン・アウグスティナ教会、黄昏どきの結婚式。
       だがこのカップルにはぴったりだ。
       彼等を待っていたのは客だけじゃない。
       そう、もう一人の帝王も来ている・・・」

女:『全ての不幸をここに始めよう』
男:『全ての不幸はここに始まるのだ』

女:『ハプスブルクの栄光の終焉』
男:『ハプスブルクの栄光が終わる』

トート:『誰一人知らぬ 帝国の滅亡』
男&女:『誰一人知らぬ 帝国の滅亡』

トート:『少しずつ教えよう 災いの源』
男&女:『少しずつ知るだろう 災いの源』

全員:『不幸の匂いを 人は嗅ぎ分ける
     不幸の匂いが ひそかに近付く
     賽は投げられた お前の過ち
     賽は投げられた お前の過ち
     エリザベート!』

司祭(トート):「全て汝の意志であることに、間違いはないか?」

エリザベート:「はい」

09. 結婚式のワルツ 結婚の失敗

マックス:『結婚は失敗だ 愚かな選択だ
      宮廷でシシィは窒息してしまう』

ゾフィー:『恋は盲目 フランツは選び違えた』
マックス:『マザコン皇帝』

ゾフィー:『シシィがぶっ潰した 私の計画』

ゾフィー:『夫の役割 果たせそうにない』
マックス:『妻の役割 果たせそうにない』

マックス:『あいつは 娘に合わない』
ゾフィー:『あの子は 息子に合わない』

女声:『可愛い花嫁 (皇后) 花嫁は如何ですか (お人形)』
男声:『立派な式だった (長い説教だった)』

男声:『優しそう ? ?  構わないさ』
女声:『とっても扱いやすそうな子なのよ』

男声:『悪い予感』
女声:『あの子は落とした』 
男声:『王冠を落としたらしい』

ゾフィー:「間抜けね!」

女声:『馬車を降りる時に足を踏み外し 王冠を落とした』
男声: 『滑った』   『不器用だ』

女声:『メルヘンのよう 田舎娘が』
男声:『可哀相な花嫁は バイエルンの娘』

女声:『皇后になれる』
男声:『シンデレラ物語』

『皇帝陛下には』
『似合う』『似合わない』『似合う』『似合わない』

『似合う!』
『似合わない!』

10. 最後のダンス

トート:『あなたの愛を巡って 皇帝陛下と争う
     あなたは彼を選んだ 私から逃れて

     二人の愛は見せかけ 陛下の腕に抱かれて
     あなたはそっと私にも微笑みかけている・・・』

エリザ:「嘘よ!」

トート:『最後のダンスは俺のもの
     お前は俺と踊る運命』

トート:『ハプスブルクは朽ち果て 広間の客は息を止め
     お前と俺のデュエットを じっと待ち焦がれる』

トート:『最後のダンスは俺のもの
     お前は俺と踊る運命
     闇の中から見つめている
     最後に勝つのはこの俺さ
     最後のダンスは俺のもの
     お前は俺と踊る運命』

トート:『最後のダンスは俺のもの』
    (さ・い・ご・の・だ・ん・す・は)

トート:『お前は俺と踊る運命』
    (お・ま・え・の・も・の)

    (闇の中から見つめている
     最後に勝つのは 勝つのは)

トート:『俺さ』

11. 私だけに

エリザ:『嫌よ おとなしいお妃なんて
      なれない 可愛い人形なんて
      あなたのものじゃないの
      この私は

      細いロープたぐって登るの
      スリルに耐えて 世界見下ろす
      冒険の旅に出る 私だけ

      義務を押し付けられたら
      出て行くわ 私
      捕まえると言うのなら
      飛び出して行くわ

      鳥のように解き放たれて
      光目指し 夜空飛び立つ
      でも見失わない 私だけは

      嫌よ 人目に晒されるなど
      話す相手 私が選ぶ
      誰のものでもない
      この私は

      ありのままの私は
      宮殿にはいない
      誰にも束縛されず
      自由に生きるの

      たとえ王家に嫁いだ身でも
      命だけは預けはしない
      私が命委ねる
      それは 私だけに

      私に・・・』

12. 第三の諍い 最後通告

フランツ:『エリザベート 開けてくれ
       君が恋しい 側にいたい

       今日も問題ばかり フランスとの外交
       財政は破綻したまま 戦争は続いてる
       革命の処理 チフスの流行

       君の優しさで僕を包んでほしい
       安らかに眠りたい
       せめて今宵だけは

       扉を開けてくれ
       心優しい エリザベート』

エリザ:『お母様が聞いてくれる あなたの話なら』

フランツ:『シシィ』

エリザ:『許して』

フランツ:『どうして』

エリザ:『ルドルフに酷い躾を』

フランツ:『聞いてない』

エリザ:『体罰よ 小さな子を鞭で打つの』

フランツ:『しきたりだ』

エリザ:『古過ぎる もういいわ
      どちらかを選んで お母様か私か!』

エリザ:「それは正式な最後通告です。
      私を失いたくなければその条件を呑んで下さい。
      子供の教育を任せて欲しいの。
      自分の子供に何をして、何をさせるか、
      たった今から私が決めます。
      よく読んで、ご決断下さい。
      お母様か私か!
      ・・・それでは、一人にして下さい」

トート:『エリザベート 泣かないで
     おやすみ 私の腕の中で
     今こそお前は自由になれるのさ
     終わる時のない 永遠の世界へ
     エリザベート 行こうよ 二人で・・・』

エリザ:『嫌よ 逃げないわ 諦めるには早い
      生きてさえいれば 自由になれるわ
      出てって! あなたには頼らない!』

13. ミルク

女:『ミルク!
   今日もまた品切れ どうして』

ルキーニ:『在庫なし』

男:『空っぽのままじゃ帰れない
   家にゃ赤ん坊が待ってる』

男女:『俺達が腹空かせ ひもじい時に
     贅沢を持て余す奴らがいる

(そう!) ミルクはどこにいった
(どこ?) あるところにはあるさ
(それは?) ミルク風呂に入ってる
(誰?) 皇后 (えっ?) そう!

 本当ならば (真実だ)
 なんという恥知らず (新聞に書いてある)
 子供が飢えて 病人が倒れ (その美貌が)
 俺達が苦しむ (国を救う)

 外国にかまうより国を見ろよ (市民よ怒れ)
 俺達を見捨てると復讐するぞ (立ち上がる時)

(そう!) 皇后の美貌が
(なんだ!) 国を救うなんて
(うそ!) 誰も信じないさ
(誰も!) そうだろ (そう!)

ルキーニ:『今! 彼女に知らしめろ 市民の怒りを
男女:『時は来た 立ち上がれ  

 もう ハプスブルクは終わる 近付いている 立ち上がれ

 新しい時代をこの手で今掴み取ろう

ツェップス:「さあ皆、王宮前広場に集まれ!」

14. 私だけに

フランツ:「皇后は何処に?話したいことがある」

伯爵夫人:「奥で御髪を整えておいでです。
        お声は聞こえますでしょうから、どうぞお話し下さい」

フランツ:『君の手紙 何度も読んだよ
       君の愛が僕には必要
       君なしの人生は 耐えられない
       息子の教育 君に任せる
       他の希望もすべて通そう
       君が望むものは 君のものだ

       感情を抑えるのが皇帝の義務だ
       だが君を失うくらいなら 信念も破ろう!』

エリザ:『お言葉 嬉しく伺いました
      陛下と共に歩んで参ります
      ただ 私の人生は 私のもの』

トート:『お前に生命 許した為に
     生きる意味を見つけてしまった』

エリザ:『私の生命 委ねるそれは 私だけに』
トート:『お前しか見えない 愛してる エリザベート!』

エリザ:『私に』

15. 私が踊る時

勝ったのね (勝利だ) 私の (俺の)
人に認めさせた (世界は動いていくんだ 俺の思うまま)
誰の為でも (俺だけの) 無いわ (為に)
自分の為にしたの (確かにお前は敵を出し抜いて勝ち誇る)
人形のように踊らされた私が 自分の道を見つけた
一人でも私は踊るわ 踊りたいままに 好きな音楽で
踊る時は 生命果てるその刹那も 一人舞う あなたの前で

(飛ぶがいい) 飛ぶわ (かもめよ) 私
(嵐の夜も側にいよう) もう一人だけで飛べるわ 自由になるのよ
(俺だけが) あなたが (自由を) 自由を (与えることができる)
やっと歩き出した 私だけの道を 邪魔しないで
(どんなに強く拒んでみせても いつか俺を求める)
(手を取って俺と踊るんだ 俺が望む時に 好きな音楽で)
踊る時は 生命果てるその刹那も 一人舞う あなたの前で

歩いてゆけるわ(お前には俺が必要なんだ)

一人でも 愛し始めたの 人生を
(もうすぐに 憎みだす 人生を)

『踊る時は 選んだ相手と
 踊りたいままに好きな音楽で
 踊る時は この世終わるその刹那も
 ただ一人 愛する人と』

『踊る時は 全てこの私が 選ぶ』

16. ママ、何処なの?

一方、ウィーンでは皇太子が一人で勉強に励んでいる。

少年ルド:「ママ!」

少年ルド:『ママ 何処なの 聴こえてるの
       寒いんだ 抱きしめてよ
       皆が言うんだ ママの邪魔だって
       側にいては いけないの?

       ママ お部屋は真っ暗なんだ
       目が覚めると 怖いんだ
       泣いても 誰も来ない
       僕はひとりぼっち』

トート:『ママには 聴こえない』

少年ルド:「誰?」

トート:『友達さ
     呼んでくれれば来てあげる』

少年ルド:「本当?」

トート:『必ず』

少年ルド:『僕はなるんだ 強い英雄
       昨日も猫を殺した
       勇気試したんだよ
       でもちょっと 可哀相』

少年ルド:『ママ どうして旅に出るの
       僕も連れて行って
       お城にいる時だけでも
       僕を一人にしないで』

17. 精神病院

寂しがり屋の皇太子を残したままにしても、
エリザベートにはしなくてはならないことがあった。
貧乏人や病人を慰めるという義務だ。

彼女が最も関心を示した訪問先、
それは・・・精神病院だ!

院長:「陛下、光栄にございまする。
     しかしあまりに突然で・・・」

エリザ:「患者さんに会わせて下さい」

「エリザベート様!」

患者:『さあ 皇后自ら手を差し伸べているのよ
     どうして跪かないの!?
     私はエリザベート!』

看護人:「捕まえろ!」

院長:「申し訳ございません」

エリザ:「彼女と話をさせて」

エリザベート:『よく見て 私が 皇后エリザベート!』
ヴィンデッシュ:『よく見て 私が 皇后エリザベート!』

エリザ:「跪くのはあなたよ」

ヴィン:『この人 嘘を吐いているわ』

『おやめなさい!』

18. 魂の自由

エリザ:『私が本当にあなたなら良かった
      束縛されるのは身体だけ

      ああ あなたの魂は自由だわ
      そうよ 自由

      私が戦い続け 手に入れたものは 何
      孤独だけよ 耐えられず気が狂いそうになるの

      ああ このまま歩んでも 行く先は見えない
      何も見えない

      狂える程の勇気を私が持てたなら
      ああ 私に出来ることは 強い皇后を演じることだけ
      あなたの方が自由』

19. ゾフィーの死

失意のエリザベートは、当てのない旅に出た。
妻の決断に動揺した皇帝は、ついに血相を変えて母に抗議する。

フランツ:「母上!」

フランツ:『エリザベートは出て行きました あなたの企みは成功』

ゾフィー:『企む!?』

フランツ:『私の結婚はもう破綻 あなたの所為です!』

ゾフィー:『彼女はあなたを 駄目にしてしまう』

フランツ:「そんなことはない!」

ゾフィー:『皇帝が弱気になったら帝国は傾く』

ゾフィー:『皇后の務めは自分を殺して すべてを王家に捧げること』
フランツ:『どんなに 邪魔されても 二人は 引き裂けない』

ゾフィー:「引き裂く!?」

ゾフィー:「義務を忘れた者は、滅びてしまうのよ」

フランツ:『もうあなたの意見を伺うことはない 妻への償いです』

ゾフィー:『この手だけで 育てたわ
       皇帝陛下と呼ばれるまで
       優しさより 厳しさを 心殺して 勤めたわ
       その意味が解る時 あなたの国は滅んでしまう』

20. 闇が広がる

トート:『長い沈黙の時は終わったのさ
     君は想い出す
     子供の頃のあの約束は
     君が求めれば 現れる』

ルドルフ:『友達を忘れはしない
       僕は今 不安で壊れそう』

トート:『傍に居てやろう』

 『闇が広がる 人は何も見えない
  誰かが叫ぶ 声を頼りに彷徨う
  闇が広がる この世の終わりが近い』

ルドルフ:『世界が沈む時 舵を取らなくては
       僕は何も出来ない 縛られて』

トート:『不幸が始まるのに 見ていていいのか
     未来の皇帝陛下』

ルドルフ:『我慢できない』

 『闇が広がる 人は何も知らない
  誰かが叫ぶ 革命の歌に踊る
  闇が広がる この世の終わりが近い

  見過ごすのか 立ち上がれよ
  王座に座るんだ (王座!)

  闇が広がる 今こそ起ち上がる時
  沈む世界を救うのはお前だ
  闇が広がる 皇帝ルドルフは立ち上がる』

21. 僕はママの鏡だから

挫折した皇太子が蟄居を命じられた宮殿。
久しぶりに、母親が帰って来た。

ルドルフ:『ママの帰り
       いつも待ちわびていた
       二人きり 話がしたくて
       僕たちは 似た者同士だね
       この世界で 安らげる居所がない
       僕はママの鏡だから
       ママは 僕の思い全て解る筈』

エリザ:『解らないわ 久し振りだもの』

ルドルフ:「打ち明けるよ」

ルドルフ:『最悪の事態に陥ってしまったんだ
       孤立無援 誰も助けられない
       ママだけがパパを説得出来る』

ルドルフ:『ママは昔 ハンガリーを助けた』
エリザ:『昔の話よ』
ルドルフ『ドナウ連邦 今ハプスブルクを滅亡から救える道は無い』

エリザ:『鎖は断ち切られた
      陛下には頼めない
      あなたの為だとしても』

22. 夜のボート

エリザ:『愛には癒せないことがあるの
      奇跡を待ったけれど 起きなかった
      いつか互いの過ちを 認め合える日が来るでしょう
      夜の湖に浮かぶ 二艘のボートのような私たち
      近付くけれど 擦れ違うだけで
      それぞれのゴール目指す』

フランツ:『あまりに多くを望み過ぎるよ』
エリザ:『少な過ぎるわ』

フランツ:『人生のゴールは寄り添いたい』
エリザ:『二つのゴールよ』

フランツ:『一度私の眼で見てくれたなら』
エリザ:『一度私の眼で見てくれたなら』

フランツ:『あなたの誤解も解けるだろう』
エリザ:『あなたの誤解も解けるでしょう』

二人:『夜の湖に浮かぶ 二艘のボートのような私たち
     近付くけれど 擦れ違うだけで
     それぞれのゴール目指す』

フランツ:『解って欲しい 君が必要だよ』
エリザ:『ボートを付けようとしても』

フランツ:『信じて欲しい 君を愛している』
エリザ:『夜霧にまかれ 相手見失う』

二人:『擦れ違う限り 孤独は深まり
     安らぎは遠く消える』

フランツ:「愛してる」
エリザ:「わかってる・・・」

23. 悪夢

その夜、皇帝陛下はあるオペラを夢に見た。
血縁の皇族が総出演、マエストロはトート閣下。
題して・・・悪夢!

メキシコ皇帝マクシミリアン フランツの弟 革命で銃殺!

エリザベートの上の妹マリーア ナポリ国王の妃 だが発狂!

末の妹ゾフィー アランソン公爵夫人 慈善バザーの火事で焼死!

バイエルン国王ルードヴィッヒ2世 エリザベートの従兄弟の息子 湖で水死体で発見!

『全ての不幸はここに始まった
 ハプスブルクの栄光の終焉
 お前だけ知らぬ帝国の滅亡
 賽は投げられたお前の過ち』

「フランツ・ヨーゼフ、オーストリア皇帝!」

これは悪夢か! (正夢になる)
狂ってる! (お前が招いたんだ)

『すべて悪夢か!』

皇后の姿が無い (エリザベート 私のもの)
我が妻だ! (彼女は) 恥を知れ!
(俺を愛している) 何を戯けたことを!

彼女の為 すべて与えた
(俺だけが 与えられる 自由を)

『すべて悪夢か!』

妻を救わなくては
(  )

私が
(救うのは俺だ!)

『ルキーニ 早く取りに来い!』

『誰も知らない真実 エリザベート
 誰も知らないその愛 エリザベート』

24. 愛のテーマ

トート:『今こそお前を 黄泉の世界へ迎えよう』

エリザ:『連れて行って 闇の彼方遠く 自由な魂 安らげる場所へ』

二人:『沈む世界に別れを告げたなら 終わる時のない 永久に旅立とう』

エリザ:『泣いた 笑った 挫け 求めた 虚しい戦い 敗れた日もある』

エリザ:『それでも私は 生命委ねる 私だけに』
トート:『それでもお前は 生命委ねる 俺だけに』


Last update: 2018-06-27 04:55:09 UTC